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立山は悪魔のおにぎりなのか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:晒谷 昌克(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
「立山って悪魔のおにぎりと似てない?」
―「?!」
「なんかそう思うんだけど……」
―「形?」
 
私たち富山県民は立山連峰のことをひとまとめにして立山と呼ぶ。
県内ならどこからでも見ることができ、北アルプスとも呼ばれる3000m級の山々だ。
夏は青空に映え、冬は雪化粧されて神々しさを感じる美しい山脈である。
朝日が昇る山であり、山肌が赤く夕日に染まった時の立山を目にしたときは息をのむ。
富山の人々は毎日のように立山を目にしながら生活している。
 
「立山バリアってあるじゃん」
―「あるある、あれすごいよね」
 
富山は地震が少ない。
学生時代に東京で暮らしているときにあまりにも頻繁に地震を体験するのでおどろいた。最初の頃は飛び起きていた。富山では数年に1回しか地震を感じることはない。
となりの長野県で震度6の地震があった時でさえ富山県は最大で震度3だった。
それぐらい富山は地震とは無縁の土地である。それは立山のおかげだといわれている。
なんでも地震波が立山連峰の下を通るときに立山の「マグマだまり」によって吸収されてしまうという仮説があるらしい。
 
富山は台風の被害が少ない。
子供の頃、他の地域で台風の備えとしてガラス戸を木で打ち付けているのをTVで見て何をしているのかわからなかった。西から来た台風はいつも立山を避けて通っていく。直撃するという予報が出ているときでさえ、いつ直撃したのかわからないぐらいだ。富山県の人にとっては台風発生は大きな関心事では無い。台風の備えをする人はほとんどいない。
 
これらのことを総称して立山バリアと呼び、富山県に住む大多数の人は立山によって天災から守られていると考えている。
 
―「立山バリアと悪魔のおにぎりにどんな関係があるん?」
「立山のおかげで食べ物がうまいって知ってた?」
―「質問に質問で返すなよ!」
―「富山の食べ物と立山、なんか関係あるん?」
 
富山は海の幸が豊富である。
富山湾は天然の生簀(いけす)を言われる魚の宝庫だ。非常に魚種が多く、また海に近い街が多いことから当日の朝とれた新鮮な魚が家庭の夕食のテーブルに普通に並ぶ。これにも立山が絡んでいる。立山からの雪解け水が森林を通り、河川を通じて富山湾に流れ込む。急流なので有機質や酸素を多く含み、湾を循環しプランクトンを培養する。豊穣な海を育む恵みの水を供給している。
 
富山は水が美味しい。
これも立山の豊富な雪解け水が森林で浄化され、急流河川が澄んだ水を運んでくれるからだ。
「名水百選」「平成の名水百選」に選ばれている水源が全国最多の8箇所もある。(熊本県と同じ)
そして水道水さえも美味しい。ただの水道水をペットボトルに詰めた「とやまの水」が2013年度モンドセレクションの最高金賞を受賞している。
 
富山は米が美味しい。
立山の扇状地である富山平野は栄養豊富で米づくりに最適の土地だ。そしてそこに立山から綺麗な水が提供される。米が美味しくならないわけがない。平安の昔から荘園がたくさんあった。
そして米と水が美味しければそこで作られる日本酒もまた美味しいに決まっている。
 
―「いいことずくめじゃん、なんで悪魔のおにぎり?」
「悪魔のおにぎりはめっちゃ美味しいよね」
―「うまい」
「カロリーが高いから、食べすぎちゃいけないって思っていても食べてしまうよね」
―「そう、なんか罪悪感があるけど食べちゃうんだよな、堕落するよな」
「僕らも立山にすっかり堕落させられていると思うんだ」
 
私たちは立山守られ、安心しきっている。
誰もがその魅力から逃れられなくなっている。
天災はいつ襲ってくるかわからない、もっと災害に対する意識と備えが必要であると皆思っているが、過保護なくらいに天災から守られ、ついつい「立山があるから大丈夫だろう」と気を緩ませる。
飽食の時代が過ぎ、自己管理の必要性が問われる中、立山がもたらす新鮮な海の幸と芳醇な日本酒、そして香りの高い美味しい米でついつい食べすぎを誘い私たちを堕落させてしまう。
それもこれもすべて立山の仕業だ。
そして立山は他のどこにも住みなくなくなってしまうようにさせる魔力を持っている。
「住み続けたい街ランキング」2020で富山県富山市を1位にしてしまった。
悪魔はしばしば優しい顔をして近づいてくる、そして人々を堕落させて支配する。
 
「僕はもう立山のない県じゃ住めないと思う」
―「そうかぁ、俺も立山なしの生活は考えられないな」
「それって立山に支配されてるんじゃないかなぁ」
―「悪魔のおにぎり(三角形)かぁ……」
 
今日も車での移動中、美しい立山の姿に見惚れてしまって脇見運転をしそうになった。
やはり人の心に付け入る悪魔のような山だ。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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