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占い師に適性がある人とは


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記事:やまだあゆみ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
結局、占いは交通整理だ。
ドライバーを安全に通過させる。これだけ。
 
人生は目的地がないドライブのようなものだが、ドライバーには、運転のうまい下手があり、クセもそれぞれ違う。このクセを見抜き、危険な場所を安全に通ってもらう。また、分かれ道でより快適な道を選んでもらえるよう、道案内もする。
それが、占い師の仕事だ。
「大難は小難に、小難は無難に」というのは、占い師に昔から伝わる言葉だが、本当にその通りだ。災難なんてないほうがいい。
 
こんな事例があった。
 
ある年の年末、メールでの占い依頼が来た。人生をよりよく過ごしたい、という依頼に合わせて占ったら・・・・・・結果が壊滅していた。
よほど運が悪い人なのか? それとも、何か事件に巻き込まれてしまったのか? いや、病気だろうか? 世の中には、わがままを通して自滅する人がいる。また不摂生がたたり、病気になる人もいる。だが、そんな人が「人生をよりよく」と、振り返る可能性は低いだろう。
いったい、どうしたらこんな結果になるんだろう?
 
首をかしげながら、結果を返信した。
 
「運勢が壊滅しています。来年は、厳しいものになるでしょう。よほど気合を入れていただいて、人生をやり直すつもりでいかないと、大きな災難に見舞われます」
「そうですか。納得しました」
 
えっ?
 
返信はすぐだった。
依頼者は、末期がんなのだという。余命はもう数ヶ月。だから、人生の最後をどのように過ごすか、考えたくて申し込んだそうだ。
 
「私は病気になるまで、人生について考えたことがありません。なってからも、お見舞いに来た人に当たったり、検査をすっぽかしたり。死を受け入れられませんでした。
本当に、人生をやり直さないといけませんね。
死ぬ瞬間に後悔しないよう、結果を大切にして、毎日を生きていきます」
 
この人が無事、納得のいく終点にたどり着けたかどうか。それは分からない。だが、もし私が結果を隠し、口当たりのいいことを言っていたら、この人の終点はまったく別物になっていただろう。
だから、今でも鑑定の時には、気を引き締めるのだ。
それは、あたかも事故が起きないように、全神経を張り詰めるかのようで。
占いは本当に、交通整理だ。
 
「私、人の役に立ちたいんです。プロの占い師になれますか? なれないなら、副業くらいでは稼げるようになりますか?」
 
占い師をやっていると、よくこういう問い合わせを受ける。
人の役に立つ、もちろん結構なことだ。
だが、最後の「副業くらいでは稼げるようになりますか?」に透けて見えるとおり、彼らの目的は、人様の役に立つことではない。
簡単に高い収入を得て、自宅でのびのび好きなときに働き、あわよくば他人から賞賛されたり、特別扱いされたりしたい。もちろん、社会保障は正社員か、公務員なみで・・・・・・これだけでも十分に虫がいいが、さらに、この問いに答えさせ、失敗の責任転嫁先を作ってから、ちょこちょこ申し訳程度に活動する。そんな人が多い。
 
間違っても助言されたくないが。
 
もちろん、本当に、人の役に立ちたい人もいる。
だが、人の役に立ちたいと願う人を見ていると、「抱えている問題を解決してあげたい」だの「苦しみを取り除いてあげたい」だの、自分の力を過大評価しすぎている。いじわるな質問だが、人間1人分の人生を、その人が亡くなるまで、まるごと抱えられるだろうか?
 
残念ながら、人生のドライブは、本人以外のドライバーを受け付けていない。つまり自分の問題は、自分でしか解決できないのだ。
もし他人が解決してあげたらどうなるか? 依存されるだけだ。
 
だから「占い師になれますか?」という質問に対して、私は、末期がんの患者さんの事例を出している。人生の終点で、正しく交通整理ができますか? と。
 
反応はさまざまだ。
連絡が来なくなるのが多いが、元気な人だと、長文の暴言メッセージが届き、ネットで中傷大会が始まる。また「そうですよね。ありがとうございます」などと言っておきながら、不買運動をやってくれる、陰険なタイプもいる。その元気を技術の向上に使えばいいのに、なぜ、こういう人々は考えが巡らないのか? 簡単だ。
「お客様」から抜けきれてないのだ。
 
結局、他人様の人生を交通整理できるのは、交通整理員だけだ。
 
自分の都合をはさまず、ドライバーの安全だけを考えられるかどうか。ドライバーはその技術や苦労を知らないから「あんな簡単に高収入を得られるなら、自分だってできるはず」などと思うだろうが。
占い業界は、3年以内に99%がやめるほど過酷だ。
同業者が詐欺師なのは珍しくないし、強烈なお客様からは暴言、脅迫、代金踏み倒しなどなど。大変な扱いを受けることも多い。新規参入者との競争も激しいうえ、結果が気に入らなければ、隣の占い師に駆け込まれることも普通だ。
 
それでも、お客様の安全だけを考え続けること。
 
それが、占い師の仕事であり、これができる人が、占い師の資質を持った人なのだと、私は思う。
 
 
 
 
***

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2020-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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