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3年B組、骨先生!


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:藤原智子(ライティング・ゼミスピード通信クラス)
 
 
わたしには、信頼する接骨院の先生がいる。
 
その先生は、「骨と会話する人」だった。
 
 

 
 
数年前、仕事中になんの拍子かタイミングか、急に腰に痛みが走った。
 
動きが止まる。
立っていても、座っても、なにをしても痛いのだ。
 
もしかしてこれは「ぎっくり腰」?
 
答えは「YES」
 
わたしは生まれてはじめてぎっくり腰になった。
 
上司に事情を伝え、病院に行くことに。
 
たまたまタイミングよく、夫のお母さんに迎えにきてもらうことができた。
 
しかし最悪なことに、お昼どきだった為、どこの病院も中休みで診察時間外。
 
午後の診療が始まるまで、およそ2時間はあった。
 
「2時間このままなんて、無理中の無理!」
 
わたしは車の揺れによる痛みと、
病院があいていない焦りもあいまって、冷や汗が止まらなくなっていた。
 
そこでふと頭に浮かんできたのが、
夫が腰痛のときにお世話になった接骨院だった。
 
「あそこならこの時間まだやってる!」
 
藁にもすがる思いで、その接骨院のとびらを叩いた。
 
待合室、数名の患者さんがいたが、事情を話すと急患としてすぐに施術に入ってくれた。
 
痛すぎて、歩く速度も遅い。
ベッドに横になることすら、一苦労だった。
 
一度横になろうものなら、
二度と起き上がれなくなるくらい、衝撃的な痛みが走る。
 
「ほんとうに治るのだろうか」
「ずっとこんな痛みが続いたらどうしよう」
 
こんなときは、悪い想像が頭をよぎる。
 
その先生は、
 
腰に触れ、首、肩、背中、腕とそれぞれの部位を確認していた。
 
痛くなったときの状況や、今まで腰痛はあったか? など質問をされ、答えていた。
 
すると、途中からなにやらブツブツと話しはじめた。
 
最初はわたしに話しかけているのだと思い、
 
聞き取ろうと「はい?」や、「えーっと?」など、あいづちをうっていたのだが、
 
どうやらわたしには、全く話しかけていないようだ。
 
ひとつひとつ何かを確かめるように、声を発していた。
 
「◎△$♪×¥●&%#なんちゃらかんちゃら……」
 
「あーでこーで◎△$♪×¥●&%#……」
 
あいにくなにを言ってるかは、さっぱりわからない。
 
専門用語なのか、
骨と筋肉、関節とのつながりを声に出しているのだろうか。
 
ずーっとぶつぶつ唱えている。
 
横になりながら、流れる一抹の不安。
 
(大丈夫なのか、ここ……)
 
心の中で夫に問いかけたが、返事がくるわけもなく。
 
痛みにたいしてなのか、先生にたいしてなのか、
ドキドキでなにに脈拍が早くなってるのかわからなくなっていた。
 
そして、先生はスタッフに指示を出し、先に電気を流すことになった。
 
他の患者さんに施術するところを横になりながら見ていると、
わたしにしていたように呪文を唱えていた。
 
特に誰も不思議そうにはしておらず、おそらくあれが先生の通常運転なのだろう。
 
目を閉じて、指先に全集中している。
話しかけていはいけないオーラ。
技でも繰り出しそうな集中力だった。
 
その後、ついにわたしの番。
 
最初と同様にぶつぶつと、骨と会話している。
 
「◎△$♪×¥●&%#……」
 
「はい、いくよー」
 
(え?)
 
「よいしょっ!」
 
ゴキッ!
 
「っ……!」
 
あまりの痛さに声が出ない。
 
先生は背骨を見ながら、
 
「んー?」
 
「あらあら、これはー……」
 
続けて、こういった。
 
「藤原さん(わたしのこと)、靴なに履いてますか?」
 
「え?」
「スニーカーですけど……」
 
「ちょっと見せてください」
 
唐突に聞かれ、なんのことだかわからないまま、履いていた靴を見せると、
 
「あー、これだね! これだこれだ!」
 
と、なにかを確信していた。
 
説明はこうだ。
 
今回のぎっくり腰の原因は、わたしがいつも履いている「靴」。
 
サイズが少し大きめの、靴底が平らなスニーカー。
 
それを四六時中履くと、足の力をちゃんと使えなくなる。
 
足が地面の衝撃を受け取れず、そのまま太腿や腰にいき、腰痛につながる。
 
ということだった。
 
(え、このぎっくり腰の原因が、靴?)
 
わたしは驚きのあまり一瞬痛みを忘れていた。
 
「履き続けると、またなるよ」と釘をさされ、
最後に一発、ゴキッ!
 
その日の施術は終了した。
 
痛みはというと、1週間でよくなった。
最初の2〜3日が地獄だったが、徐々に回復。
 
すこぶるほっとしていた。
 
ぎっくり腰は、クセになるともよく聞くため、
二度となるまい! と、わたしは新しいスニーカーを購入していた。
 
足の負担が、腰にいき、腰から悲鳴をあげる。
 
その流れが分かり、わたしはサイズのあった靴をきちんと選ぶようになった。
 
今までは、パッと脱ぎ履きができるように、ヒモをゆるくしていた。
 
しかし、あの日以降はギュッとしばるようにしている。
 
足にフィットすると、動きやすいし走りやすい。
 
仕事はわりと移動が多いので、すぐに実感した。
 
骨の声を聴いてくれた、接骨院の先生。
 
(なんかちょっと変人っぽいけど)
金八先生のように、寄り添い、情熱をもって接する。
 
骨への愛は計り知れない。
 
骨の悲鳴を感じとり、そして改善に導いてくれた。
 
ちゃんと靴を履きなさいと、すこし厳しく言われたけれど、
骨先生なりの「贈る言葉」だったのかもしれない。
 
「思いもかけないことが起きるのが、人生です」
 
by金八先生
 
急に訪れたギックリ腰という問題の中で、
 
この接骨院を選択したことは、間違いじゃなかったと自負している。
 
(……本当のところ、すぐに痛み止めの注射をしたかったけど)
 
結果的に原因を知ることができた。
 
体の異変があったら、また骨先生にお世話になろう。
 
彼なら、またわたしの骨の声を聞き取ってくれるに違いない。
 
よろしく!
骨先生!
 
 
 
 
***
 
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2020-10-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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