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箱根駅伝は好きですか?

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記事:フジ サワ(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
毎年、この時期になると、読み返したくなる本がある。
「風が強く吹いている」三浦しをんさんの、箱根駅伝を舞台にした小説だ。疾走感があり、まるで自分がランナーになったかのような気分が味わえる。
 
小説も良いのだけれど、本物の箱根駅伝は、もっと熱くてドラマチックだ。
東京箱根間往復大学駅伝競争、通称「箱根駅伝」。出場校が関東エリアの大学なので、他の地域の方には、あまり馴染みがないかも知れない。
1月2日に、東京大手町の読売新聞社を出発し、鶴見、戸塚、平塚、小田原を経由し、襷を繋ぎながら箱根を目指す。往路は1区から5区間の107.5㎞。翌日3日に箱根から、前日のタイム差順に、ゴールの大手町を目指す。復路は6区から10区の109.6km。計207.5km。
 
2日かけて10人で襷を繋ぎながら、大手町から箱根まで行って帰ってくる。簡単に言うと、それだけ。なのに、観ているこちらが熱くなってしまう。駅伝好きなのは日本人だけらしい、と聞いたことがある。世界陸上でもリレーが強かったし、チーム競技が得意な国民性なのかもしれない。
 
駅伝のコースは、沿道応援が出来るようになっている。沿道近くでは、テレビ中継でよく見る、白地に赤の旗を配っている。それを持ち、今か今かと選手を待ちかまえる。大学の、のぼりを持って応援に来ている人たちもいる。各々の旗を持ち、テレビ中継車が走り、ヘリも飛んでいる。ちょっとしたお祭りみたいだ。
歓声が起こり、皆が一斉に旗を振る。「頑張れー」「○○、頑張れー」その声援の中、選手が駆け抜ける。本当に、あっという間に、凄いスピードで「駆け抜けていく」のだ。
走る選手を近くで見ると、しなやかな筋肉や気迫が、惚れ惚れするほど格好いい。馬と一緒にするのはどうかと思うが、競走馬を間近で見た時感じた「美しさ」と同じものがある。引き締まった身体に、走る事だけに集中する、姿と闘志が美しいのかも知れない。
 
箱根駅伝のコースには、各区間の名所や難所がある。どこも見所なのだが、「花の2区」は、チームのエースが走る事が多い。次々と選手を抜いて行き、区間新記録が出る、初日の見所でもある。5区は、小田原から箱根までの標高差800メートルを駆け上がる「山上り」。箱根に行かれた方はご存じかと思うが、車で芦ノ湖に向かっていても、かなりの急勾配である。その天下の剣を、脚力だけで駆け上がる。「山の神」と呼ばれる所以もよくわかる。2日目は、6区の山下りから始まり、海風を受けながら走り、坂を登り、9区で大逆転劇が起こることもある。数々のドラマを繰り広げながら、選手たちは全力でゴールに向かう。
 
その中でも、繰上げスタートは、見ているこちらが辛くなってしまう。トップの選手が、中継地点を最初に通過してから、規定の時間を越えると、次のランナーがスタートしなければいけないルールだ。すぐそこまで前走者が来ているのに、時間切れになり、乾いた合図の音で次の走者がスタートする。あと数十秒で、襷を繋げなかった選手は泣いている。
その選手が翌年「今年こそは、襷を繋ぎたい」と言い、宣言通り走りきった。彼は1年間、毎日あの日のことを忘れることなく、トレーニングし続けたのだろう。その努力と強靭な精神に胸を打たれる。
 
前に一緒に仕事をした男性が、箱根駅伝強豪大学の陸上部出身だった。子どもの頃から運動神経抜群で、中高と陸上部で名を馳せた。大学から声が掛かり、陸上部に入ったが、まず部員の多さに驚き「あの10人の枠に入るのが、どれ程大変か思い知った」と言う。コーチとの相性や怪我に泣かされ、一度も出場する事なく、彼の大学生活は終わった。「走ってみたかったよ、箱根駅伝」。彼が言った、努力を重ねても届かなかった、この言葉の重みを思い出す。
 
選手達は、桁違いの努力をして走り続ける事で、強靭な精神と身体を手に入れていくのだろう。そして、凡人には見えない景色を見る事が出来るのかも知れない。彼らには、どんな景色が見えるんだろう? そう思いながら、沿道で旗を振り、歓声を上げる。
 
レースも終盤に差し掛かり、ゴールに近づいてくると何となく安堵する。優勝チームの選手達や監督が、ゴールテープの後ろで笑顔で待っている。選手がゴールすると「おつかれさま」と清々しい気持ちになる。後から後から、走り切った選手達がゴールする。皆、全力を出し切った、晴れ晴れした顔をしている。
全力を尽くした選手たちに便乗して「よーし、今年も頑張ろう」と思う。私にとって箱根駅伝は、新年の儀式みたいなものだ。
 
来年は、沿道応援が自粛になってしまったようだ。選手たちに花道がないのは、残念な気もするが、そんな事は関係なく、彼らは走り続けるのだろう。
来年は、家でテレビ中継を観ながら、応援したいと思う。どこで応援しても、彼らの熱い走りは変わらないのだから。
 
 
 
 
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2020-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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