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メディアグランプリ

「何の価値もないかもしれない」という絶望に寄り添ってくれる本


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:藤井さやか(リーディング&ライティングゼミ講座)
 
 
尊敬する方が亡くなって数か月が過ぎた。知らせを聞いてすぐの頃は実感がなかった。だって、画面の向こうで、今もこんなに笑っている。どうして死を選ぶ必要があるというのか。「何故? なぜ?」という、次々にわいてくる疑問を解き明かしたくて、その時期私は、毎晩寝る前に何時間も動画や写真を見続けていた。どこかに死の真相が出ているのではないかと。考えてももちろん答えはわからない。次第に、「こんなに素晴らしい方が、どうして死ななければならなくて、どうして私みたいなくずが生きているんだろう」という想いに取りつかれていった。
 
苦しすぎて、どこかに吐き出したくてSNSに投稿したこともある。「どうして私みたいなくずが生きているんだろう。安いお給料で好きでもない仕事をして、実績もなく、若くもない……!」うざい。我ながらうざい。わかっていながらやめられなかった。いろいろな人から励ましのように見せかけたお叱りの言葉も来た。受け入れることはできなかった。「ちがう、そんなん求めてない。いらない、そんな人間関係いらない。私を必要だと、生きていてもいいと言ってほしい」
 
あれ?
 
次に私は、占い師に頼ることにした。亡くなった方の動画や写真を見続けるよりは、ずっとましで前向きな選択だ。「気持ちが沈みすぎて日常に支障が出ています。私の人生が成功していないのは、何が原因なのでしょうか。やる気が出ないのは、霊的な問題なのでしょうか」タロット占い、ホロスコープ、四柱推命、手相、そして最後に行きついたのは霊能力者の先生のところだった。
 
「あなたの一番の問題は依存心です。他者との関係性を学ぶことが、あなたの魂のテーマです。……そういう人、多いんですよね……」
 
心に刺さった。刺さりすぎて、しばらく死にたい気持ちを忘れるぐらいショックだった。それまで「ここがいいところ」「珍しい相を持っている」などと、特別なように言ってもらえることが多かった私に、何より刺さったのは「私の悩みは、その他大勢のひとりに過ぎない」というちっぽけさだった。
 
ん? 私の依存心は、いわゆる自己肯定感が持てないことに由来するのではないだろうか。自己肯定感は、最近よく目にする言葉だ、きっと、本も出ているだろう。そうだ、自己肯定感はブームだから本をさくっと数冊読めばなんかわかるかも!
 
たまたま手に取ったのが鈴木祐介氏の著書、「メンタルクエスト心のHPがゼロになりそうな自分をラクにする本」だった。読み始めてすぐに、「著者のセミナーに誘導するための宣伝本」とは全く違うことが分かった。
込められた熱量が大きいのだ。文体は軽い。とても軽いのだけれど、優しい。本に寄り添われる感覚というのはこういうものなのだろうか。暖かくてとても軽いオーガニックコットンのブランケットをさらりと肩にかけてもらったような心地よさがあった。この中には確実に私がいた。そして私の中の敵を見つけ出す方法も書いてあった。典型的な敵への対処法も書いてあった。
 
私は、さっくり、ではすまないものを感じ、途中からメモを取りながら、何度も行ったり戻ったりしながら、数時間かけてじっくり読み進めた。普段はそんな読み方はしない(できない)。ざっと読んで終わりだ。でもこの本は、そうしたくなかった。著者のセミナーを受けているように、本を閉じ、ノートに書き、途中コーヒー休憩をとりながら、じっくり読んだ。
 
Stage1~4まで読み進めていく過程は、まさに「メンタルクエスト」だった。それもそのはず、作者は筋金入りのゲーマーなのだ。(はじめにそのことは明かされているし、ほとんどゲームをしない私でも、ちゃんとストレスなく読み進められた)
 
この本には、「メンタルクエスト」に都合のいい裏ルートもバグも存在しないことが明言されている。特別なHow toの記載がない。この方法で瞑想しましょう、こういうものを作りましょう、特別なこの方法はよく効きます、というようなことは、一切ないのだ。書いてあることは、どれも「心を病んでいても、いなくても、一般的に良いとされているようなこと」ばかり。だからこそ、「あ、そうだよね。じゃ、ちょっとやってみよう、かな?」と思えるハードルの低さもあるのだ。
 
本を読み終わった後、ふと気づいた。あ、そうか。その他大勢であることにショックを受け、特別な私じゃなければ生きている価値がない、と思っていたのは私の「べき思考」だったのだ。特別な私でなければ存在してはいけない。年齢を重ねたら存在してはいけない、太っていたら存在してはいけない、年収が低い人は……。そんな、どこかから刷り込まれた思考を取り込み、自分と他者の境界線を忘れ、あたかも自然の法則のように感じて、反射的に自分を傷つけていたのは、私自身だったのだ。ちょっと出口が見えてきたじゃないか。
 
 
 
 
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2020-11-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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