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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:和田弓奈(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「夢かなえたんだね。」
 
私がA君と初めて話したのはの中学二年生になって隣の席に座った時だった。今から30数年前の事だ。
一学年が10クラスもあったため、同じクラスになるまでA君の存在は正直知らなかった。
後で知ったのだが、中学生になった時に帰国した帰国子女で英語がペラペラだった。
 
私はというといわゆるイケてないグループで目立たないようにひっそりと中学生生活を送っていた。小学生の時はどちらかと言うと活発で学級委員もしていたが、ほとんどの友達が受験して私立中学へ行ってしまった。
中学に入ったとたん、周りは塾へ行き始め勉強も遊びもなじめなくなっていった。取り残されたような自分がいやでひっそりと空気になり、色もなく漂っていた。
でも、ひとりぼっちにはならないように、おおよそ気が合わないとは思われる女の子達と一緒にいた。
 
そんな私なので
「A君かわいそうに、もっと可愛い子の隣になればよかった、ってきっと思ってるよなぁー。やだなー、一人の席がよかったな」と思ってむすっとしていた。
 
でも A君は私のそんなそぶりも気にせず、いろいろ話しかけてくれた。
とても気安く、良く言えば人懐こく、私にはとても心地よくて楽しくて、日を追うごとに心を許せる友人の一人でになっていた。
私は、後ろ向きなネガティブな発言を口にすることが、今も相変わらず多いのだが、それも「そんなこと言わない方がいいよ」とも言ってくれた。
 
当時我が家で飼っていた雑種の犬ががとても可愛く、そんな話をしていると羨ましそうに家では飼えないだよなって言いながら、自分の好きな動物の話しをてくれた。好きなだけあり博識で、つい聞き入ってしまうこともあった。
 
色のなかった楽しくない中学生生活が、七色に輝き始めた。
 
ある日、あまりにも休み時間も楽しそうに話してるので周りから、やっかみ半分でからかわれてしまった。そうすると田舎のまだ中学2年生。二人ともぎこちなくなってしまい、距離を置くことになってしまった。
 
三学期になり、席替えでまたA君とて席が隣になった。私は心の中でガッツポーズをした。
 
距離が開いた分を補うかのように二人でよく話した。
好きなアーティストの話や好きな本の話、好きなテレビ番組。たまには勉強の話も。
いろんな話をした中でもやはり動物や虫の話はよくしてくれた。私は動物は好きだが、本当は虫は苦手だったが、部屋で内緒で飼っていたアリの話は面白かった。
その話の延長で実は獣医になりたいことを私に話してくれた、親には内緒だがと。
私は、中学校の国語の先生になりたいんだと話した。
 
そんな夢の話もするくらい仲良くなれたが、残念ながら中学3年生でクラスは別れてしまい話をすることはなかった。今ならメールやラインで気軽に連絡が取れたかもしれないが、あの頃は家の黒電話しかなかったから、仕方ない。
 
卒業間近の頃、私はA君のことを友達としても好きだけど、普通に好きだったんだろう。気が付くのがちょっと遅かったが……。卒業式のあと、今更告白はできないとは思いながらも、流行りの第二ボタンをもらいに行くともう第二ボタンはもらわれていた。だが「これもらって」と名札を私に差し出してくれた。その学年色の緑に黒で刻印された名札は今でもまだ大切に持っている
 
A君が獣医系の大学の行ったことを風の便りに知った。ちゃんと夢に向かって頑張ってるんだなと。とても嬉しかったが、その点私は何やってるんだろうって、ちょっと落ち込んだ。
 
時はかなり流れて、私は人並みに恋愛もし、結婚して子供も生まれた。中学校の国語の先生にはなれなかったが。
 
ある日、友達が海外に移住し連絡を取りたいが、届かなかったり、文字化けしたりとうまくいかなかった。 知人からFacebook がいいと聞き、半信半疑だったが登録してみた。正直 SNS が苦手で全く慣れてなかった私はちょっと怖かったのだ。でも Facebook は思いのほか快適で、その海外に移住していた友達以外にも、いろんな人から連絡が来たり、Facebookきっかけに何十年かぶりに会った友達もいた。
 
そして、 A 君を検索した。本当は一番に気になっていたが何となく怖かったのだ。
 
Enterキーとポンと押すと出てきた!
A君、面影ある!
ちゃんと獣医さんになってる!
開業もしていて立派な院長先生になっていた。
夢を叶えたんだね。
Facebook のタイムラインには目元が昔と変わっていない笑顔で動物に囲まれたA君がいた。
 
コメントを入れようかと思ったがやめた。私は苗字は変わっているし、私のことは覚えていないかもしれないから。
 
でも自分の心の中にコメントを刻む。
「獣医さんになれたんだね、おめでとう!私は中学校の先生にはなれなかったけど、近いことはしているよ。小学校の書き初めのお手伝いでお手本を書きに行ったり、たまに書道教室の先生をしているよ。お互い頑張ろうね」
 
FacebookがなかったらA君のその活躍を見ることはなく、夢を叶えた事も知らないままだった。
Facebook ありがとう
Facebook 万歳
 
 
 
 
***

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2020-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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