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卵を美味しく食べるためには 〜こころの殻を壊してくれた1冊の本との出逢い〜


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:川口 公伸(ライティング・ゼミ特講)
 
 
卵を美味しく食べるためには、殻を割り、中から黄身と白身を取り出すことが必要になります。
そうすることで、玉子焼きや目玉焼きを作ることが出来ます。
それがゆで卵だとしても状況は同じでしょう。
食べる前にはやはり、殻を割る必要があります。
人の心にも同じでことが言えます。
殻に閉じこもったままでは、新しく何かを始めることも、何かに対して一生懸命に取り組むことも難しいことでしょう。
それでも、人は辛いことや、悲しいことが続いた時、心配事に包まれてしまった時に、心を殻の中に閉じ込めてしまいます。
それは、なるべく色々なことを感じないようにして、自分を守るためなのだと思います。
あの頃の僕もそうでした。
それは、今から十数年ほど前の話になります。
 
現場から帰ってみると、机の上には何枚かの付箋が貼られていた。
予想はしていたものの、実際に目にするとやはりショックを受けるものだ。
付箋の内容はどれも折り返しの電話が欲しいというもので、解決策が見えないまま滞っている案件への問い合わせの電話ばかりだった。
決して気乗りはしないが、無視する訳にもいかず、勇気を出して電話をしてみる。
結果は思っていた通りだ。
「この間お願いした件だけれど、どうなっているの?」
「だいぶ時間が経っているけど、まだ答えは出ないの?」
「あなたでダメなら、上の人に連絡しますよ」
口調は丁寧だが言っていることは厳しい。
中には口調さえも厳しい人もいる。
相手にはそんな気はないかもしれないが、言われている僕は、自分の人格さえも否定された気になってくる。
それでも、僕は思い付く限りの言い訳をして、いかに難しい案件なのかを訴える。
そして、自ら期日を切ることでどうにか電話を終わらせる。
「今週中には検討して、こちらから連絡をいたします」
相手は決して納得はしていないが、渋々電話を切ってもらうことが出来る。
こうして、わずかな時間を稼ぐことが出来た。
しかし、今週中だろうと、今月中だろうと解決策が出てくることは無いだろう。
わずかな時間を稼ぎ、問題を先延ばしにしたに過ぎない。
そんなことは当事者である僕自身が一番よく分かっている。
それでもどうすることもできないから困っているのだ。
そんなことを何度繰り返したのだろう。
先延ばしされた案件は少しずつ溜まっていき、問い合わせは増えるばかりだった。
それは、出口の見えないトンネルに迷い込み、どちらに向かっているのかも分からないまま、止まることもできないでいるような状況だった。
出来ることなら、すべてを投げ出した何処かへ行ってしまいたかった。
それでも、自分がいないときに問い合わせがあり、たくさんの案件が滞っている事を上司に知られてしまうのも怖かった。
そう思うと、休むこともできなくなって行った。
眠っていても、いろいろなことを考えてしまい、目が覚めてしまう。
週末に家にいても気持ちは塞いだままで、何もする気になれない。
どうにか自分を守るために、いつもイライラとしていた。
あの頃の僕の心は、黒く固い殻に閉じこもり、とても重くなっていた。
そんな時に僕は偶然にオグ・マンディーノさんと言う作家の存在を知ることになる。
僕は、オグ・マンディーノさん本を読んでみようと探し始めた。
最初に読んだのは「十二番目の天使」と言う作品だった。
主人公の少年は、常に前向きだった。
次に読んだのが「この世で一番の奇跡」と言う作品だった。
はじめに読んだときは、それほど深く内容を理解していなかった。
それでも、何かが引っ掛かったのだろう。
その後、何度も読んだ。
それこそ、本のページに指の跡がつくくらいに。
この本は、僕が心を閉じ込めていた殻を壊すきっかけになった1冊に間違い無いだろう。
この本をきっかけに色々な本を読んでいくようになった。
そして、この本音メッセージを自分なりに受け止めることができるようになった。
自己啓発の本の中にはよく、ポジティブ・シンキングと言うものが出てくる。
これは、前向きでいることや、良いイメージを持ち続けることで、潜在意識に落とし込み、イメージ通りの現実を作り出すことができると言うようなことで、そのために、明確な目標を持つことが必要になってくる。
しかし、当時の僕にはできなかった。
心を殻に閉じ込めた状態で、どんな目標を持てただろう?
心を殻に閉じ込めた状態で、どれだけ前向きでいられただろう?
心を殻に閉じ込めたままでは、前向きでいるつもりでも、前向きでなければならないと言う後ろ向きの状態になってしまう。
サイドブレーキを引き、フットブレーキも踏んだまま、アクセルを踏み前に進もうとしているようなものだ。
でも、この本は違っていた。
自分自身が、自分の事を認めてあげれば良いのんだよと教えてくれた。
そう言ったこの本のメッセージを受け止めることが出来たから、その後に読んだ本に書かれていたことも入ってくることが出来た。
色々なところにも行ってみようと思えることが出来た。
そこで、多くのことを学び、多くの人と知り合うことが出来た。
 
これが、僕の心の殻を壊してくれた本との出逢いの話です。
人は、ゼロの状態から1とか2になることは比較的簡単なように思います。
しかし、マイナスの状態を0にすることはとても難しいものだと思います。
特に自分が頑張り過ぎてしまい、疲れてしまった結果マイナスの状態になっている人にとっては尚更だと思います。
それは、誰かに手伝って欲しいとか、助けて欲しいとか言えないから、そのような状態になってしまったのだと思うからです。
でも、それが人ではなくても、それが本だったとしても手を差し伸べてくれることがあると言うことを知ってもらえればと思います。
僕はこの本と出逢ったことで、心を覆っていた殻を壊し、変わることが出来たと思っています。
それは、玉子の殻を割って、美味しい料理へと変えていくように。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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