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音痴な帰国子女はJAPANESE ENGLISH最高! と叫ぶ

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記事:おがたすず(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
私はアメリカに4年ほど住んでいた経験がある。そういう経歴を人が聞くと
「すずさんは、英語ペラペラなんですね」と必ず言われる。
私はこれが若い頃は大変苦手だった。確かに私は英語がしゃべれる。結構しゃべれると思う。TOIECの点数もいい。でもペラペラとは自分では全く思わなかったのだ。
なぜそう思っていたのかというと、私の感覚では、ペラペラというのはネイティブのような発音で話すという感じだったのだ。
私の英語は、自分の感覚でいうと「ペラ」くらいという感じだった。アメリカ滞在経験がない人よりは、それっぽくしゃべれるが、ネイティブとは言えない感じが、出来損ないな私と感じてしまい嫌で嫌で仕方なかったのだ。
アメリカから帰国後は発音を矯正するためだけに、通訳養成学校にも仕事のかたわら通ってみたが、挫折してしまった。特に私が大きく挫折した原因はシャドウィングという練習法だった。
ネイティブが話す文章を聞き、すぐその後を追って聞いたとおりに話すのだが、聞き取れて文章を間違えずに話しているのにもかかわらず、私はただひたすらに録音した自分の発する声が、ネイティブの発音とは違っている事だけがものすごく気になってしまい、どんどんと落ち込んでいってしまったのだ。そして、発音の練習にだけ時間を割き、自分の理想に近づこうと努力をしたが、いくら努力しても理想の発音ができず、出来ないことばかりに目をむけてしまい、ついには高校を卒業してから留学したから、発音はネイティブのようにできない、小さい頃から訓練しなかったからできないのだと、出来ない理由を作り上げ、それじゃあ仕方ないとあきらめてしまった。
その頃の私は「英語がしゃべれる=(イコール)ネイティブのような発音でしゃべれる」だったのだ。
その後は、英語を使う事を避けるようになり、英語を使った仕事も辞めてしまった。
そして、すっかり帰国子女という感覚もなくなった数年後に友人が私の経歴を偶然知って、英語を教えてほしいといってきた。
親しい子だったし、気軽にOKの返事をし、NHKの英語のプログラムをアレンジした授業もどきを友人に行った時、私は衝撃の事実にぶちあたったのだ。
その友人はミュージシャンで、英語の歌詞を歌う事になったので、英語の基礎を勉強したいといってきて始めたレッスンだったのだが、用意したネイティブの発音に合わせてシャドウィングを行う友人が発する音はネイティブの音とまったく同じだったのだ。私は聞きながらひどく動揺し、あせった。なぜなら、私は英語をネイティブのように話すという夢を、子供の頃から訓練しなかったから仕方がないとあきらめたのに、目の前の30歳近くの友人がネイティブのように発音をいとも簡単にしているのだ。もちろん、まったくの初級レベルの友人はフリートークなどはできないが、完ぺきなシャドウウィングをやってのけていたのだ。
そしてプチパニックとともに進む友人の英語レッスンが3度目を迎えたときに、私はある真実に唐突に気が付いたのである。
友人はプロのミュージシャンで、本職ではないが歌も抜群に上手いが、私は人を悲しくさせる音痴である事実が導く先に答えはあった。
歌がうまい人は耳から聞いた音(音階)をそのまま忠実に自分の声で再現出来るが、私がそれをしようとするとずれてしまう。これは語学においても同じで、耳がいい人(耳で聞いた音をそのまま発生できる人)は聞いた音をそのまま発音できるが、私はできない。
これに気が付いたとき、同時に私からつきものが落ちたようだった。あれほど固執していたネイティブのような発音がそれほど大したものじゃないように、これまた唐突に思えてきたのだ。
発音が完ぺきでも文章で自らしゃべれなければ、コミュニケーションが取れないことに今更ながら気が付き、通じればいいじゃなかと思えるようになったのだ。
英会話学校に通う、ビジネスの最先端を行く商社マンと英会話学校で英語で話せたのもいい刺激になったと思う。その商社マンのおじさま達は、留学経験はなかったりあっても一年くらいで、歌もそれほど上手じゃないし、発音はいたって普通というか、どちらかというとJapanese Englishといった日本語的アクセント満載の英語だった。それでも話す内容は知的で、どんどん会話が他の国籍の方たちと弾んでいる姿を見たとき、英語を使う意味をいつのまにか私ははき違えていた事に気が付いたのだ。
私にとっての英語はあくまでもコミュニケーションの道具。英語そのものが目的ではない。だから通じればいいのだという事に遠回りして思い出した私は、それからは自分の日本語なまりの英語を駆使して、出会いに感謝し、楽しむようになり、今では「すずさんは英語ペラペラなんでしょうね」と問われたら、「そうねー」と笑顔で肯定できるようになった。
そして世の英語学習に躓く人に私は言い続ける。Japanese English最高! 通じてなんぼだ! と。
 
 
 
 
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2021-01-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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