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“気持ちのいい”人間


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鳥井 春菜(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
どういう人間でありたいか、というのを最近考えるようになった。
優しい人、強い人、賢い人、明るい人……なりたい像は人それぞれだろう。私はこれまで明確にどんな人になりたいかというビジョンを持っていなかったし、いわゆる座右の銘やポリシーを聞かれても答えに迷ってしまっていた。しかし最近、自分がなりたいのは“気持ちのいい”人間かもしれない、と思うようになった。
 
とある日、バスに揺られていたときのこと。
発車しようとしたバスは、少し動いてから再び停車した。トビラが開き、20代前半の大学生らしき男の子が乗り込んでくる。
「すみませんっ! ありがとうございます……!」
息荒くそれだけ言った彼は急いで席につき、トビラは閉まり、バスは動き出した。一連のシーンを眺めていた私は「なんだか、気持ちのいい人だな」と思った。そして不意に、私はこういう“気持ちのいい”人間になりたいのかもしれないと思い至った。
 
それは、「爽やか」というのとはまた違う。
バスに乗り込んできた彼は、「爽やか」とい言えない気がした。その声には「溌剌さ」や「スマートさ」よりも、「申し訳なさ」や「焦り」の成分のほうが多かったし、短く言い切って即座に席につく行動からは焦りで一杯になっている印象を受けた。でも、その行動に軽やかさやスムーズさがないからこそ、私は彼に好感を抱いたのだと思う。バスを引き止めてしまったことに、本心から申し訳ないと思ったのだろうし、早く座らなきゃという思いもあっただろう。世渡り上手でも、コミュニケーション力が高そうでもない彼の心からの言葉であり、シーンと静まり返った車内でもそのことを明確に口にできる心根が素敵だと思った。
 
思い返してみれば、私が好きだなぁと感じる人は他にもいる。
例えば、ここ数年通っている美容室の担当美容師さん。無駄な会話をしないけれど、私のつたないオーダーから意図を汲み取ってキレイに仕上げてくれる。ありがちな表面をなぞるような会話はせずに、言葉数は少なくともちゃんと意味を受け取り合う会話をするので、こちらとしても変に笑顔を保たなくてすむし、本当に聞きたいことだけを聞ける。仕事はとても丁寧でドライもブローも、アシスタントさんより時間をかけて、私の予想よりもさらに1回2回と多くクシを通してくれる。その美容師さんには「自分はこういうサービスをしたいんだ」というプロフェッショナルを感じるし、他の多くの美容師と同じ形でなく、自分なりに誠心誠意を尽くしてくれている気がする。
それから思い浮かぶのは、大学の友人。彼は真面目すぎるきらいがあって、はじめは他の生徒より少し浮いているようにすら感じた。けれど、その真面目さを突き通して見事に自分の夢を叶えていたし、最終的にそれは彼自身の個性・アイデンティティになって、周囲を惹きつける大きな魅力になっていた。私は、彼のまっすぐさと、真面目さゆえのある種の頑固さがとてもいいと感じる。
 
私が思う“気持ちのいい”人間というのは、たぶん「自分の思考を持ち、周囲に関係なく、思考に基づいた行動できる人」のことなのだと思う。バスの青年はスマートでなくとも謝罪と感謝をハッキリと伝え、美容師さんは自分のスタイルで客を満足させ、真面目すぎる友人は易きに流れず魅力的なアイデンティティを確立した。彼らは、自分で考え、周囲に流されずに自分のポリシーを貫いている。そこに、私は気持ちよさを感じるし、「そういう人になりたいなぁ」という尊敬の念も抱く。
 
おそらく、そういう人になることはなかなか難しい。私達は社会の中で生きるうちに、常識を刷り込まれ、マジョリティに流され、決められたルールを鵜呑みにしがちだ。まずはそこに疑問を持つところから始めて、そこから先は自分の頭で考えて、小さな判断を積み重ねて自分の芯をつくらなければならない。迷ったり自信をなくしたりしながらも、「自分はこう思う」を探し続けなければならない。世間に流されることは楽だけど、そうした不断の努力の末に、“気持ちのいい”人間にたどり着くのだと思う。
 
私が惹かれるのは、まさにそうした人達の“芯”だ。
その芯に対する賛成・反対はどちらもあるだろうけれど、芯があるということがすでに素敵だと思う。その意志に基づく行動には、きっと「小気味よさ」を感じてしまう。たとえどんなに自分と違っても、頑固だな! と思っても、それはその人らしさであり、一つの理論であり、そこにプライドも持っていることはある意味清々しいことだ。その明快さや潔さに、私は惹きつけられるのかもしれない。そして、願わくば自分にもそうした“気持ちよさ”があることを願ってしまうのだ。
 
「あぁ、この人は自分の矜持をもって、生きている」
大げさなようだけど、そう感じることはありふれた日常の中にもある。ある瞬間に誰にどんな言葉をかけるのかにすら、自分の思考は表れる。自分の頭で考えて、まっすぐ行動することができる“気持ちのいい”人間に、私はなりたい。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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