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メディアグランプリ

あの日、鉛筆が描いたラインの秘密


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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青木文子(リーディング&ライティング講座)
 
 
シュッシュッシュッ
 
スケッチブックに線が描かれていく。小気味よい音とともに鉛筆は目の前の花瓶のラインがそのまま写しとっていく。動く鉛筆みて、子どもだった私は魔法のようだと思った。
 
子どもの頃、家のお隣に洋画家の方が住んでいた。まだ小さかった私はお隣のお宅によく遊びに行っていた。ここのご夫婦は私のためにおもちゃを用意して下さったりして、いつも歓迎してくれていた。
 
ご主人が時にスケッチをする。後ろから私がのぞき込んでも邪険にはされなかった。鉛筆の先から描かれる目の前のリンゴや花瓶や花瓶に生けられた花。目に見たままのリンゴや花瓶がスケッチブックに描かれている不思議さ。
 
この体験があるからか、私は絵を描くのが好きな子どもになった。小学校では美術部にも入った。写生の絵はよく入選して全校集会で賞状をもらうこともあった。
 
それでもいつも心の底で思っていたことがある。どうして私には観たままの絵が描けないのだろう。スケッチの練習もした、写生もそこそこ上手くなった。でもどうしても目の前の花のこの複雑なラインをそのまま紙に写しとることができない。あの洋画家のおじさんの鉛筆から生まれる目の前のものそのままの輪郭。
 
大人になって、東京に住んだ。ある日、南青山の一風変わった書店に出かけた。HONDAの本社の裏あたり、半地下のところにある書店は、私の行きつけのお気に入りの本屋だった。精神世界系、ボディワーク系その他もろもろ、なかなか出会えない本ばかりがそろえてある本屋だ。
 
この本屋にいると時間が止まる1時間でも2時間でも本棚をながめていられる。その日、ある本の背表紙でピタリと目がとまった。『脳の右側で描け』という本。
 
手に取ってパラパラとみて驚いた。自画像をまるで子どもの落書きのように描いていた人が、『脳の右側で描け』の受講後はまるで美大生が描いたかとみまごう写実的な自画像を描いているのだ。迷わず本を買った。
 
この本を読んで、ようやくあの洋画家のおじさんの秘密がみえてきた。私たちは左脳モードでものを描こうとすると、抽象的に書こうとする。すると目に見えているものをそのまま描くという事ができなくなるという。目で見たそのままを描くには「右脳」で描く必要がある。そのためには左脳モードをどう回避していくかがその秘密だった。画家の人たちが絵を描いているときに特別な意識状態になるのも、左脳でなく、右脳に切り替えているのがその理由らしい。左脳モードを回避して、いかに右脳で絵を描くかというトレーニング方法がいくつも本の中に書かれていた。
 
それから数ヶ月して、またその本屋に行った。
こぢんまりとした半地下の空間。ぐるりと見回す壁はすべて本棚。その店の一角に、いつも一抱えもあるコルクボードが立てかけてあった。コルクボードにはハガキ大の紙がいくつもカラフルにピンでとめられていた。この店に来る人向けに、講座主催者が自由にお知らせの紙を掲示できるボードだった。
 
今までにも私はこのコルクボードからいくつもの情報をもらっていた。実際にここのボードで知った瞑想教室や、シャーマニズム講座に行ったことがある。
この日もいつもと同じようにコルクボードを見た。なにかいい講座情報はないかな? ボディワーク、アロマ教室、それからそれから。
 
ある紙に目がとまった。
 
『脳の右側で描け』著者ベディ・エドワードの弟子〇〇が送る講座アートアンドブレイン。
 
心臓がドクンとなった。『脳の右側で描け』の講座だ!
 
講座の内容はアメリカの大学で実際行われている『脳の右側で描け』の1学期分の授業を5日間で行うという。どんどん胸の鼓動が速くなる。金額は十万円を超えていた。行ってみよう。思い切って申し込んだ。
 
まず受講前に連絡が来た。宿題が3つあった。次の鉛筆画をA4の紙に描いてくること。自分の左手、自分の部屋のどこか角の絵、そして鏡をみての自分の自画像。
 
早速描いてみた。かつて美術部だったことが情けなくなるような絵だった。
 
5日間の講座は電車で30分ほどの公民館が会場だった。講座の講師はアメリカの恰幅の良い女性だった。『脳の右側で描け』著者ベディ・エドワードから直接指導を受けていたという。
 
講座の受講生は7人。講座の最初に宿題が集められた。片言の日本語で講師の彼女がいうには
「ちゃんと裏に名前を書いておいて下さいね。最終日に返すときに誰の絵か分からなくなるといけませんから」
 
7人しか居ないのだから、自分の絵なんて見れば分かるだろう。それが私の顔に出ていたのか、講師の彼女は私の顔を見て笑って言った
 
「最終日には、自分の宿題の絵を見て、自分はこんな絵を描いていないと言いはる人ばかりになるんですよ」
 
5日間の講座が始まった。朝から晩までの5デイ。『脳の右側で描け』の中に書かれているトレーニング方法を、実際に指導を受けて描いていく、右脳で描くってこういうことなんだ! 自分の絵がみるみる変わって行くのが分かる。
 
最終日は1日をかけて自分の自画像を描く。右脳でものを描くことが慣れてくると、驚くような集中力が生まれてくる。この日ほとんど6時間ぶっ続けで自画像を描いた。その絵は今も手元にあるが、宿題で描いた自画像とは似ても似つかない絵だった。書籍の中に掲載されていたように、私の絵も講座を受ける前と後がまるで天と地ほども違っていた。
 
講座の最後、7人の宿題の絵が机の上に広げられた。受講者同士、顔を見合わせた。こんな絵を自分描いていたっけ?
 
『脳の右側で描け』は私の絵の描き方を一変させてくれた。それだけではない、私の目が見ている世界をどう捉えるかの大事な学びを教えてくれた。そしてなにより、あの幼い日の魔法の秘密を私に教えてくれた一冊なのである。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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