メディアグランプリ

断捨離は私のカウンセラー


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:永井 廣子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
断捨離が流行っているのは知っていたが、私には縁のないことだと思っていた。
何を隠そう、私は捨てられない女なのだ。
しかも買い物は大好きで「便利だから」「良さそうだから」などと理由をつけては買い、決して広くない家は物で溢れていた。
震災以降は「いざという時のために」とストックも増えた。
 
コロナウイルス感染症の流行で外出を自粛するようになると、嫌でも家の中に目を向けずにはいられなくなった。
「少し片づけないとダメかも」とは思ったが、捨てるのは苦手でも収納は得意なので、DIYで収納場所を作り何とかしようとしていた。
うちには断捨離なんて必要ないと本気で思っていた。
 
自粛期間中に仕事もボランティアもほとんどなくなり、有り余る時間を使って、それまであまり関心のなかったYouTubeで動画を見るようになった。
「こんな情報が無料で見られるなんて素晴らしい!!」とか「この人の話、すごく面白い!」と思う動画も多く、どんどんのめり込んでいった。
特に気に入ったのが、素手でのトイレ掃除と全捨離(断捨離の進化版。持っているものの8割以上を捨てること)の話で、私と同じ50歳代らしき男性のおやじギャグ満載の軽妙なお喋りと、若い男性のチャラチャラした切り返しで、面白おかしく時には真剣に、開運のための方法を提案していた。
だが、見て楽しんでいただけで、始めようとは思わなかった。
 
そして、その日は突然やってきた。
二人の動画を100本くらい見たころ、急にやる気が湧いてきて「着ない服は邪気の巣窟。すぐに処分を!」という言葉に背中を押され、絶対に着る服だけを選び、それ以外は畳んで「今までありがとう」と言いながら、どんどんごみ袋に入れていった。着もしない服をこんなに持っていたのかと自分でも驚いた。
 
ちょうど上の娘が就職して職場の寮に入ったので、その分の荷物が減ったこともあり、家の中の片付けや断捨離も思いのほか進んだ。
空いた娘の部屋は何となく夫の部屋になったので、仕事に行っている間に大掃除をした。エアコンのカビ取りや窓ガラスの埃だらけの断熱材の貼り換えをして、娘が残していった荷物をできるだけ片付けた。
そして、私が寝ている部屋にあった夫の服や荷物を全てそこに運び込んだ。
よかった! これで人影に怯えずに安心して寝られる。
自分が居る部屋の断捨離もどんどん進む。なんて晴れ晴れとした気持ち!
 
勢いがついてきたので、次は下駄箱の断捨離。
履きもしないのに下駄箱の大半を占領していた私の靴は、触ると生地がぼろぼろとはがれ落ちるものや靴底が抜けるもの、高かったのに履き心地が悪くて一度しか履いていない靴、デザインは気に入っているが疲れて歩けなくなる靴、カビの生えたブーツまであり、もはやなぜ今まで捨てなかったのか意味が分からない。すぐに大きなゴミ袋2個分になった。
捨てた後に下駄箱の大掃除をして、その日に使った靴を置く棚も作り、除湿剤も用意した。靴の手入れ用の小物と防災用品を入れる場所も作った。
「素晴らしい!」思わず自画自賛したくなった。
玄関のたたきに靴を置きっぱなしにしていると運気が下がるらしい。
これだけやれば受験生の娘の開運にも役立つに違いない!
 
そしてキッチン。ここはなかなか手ごわい。
それでも、捨てることに慣れてくると決断が早くなり、必要なものと不要なものを一瞬で見極められるようになる。
コンビニでもらって取っておいた割りばしやスプーンやストローやお手拭き、賞味期限が切れた調味料や食材も、引き出しや冷蔵庫などから次々と現れ、こんなにあったのかと驚きながら捨てていく。
使い込んだ傷だらけのタッパーや景品でもらった調理器具や菜箸、縁の欠けた食器や使っていないマグカップ、引き出物でもらった重たくて大きな食器のセット、新婚当時に使っていた思い出の食器も、もう要らない!
 
断捨離をしながら、どんどん自分を理解できるようになっていった。
何を大切だと思っていて、何がもう必要ないのか。
どういう基準で服を選ぶのか。
どう暮らしたいのか。
どんな人でいたいのか。
自分の中にある快適さの基準はどこにあるのか。
 
断捨離なんてと思っていたが、これは自分と向き合うためのツールだ。
瞑想よりも現実的で実践的。カウンセラーだとしたら超優秀!
短期間で結果が出るし、気持ちがどんどん軽くなる。
本当に邪気の巣窟に暮らしていたのかもしれない。
住み着いていた「もったいないお化け」は確実に出て行ってくれたみたいだ。
爽やかな気持ちになり、手放せた自分を褒めてあげたくなる。
 
さすがに8割は減らせていないが、かなりすっきり暮らせるようになった。
決断力もついて、家電やパソコン用品なども一人で選んで買えるようになった。
コンビニで「お箸もお手拭きもいりません」と言えるようになった。
人間関係も、辛いなら無理して一緒にいる必要はないと思えた。
手放してすっきりすればいい。
ボランティア活動も、やりたくないものはもう引き受けない。
無理をしてやっているなら抜けてしまえばいい。
みんなからいい人だと思われなくていい。そもそも、みんなっていったい誰?
 
「うちって狭いなぁ」とか「なんだか物事がうまく進まない」とか「家に帰っても疲れが取れない」なんて言っている人がいたら、YouTubeで動画を見て、断捨離をすることをお勧めする。強力な邪気の妨害に負けないでほしい。
本当の自分が出てきたら「いいよ、大丈夫だよ!」って言ってみよう。
要らない物がどんどん減っていくと、家にも心にも余裕ができてワクワクする。
この快感を知ってしまったら、断捨離はもう止められない。
 
本も処分した。と言いたいところだが、段ボール箱2個分しか減らなかった。
むしろ、ちょっと油断をするといつの間にか増えている。
紙は邪気を吸うから大切にしていないものは処分したほうがいいと、お気に入りのYouTubeでも言っていたが、さて、どうしたものか……。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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