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この世のものでないような美しい絵を描かせた原動力は、殺人だ

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この世のものでないような美しい絵を描かせた原動力は、殺人だ
 
記事:宇野好美(ライティングゼミ・5月開講通信限定コース)
 
 
最寄り駅から降りて長い坂を登った先に目的地はあった。
 
閑静な住宅街と洋菓子屋、老舗の洋食屋などが点在する場所に立っている。
 
入口は小さな建物のように見えたが、地階にある展示スペースの広さに圧倒される。
 
今回は、ある一人の画家の作品に絞った展覧会であった。
画家の生涯とともに順に展示されていた。
 
ひとつひとつの絵とタイトルをじっくりと見ながら進んでいく。
いつも思うのだが、絵画は実物をみるのがいい。
目の前にした時に作品から感じるエネルギーが半端ないのだ。
 
筆のタッチ、絵具の滲みや彩色、ずっと眺めていても飽きないのだ。
どんなふうに筆をおいたのか、
どのくらいの時間をかけてこの絵を描いたのか。
そんなことを想像するのが楽しいのだ。
時間も空間も超えて画家の描いている後ろ姿を想像する。
 
一番奥に展示してあった作品を観ることが今回の目的であった。
ススキや秋の草花が描かれた紺地に金泥の作品だ。
絵の中に吸い込まれそうな作品だった。
じっくり鑑賞した後に後ろを振り返ると、その絵はあった。
 
静かに佇んでいた。
といってもいいぐらいひっそりとそこに掛けられていた。
ひっそりしているのに、とんでもない迫力だった。
薄暗く照明が落とされたなかに佇むそれに、目を奪われた。
 
タイトルは「爆弾散華」
製作年は1945年、
終戦直後に発表されたものだ。
 
あまりの迫力に、言葉を失った。
なんと形容すればよいのか分からない。
時が止まったかのように、動けなくなってしまった。
 
画面いっぱいに広がる金箔のきらめき。
 
なんて綺麗なんだろう。
というのが、はじめの率直な感想だ。
 
遠くからは花のようにみえたものは野菜だった。
野菜が画面全体に飛び散っている。
そのさまが、美しいのだ。
爆風でちぎれて飛び散っているのに、美しいのだ。
 
解説を読むと、
川端龍子という画家の自宅に落ちた爆撃の様子を描いたとのことである。
当時、龍子の自宅には龍子とともに使用人もいた。
 
その爆撃で2人亡くなっている。
 
解説にはないのだが、供養のための絵ではないかと思った。
タイトルにある「散華」とは仏教用語で花を撒き散らして供養するということを意味する。
また、「散華」は戦死を意味する言葉でもあった。
 
他にも伝えたいことがその絵に込められていることに気がついた。
解説にはない、あくまでも私が感じたことなのだが……。
 
そのような命を奪うという残酷な光景を目にしたその時、
龍子はその景色を美しく感じたのではないだろうか?
 
もちろん、供養するために描かれたものであれば、美しく描くというのは意識したのかもしれない。
 
でも、美しさが圧倒的なのだ。
他のどの作品よりも。
 
これは、ただ美しいものを表現したではなく、
別のものも示唆しているように見えたのだ。
 
残酷性と美との相関関係だ。
 
理屈ではない美しさがそこにはあった。
それを、鎮魂という形に変えることで昇華させたものではないだろうか。
 
美術館に行くまでは川端龍子についての詳しいことは何も知らなかった。
専門家でもない、ただの鑑賞者にすぎない。
だから、見当違いの可能性もある。
 
それなのに、絵から強烈なメッセージを受け取る時がある。
画家のコメントや解説ではなく、絵そのものからのメッセージである。
 
作品には来歴や時代背景がある。
それも含めて、読み解かないと理解できないこともあるのだが、
それがなくても雄弁に語るものもある。
 
爆撃は残酷だし、忌み嫌うものである。
人を殺したり傷つけたりするためだけに作られたものは使うべきではない。
なのに、違う見え方をすることがあるのではないか。
 
自分の常識や理屈では処理できない感情や考え方があるのではないか、
とその絵は示唆しているのではないだろうか。
 
どんなに悪とされているものにも、違う見え方がすることがある。
立場や環境が違えば、反対の思想や意見を持っているかもしれないのだ。
それを、許すとか許さないとかではなく、
自分の常識とは違う捉え方もあるかもしれないと受け止めること。
それが、他者への理解の一歩であるのかもしれない。
理解できないから、受け入れられないから人は争うのだ。
 
亡くなった方への供養とともに、
平和を願うという、
人々の根底にある想いを表現した作品ではないかと思う。
 
そんなことを、その絵は教えてくれたように思う。
 
メッセージは毎回受け取れるものではない。
だが、まれにとてつもないメッセージを受け取ることがある。
アート作品を見ながら、作品と対話するのである。
そこには、作品の持つ圧倒的な力が存在する。
 
作者の手を離れた後に雄弁に語る作品。
 
そんな作品に出会いたいのである。
だから私は美術館に足を運ぶ。
ときに、アート作品がひらめきのヒントをくれることや、
心を救ってくれることも学ぶこともあるのだ。
自分にとってのマスターピースを探すのが楽しいのだ。
 
お暇があれば、近所の美術館に出かけてみたらどうだろうか。
何かとてつもない作品に出会えるかもしれません。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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