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自立とは共存だ


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記事:中島大樹(ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
 
 
ぼくは障害のある方の支援をすることを生業にしてもう10年以上が経つ。
普段から障害のある人と関わっていくなかでいつも考えさせられることがある。
 
『自立』って何だろう?
 
支援者も安易に『自立』という言葉を使ってきたし、障害のある当事者も口を揃えて「自立しないといけない」と言う。
 
それはその人の周りにいる人。家族や支援者がそう言ってきたからだろう。
 
自立と一口で言っても色んな自立があると思う。
・経済的自立
・精神的自立
・社会的自立
・生活面での自立
 
果たしてこれらのことを指しただけで自立と呼べるのだろうか?
 
働いていれば自立しているのか?
親元から離れて生活していれば自立しているのか?
社会的に地位を築いていれば自立しているのか?
一人で自分のことが出来て、家事もこなせたら自立しているのか?
 
様々な疑問が湧いてこないだろうか?
 
障害を持った当事者の方々。
特に親の影響力が強い年齢的に若い方々は、皆「自立したい」「自立しなければいけない」と言う。
 
その自立は何を指しているのだろうか?
それすらもわからないまま彼らは『自立』を口にしている。
 
そこに答えはないかもしれない。
しかし、何も考えずにぼくたち支援者が『自立』を口にするのは、ただただ彼らを苦しめるだけだ。
 
そこで『自立』とは一体何だろう?
ということを考えてみたので、聞いてほしい。
 
『自立』とは何か?
それを考えることは障害があるないに関わらずきっとあなたのためになると思うから。
 
ぼく自身の話になってしまうが、結婚をして子どもも二人いる。
若い時は早く自立したくて、実家から離れたくて、就職すると同時にひとり暮らしをはじめた。
でもそれは本当に親から自立したことになったのだろうか?
今は子どもが小さいので親に見てもらうこともある。
 
自立していたのに結婚して子どもが出来たら親に頼るようになった。
だから自立していない?
 
それは何か違和感がある。
 
むしろ、ひとり暮らししていた頃より自立している感覚すらある。
 
そもそも人は誰しもが一人では生きられない。
誰かに頼り、頼られる存在である。
 
つまり人と人とが頼り、頼られ
良好な依存関係を築くことが自立なのではないだろうか。
 
依存というと病的なイメージを持つ方も多いと思うが、ここで言う依存とは誰かに頼り、頼られる・支え、支えられる関係性を指す。
 
そして、それは人に限らず、ヒト・モノ・コトにも言えることだと考える。
 
障害のある人は周りに「自立しなさい」と言われる。
何故だろうか?
誰かに頼らなければ生活出来ないから?
 
でもよく考えてみてほしい。
1階から2階へ上がる時
ぼくらは階段で2階へ上がる。
つまり階段に頼っている(依存している)のである。
 
でも車椅子の人は階段に頼ることが出来ない。
エレベーターがあればいいが、ない場所では人に頼らざるを得ないこともあるだろう。
 
それは甘えだろうか?
それをもって「自立しろ」と言われる謂れはないのではなかろうか?
障害のない人が階段に頼って2階へ上がることと何が違うというのだろうか?
 
人は誰しも何かに頼って生きているはずだ。
 
ぼく自身の話に戻るが、子どもが出来て親に頼ることが増えたのである。
それはより自立したという感覚なのだが、何故そうなのかを考えてみた。
 
考えてみると、一人で生きていくことが『自立』なのではない。
誰かと共に生きていくことを許容し、許容されることが自立なのではないだろうか。
 
そう、『自立』とは『共存』なのだ。
 
ぼくは親元を離れ、ひとり暮らしをするようになり、働いて、自活していったことを最初は自立したと思い込んでいたが、そうではなかった。
 
実家で暮らしていた時は、親に養ってもらい、家事をしてもらい、精神的にも依存していたと思う。
 
だが、今はどうだろうか?
母親に頼ることもあるが、母もまたぼくに頼ってくれる時もある。
どちらか一方だけが頼る、頼られる関係ではなく、お互いに頼り、頼られる関係になったのだ。
 
そういう存在が自分の周りに何人か、もしくはいくつかあると生きやすくなるのではないだろうか。
 
つまり人が自立した生活をしていくためには依存先(頼れるヒト・モノ・コト)を増やしていくことが必要だ。
 
そのために、まずできることは何だろうか?
理屈はわかったけど、何からはじめればいいのかわからない。
 
ぼくはまず、あなたの周りにいる人に頼ってもらえる存在として、それを許容する決意をしなければいけないのだと思う。
 
その究極的な形は結婚だ。
 
結婚ができないという人に何が足りないかと言うと、ぼくは決意だと思う。
 
あなたと共に幸せになるために、どんな困難や苦難も受け入れる覚悟。
それを決意するのが結婚だ。
 
『自立』『共存』の究極的な形態だ。
 
自立をしていく過程で結婚をしなければいけないとまでは言わない。
誰かに結婚を強要するつもりもなければ、しなければいけないとも思わない。
しかし、結婚するまでの決意は必要なかったとしても自分の周りの人と共存していくための決意は必要だ。
 
『自立とはあなたと共に一緒に生きていくことを決意すること』
 
ぜひあなたの周りに居てくれる人たちを大切にしてほしい。
そして、まずはあなた自身が周りの人に頼られる存在になってほしい。
自分自身がそうありたいと決意することが『自立』なのだ。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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