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全世界で使える美味しいお店探しアルゴリズムが教えてくれたグルメの極意


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:村人F(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
僕が大学院までお世話になった研究室の教授は、学内で1番のグルメだった。街の名店はもちろん、学会参加のため海外を飛び回っていたから、世界のあらゆる美味しいお店について精通していた。
そして教授の研究テーマはアルゴリズムの考案だった。アルゴリズムとは問題を解決するための方法や手順のことである。辞書で意味を調べると簡単そうに見えるが、その内容は生易しいものではない。アルゴリズムが示す手順に求められるのは、どんな人間だろうとその手順を守れば、100%同じ結果を出せる再現性だからだ。それを専門で研究していた教授は、主戦場の数学だけでなく、あらゆる物事に対するアルゴリズムを常に考えていた。
そんな教授だったから、美味しいお店探しのアルゴリズムも当然考案していた。なんと日本だけでなく、全世界でもこのアルゴリズムを使えば、レビューサイトに頼らずに100%名店に出会えるという。このアルゴリズムは講義中に何回も話されていたが、教授は定年で引退してしまいもう講義することはない。だからこのアルゴリズムが新たに伝承されることは無いだろう。そんな秘術となりかけているアルゴリズムを、僭越ながらご紹介させていただこう。
1. レストランを探したいエリアの地図を印刷する。
2. 地図上にある全てのレストランにペンで丸をつける。
3. 地図の中で最も太い道路を探す。
4. その道路沿いにあるレストラン全てにバツをつけ、候補から除外する。
5. 同じ太さの道路が複数ある場合は、その全てで手順4を行う。
6. 手順3~5を、3番目に太い道路まで繰り返す。
7. 残ったレストランから、行きたい店を探す。
8. 行きたい店がなければ他のエリアを探す。
 
自慢気に披露されたこのアルゴリズムだったが、聞いた当時の私の感動は薄かった。
「人通りの少ない道を探せってことを、わかりにくく言っているだけじゃないか」
こういう風に解釈していたのである。なぜなら地図上の道路を太い順から3つ消してみると、残るのは人通りが少ない道しかないからだ。
だから人が勝手に入ってくる大通りと違い、人通りの少ない道沿いにある店は美味しくなければ生き残れないということを、複雑に言っているだけだと解釈したのである。そのため私はアルゴリズムに従うことなく、ただノープランで人通りの少ない道を探し回る手法でお店探しをしていた。
最初のうちはそれでも美味しい店を発見できた。下調べ無しで入った店をレビューサイトで見たら、かなりの高評価だったということもあった。しかしそれも1年くらいでボロが出てきた。ハズレ率が高いのである。そりゃそうである。何も考えずに人通りの少ない道を歩いているんだもの。その通り沿いにあるのはほぼ全て住宅である。1時間探したところで見つからないのもザラである。こうして30歳になった僕はお店探しの情熱自体がなくなりかけていた。
 
そんな時に教授のアルゴリズムを思い出した僕は、とんでもないミスをしていたことに気付いた。アルゴリズムが手順のどれか1つでも間違えると、上手くいかなくなることを忘れていたのである。そのため、このアルゴリズムについて再度考察してみることにした。
 
深かった。このアルゴリズムの効果は僕の認識を遥かに超えたものだった。なんと3つも極意があったのだ。簡単なものから紹介していこう。
 
1つ目は疲れないことである。当たり前である。地図とペンがあれば座って出来るんだもの。歩き回る必要が無いんだからそりゃ楽ちんである。当時大学生で体力が余っていた僕はそんなことすら気付かなかったのだ。
2つ目は探す時間を有意義に過ごせることである。実際にこの手順をやってみると結構な時間がかかる。しかしそれは全然苦痛じゃないのだ。「やっぱりチェーン店は大通りに集中しているんだな。しっかり計算しているんだな」、「こんなところにもインドカレー屋があるのか」といった発見があって楽しいのだ。そして、この手間ひまをかけることで、残ったお店はきっと美味しいに違いないという思いが生まれてくるのだ。長い行列に並んだ後と同じような効果が得られるのだ。これがスパイスとなり食事を更に美味しくしていたのである。
3つ目は街の魅力に気付くことである。このアルゴリズムの実行中は地図とにらめっこすることになる。そうなれば当然飲食店だけでなく色々なものが目に入る。そのため主要な観光名所は全て頭に入るし、さらに細い道路まで探すことになることから、変な地名やマニアックな建物を見つけられることもある。そういう気になった所に線を引いていけば、自分だけの観光ガイドの出来上がりである。このアルゴリズムの効果は美味しいお店探しだけではなかった。街全体を味わえたのである。
 
アルゴリズムについて考えれば考えるほど教授の凄さが身にしみて分かった。物事を極めている大学教授たちがグルメと讃えていた男である。彼が考案したアルゴリズムには、グルメの極意が詰まっていたのである。
 
改めて私が住んでいる名古屋市でこのアルゴリズムを実行してみる。さすが大都市、かなりの数の名店が見つかる。これはまた食費で貯金がなくなる生活を送ることになるかもしれない。そして、あなたの住んでいる街でも、知らなかった名店を発見できるだろう。
全世界で使える美味しいお店探しアルゴリズム、ぜひ体験していただきたい。
 
 
 
 
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2020-11-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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