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今、きみが、マイノリティであることを悩んでいるなら ―LGBTQ+の人が社会人になって思ったこと-


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:本田 真琴(ライティング・ゼミ夏期集中コース)
 
 
「ほんださんのお得意先の○○さんって、こっち系なんでしょ?」
あぁ、何度目だろう。
左頬に裏っ返した右手を添えて、含みのある表情で意味のない質問を投げかけてくる同僚。
 
嫌な目つきだ。好奇心と野次馬心と人を軽視しネタにするような心が混じった目。
 
「よくわからないですけど」
心の震えが声を伝わって表に出ないよう、平静を装い短く答える。
 
私の得意先の一つにゲイの方がいる。その人のことを言っているのだろう。
 
「あいつは、こっち系だから。あいつが、何言ってても気にしなくて大丈夫」
 
あぁ、どうしてこの人はこんなにも簡単に、心無いことが言えるのだろう。
自分の心が擦り減っていく気がした。
 
職場でカミングアウトをしたら、こんな風にネタにされてしまうかもしれないと思うと、今までのようにオープンでいることが本当に怖い。
 
レズビアンの私はそんな風に思った。
 
このような機会に遭遇する場面が増え、セクシャルマイノリティに対して、いわゆるテレビで見かけるような「いじっていいゲイ」「いじっていいオネエ」というステレオタイプが日本社会に未だ根強くこびりついていることを実感する。
 
悔しいのに、真っ向から何か言うことが出来ず、顔を引きつらせているのがバレないように聞こえないふりをするので精一杯。その度に、壊れそうになる心を抱きしめながら、当時一番の理解者だったルームメイトに、悔しくて悲しいと泣きながら電話をしたこともあった。
 
今、きみは、何歳なのだろう。中学生だろうか、高校生だろうか。こんな話を聞いてしまうと、社会に出ることが怖くなってしまったかもしれない。申し訳ない。だってただでさえ、きみは周りとの感じ方のギャップに、違和感を感じているのに。
 
小学3.4年生にもなれば、女の子たちはちょっと気になる男の子の話を度々するようになる。あなたの気になる人は?なんて聞かれながら、ピンとこなくて恋愛の話がどんどんつまらなくなっていく。
 
中学生にもなると、明らかに自分でもこれが恋情だとわかる気持ちを抱く相手が現れるかもしれない。けれど、やっぱり、同級生には話しちゃいけないような気がしているかもしれない。
 
高校生になった。本当に好きな人が出来て、その気持ちは自分の胸の内に留め切れなくなってきたかもしれない。相手との少し性的な甘い夢を見たりして、いよいよ自分は周りの子たちとは恋愛対象が全く持って違うのだと受け入れざるを得ないのかも。その時、少しショックかな。ショックには思わないでほしいけれど。
限られた友人にだけ、そっと、胸の内を打ち明けるかもしれない。もしくは、恋している相手に、勇気を振り絞って思いを伝えるかもしれない。胸も手も声も震える。私は同性のあなたのことを、友情だけではなく、確かな恋情と愛情を持って好きだと伝えている。
 
大学に進学した。グッと世界が広くなった。自分とは生い立ちも価値観も全く異なった同世代に出会う。きみの大切なアイデンティティをオープンにしたって、誰もきみを気付付けたりしない。みんな違ってみんないい。きみとは違う場所で、異なる形で、マイノリティ体験を経てきた、心の通う同志が出来、一生の友となるかもしれない。この先もずっと一緒に居たいと思える恋人と出会い、別れるかもしれない。
社会に出たら、プライベートな部分は隠して生きていこうと決意し大学を卒業するかも。
 
けどさ、きみが一生懸命自分と向き合って、逃げずに見つめ続けてきた自分のアイデンティティ。今の社会では、LGBTQ+というマイノリティに区分されてしまう自分のアイデンティティを肯定できなかったこともあるけれど、もがき続けて、ありのままの自分を受け入れられるようになったんだ。
これから、社会に出て行くきみたちに、自分らしさや、人として得て当然の権利を最初から諦めてほしくないと、私は思っている。
 
大人になったきみから、一つ伝えよう。
きみは、社会に出て、自分のアイデンティティを揺るがすようなひどい場面を目の当たりにして、深く傷つく。
けれど、きみはあるタイミングで、自分らしさを出していく勇気を得るよ。自分らしさを消さなくても、きみのことを「いいね」と言って拾ってくれる。そんな理解者を味方につけていく中で、蔑視するような人がいても気にせずに、自分らしく居られる強さも身に着けていくよ。
彼ら彼女らは、決して人に蔑視の目を向けたりしない。きみの仕事での頑張りや、セクシュアリティ、アイデンティティも受け入れた上で、きみのことを尊重してくれる。
きみが、傷ついて迷い、背中を押してくれる手が必要な時にも、そっと押してくれる、力になってくれる優しい人たちだ。きみも彼らのことを、深く愛することが出来る。
 
これから社会に出て行く、きみのためにも。自分のアイデンティティやセクシュアリティを隠すことなく、皆が平等に生きられる社会にしていかなきゃね。きっときみも、これから先の人生、人との出会いにきっと恵まれる。一緒に大人を楽しんでいこうね。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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