メディアグランプリ

湘南天狼院で出逢った、可愛い少女と人鳥


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記事:山田THX将治(天狼院リーディング倶楽部)
 
 
子供の時、テレビで観たペンギンが衝撃的だった。
海を泳いで来たペンギンは、いきなり氷へジャンプで乗ったからだ。氷からジャンプして、海に飛び込んだのではない。踏み台の無い海から、ジャンプして氷に乗ったのだ。
子供の眼から見ると、人間に出来ないことをする動物は、驚異的に見える。そしてその動物が好きになるものだ。
私にとってペンギンは、まさにその典型だった。
 
天狼院唯一のリゾート型店舗である湘南天狼院は、新江ノ島水族館と国道134号線を挟んだ反対側に位置する。
場所柄、御客さんは小さな子供連れが多い気がする。また、水族館の影響からか、海の生き物の本が多く棚に並んでいる。
 
或る時、湘南天狼院を訪れた私は、海の生き物の本が集められた棚を眺めていた。
しばらくすると、3・4歳の可愛らしい少女が母親に連れられてやって来た。母親がカウンターで飲み物を注文している内に、少女は私のそばに来た。
そして、可愛らしい声で、
「あっ、ペンギンさん」
と、言いながら、本棚の上部を指さした。
私は振り返ると、少女の指さす方を再度見てみた。そこには、『絶景のペンギン』(株式会社エクスナレッジ刊)という厚目の本が納められていた。表紙には、カップルと思(おぼ)しき二羽のマゼランペンギンが、波打ち際に立っている写真があった。
私は少女に、
「ペンギンさんの本が見たいの?」
と、尋ねてみた。
髪の毛を三つ編みに結び、麦わら帽子を被った可愛い少女は、『うん』と大きく頷いた。
私は『絶景のペンギン』を取り出すと、
「重いから気を付けて」
と、注意しながら少女に手渡した。
「ありがとう」
少女は私に礼を言うと、カウンターにいた母親のところに走って行った。
私は改めてもう一冊『絶景のペンギン』を取り出し、中身を確認した。その厚さから、とても子供が読める本とは思えなかったからだ。
 
手にした『絶景のペンギン』には、“死ぬまでに見たい!”“青い氷の国からエメラルド色の南の島まで”と副題が付けられていた。付帯した帯にも、『想像を絶する美しい自然環境に心が震える!』『愛らしいキャラクターに心癒される!』と、やたら“!”で強調されたコピーが並んでいた。
『絶景のペンギン』は、多数のペンギンの写真に種類(ペンギンの)別の説明が付いた形の写真集だ。文章が少ないので、先程の少女でも飽きずに眺めて居られることだろう。但し、ペンギン好きならばの注釈が付くが。
それでも多分、あの少女は大丈夫だろう。何しろペンギンを“さん付け”で呼んだ位だから。
 
子供の頃からペンギンに興味があった私は、いつの頃からかペンギンの漢字表記が、『人鳥』であると知っていた。ヨチヨチと陸上を歩く姿が、人間の子供というより歩き始めの赤ん坊の様なその歩みに見えて、人間に近いと判断されたからだろう。
『絶景のペンギン』でも、白い南極大陸で列を為して進むコウテイペンギンの写真は、今にもヨチヨチでこちらに向かって来る様だ。
そう、ペンギンは動物なので、常に動いている筈だ。本に記載は無いが、この本の写真を撮影したカメラマンは、相当辛抱強い方と想像出来る。
何せ、南極生まれのコウテイペンギンには、極寒の気候が住み易くても、生身の人間には極限の気候なのは間違いないからだ。そんな中での撮影は、想像を絶する我慢と苦労の連続だったろう。それは多分、死にそうな状態だったと、想像するに容易(たやす)いことだと感じるのだ。
 
また、私がこの写真集を入手したのが、真夏の湘南というのも良かった。
暑苦しい夏が、私は大の苦手なのだ。そんな夏の暑い日に、涼しいというより極寒の風景は、かなりの清涼感をもたらしてくれるものだ。
 
涼しいというより、うすら寒くなってしまった今日この頃。来年の夏に向けて、この『絶景のペンギン』を用意するのも一考だ。
最近では、真冬の温かくした室内で、アイスクリームを食べることが流行っているらしい。それと同じ様に、真冬の温かい室内で極寒の環境で力強く生き続けるペンギン達の写真を眺めることも、もしかしたらオツな行動かも知れない。
 
是非一度、『絶景のペンギン』を手にすることをお勧めする次第だ。
余程のペンギン嫌いの方でない限り、無駄に為ることは無いと、私は思っています。
 
それに、200ページを超す写真集でありながら、税別1500円と価格がお手頃な点も、お勧めしたい点でも有ります。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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