私たち夫婦が産後クライシスを乗り越えた一冊
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:七條晶子(リーディング・ライティング講座)
この本が無ければ、離婚していたかもしれない。
そう言っても過言ではないくらい私たち夫婦が助けられたのが、
『カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座』である。
この本との出合いは、
「俺、寝つきが悪いから、子どもに夜泣きされたら眠れないと思って」
と第一子の妊娠中に夫が心配顔で買ってきたのがきっかけである。
対する私はいつでもどこでもすぐ寝ることができるタイプ。
「いざ産まれたらなんとかなるって〜。徹夜で仕事をしたことだって何度もあるんだし。締め切りのプレッシャーがない分、仕事よりかは楽でしょ」
と気楽に構えていた。
その安易で軽率な見通しは、あまりに楽観的過ぎたと産後すぐに反省することとなる。
まず、想定外だったのは産後の体中をめぐる痛みと疲労感である。
出産が一番の痛みのピークだと思っていたのだが、そんなことはない。むしろ産後のちくちくと続く痛みの方が生活をしていく上では辛いものなのだ。
さらには、ちょっと扱いを間違えばすぐに命を失ってしまいそうな小さな赤子を胸に抱きながら、朝晩3時間おきに授乳する必要があるのだ。油断は全くできない。
非常に張り詰めた精神状態の中、掃除や洗濯といった家事もこなす必要がある。
一緒に育児休業を取っているはずの夫は、仕事のミーティングがあるからと出かけてしまうし、私ほど掃除や洗濯に気配りをしないので家が乱れ始めて落ち着かない。
そんな状況に追い討ちをかけるように私は乳腺炎という乳腺が詰まる感染症にかかり、高熱にうなされ、炎症で胸まで痛むように。
思ったように娘に授乳できない上に、治療のために週3回の通院まで必要になった。
娘は12月生まれなので年末年始の行事を家族で過ごせると楽しみにしていたのに
「乳腺が詰まるので、特にクリスマスのケーキや揚げ物、お雑煮のお餅なんかの類は、絶対食べちゃダメです」
とドクターストップがかかる始末。
産後3週間ほど経った頃、私の心の中にある感情のプールが飽和した。
悲しいか寂しいかもよく分からないのだが、涙が止まらないのだ。
「もう何もしたくない。一人じゃ無理だよ」
そう言って夫に泣きついた。
夫は夫で、私の求める水準まで掃除や洗濯ができないことに自信を失っていた。
子は親の鑑で、親が精神的に不安定だと、子どもも不安定になるという。
私も夫も初めての育児に身も心もボロボロになっていた中、娘は非常にご機嫌に過ごし、順調に育っていった。
それは、なぜか。
この本に記載されている方法論に則って、育児をしていたからだ。
著書のジーナ・フォード氏はイギリス王室を始めとする著名人のベビーシッターを数多くこなしてきたカリスマ・ナニーである。
彼女が数百人の子どもを見守る中で編み出した「ジーナ式育児法」は、授乳と睡眠を規則正しく行うことにより、赤ちゃんが夜泣きをせずに朝までぐっすり眠るというもの。
「本当にそんなにうまくいくものなの?」
と最初は疑心暗鬼だった私たちも、徐々に娘の生活リズムが整う様子を見て、本に書いてある指示に従い、育児を実践していった。
生活のリズムが整うと、次に娘が必要とするであろうことが予測可能になる。
予測がある程度できると、心にゆとりができる。
心にゆとりができると、周囲にも優しくなれる。
娘の生活リズムに合わせるように、私たち夫婦も徐々に生活のリズムを整え、家事や育児を分担できるようになっていった。
そして、「もう何もしたくない」と涙を流してから2ヶ月くらい経った頃。
娘が朝まで夜通し眠るようになった。
娘が寝た後、夫婦で映画鑑賞をできるようになるまでに生活にゆとりが生まれたのだ。
夫婦でゆっくりと会話をする時間ができたことで、今後の計画についても話すようになった。
「これだけ睡眠のリズムが安定しているなら、旅行もできるのでは?」
と思い立ち、娘を連れて1ヶ月間のヨーロッパ旅行へ出かけることに。
その折にもジーナ式育児法が大活躍。
8時間の時差により、昼夜逆転する懸念があった中、娘は1日で睡眠のリズムを取り戻した。これまで通り、昼寝はしっかり2時間。寝かしつけは不要で朝まで12時間連続でぐっすり眠るので、私たちも思う存分、旅を楽しむことができた。
もし、ジーナ式育児法を実践していなかったら、いつお腹をすかせるのか、眠たくなるのか、外出先で泣き出したらどうしよう。と、びくびくしながら娘を見守っていたことと思う。ましてや、旅を楽しむなんてことはできなかっただろう。
今となっては、この本に出合うことなく、育児をしている自分たちは想像ができない。
これから出産を迎え、私と同じように楽観的に捉えている人にも、私の夫のように不安でいっぱいの人にも、この本をぜひ、一度読んでみて欲しい。
「必ずうまくいく」とは保証できないけれど、
この本は、あなたの生活をひいては人生を救うことになるかもしれない。
かつての私たち夫婦のように。
***
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