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アラフォーおじさん最大の失敗、そして……


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記事:笹川 俊明(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
「アラフォーおじさん」と呼ばれて数年が経つ。
なんでいちいちおじさんってつけるの? って思っていたんだが、そもそも「アラフォー」とは40歳前後の女性をさす言葉らしい。そして、平均すると37.6歳から44.6歳までの女性を「アラフォー」と呼ぶのだという(かつて調査を行った会社があるらしい)。
へぇ~。
そういえば、たしかに36歳くらいからそう呼ばれるようになような。
そして「アラフォーおじさん」と呼ばれるようになって、自分のあらゆるところが変化したようにも思う。悔しいことに。そして実に痛い。
 
まず、肉。食べる方ではない。わかってますよって? はい、その通り。ぜい肉である。特にお腹まわりのお肉が想定外の急成長をとげた。余談だが、いまパソコンでお腹まわりと打とうとしたら、変換候補に「お仲間まわり」と出てきて、ふいてしまった。たしかに、会社の同期や年齢の近い友人たちもこぞって腹まわりが豊かだ。
みんなで渡れば怖くない! そんな馬鹿なっ!
 
次に、シミ。これはどうしたものか。顔に星座が浮かび上がっているではないか。おかげで知らない小学生ぐらいの子どもからじっと顔を見られることが増えた気がする。見ている瞳が三角形を追っているのがわかる。あご、目の横、耳の下あたりを少年の瞳がなぞる。まるで夏の夜空に輝く「夏の大三角」だ。
小学生よ、昼間でも星の勉強はできるのだ! まさかっ!
 
あれもこれも。自分で言うのも変だが次から次へと痛いエピソードが浮かんでくる。
もしかして自己肯定感低め?
アラフォーおじさんってひょっとして悲しい存在なのかしら……。
 
そんなアラフォーおじさん。なんとアラフォーおじさん的最大の失敗を犯してしまった。
これは涙なくしては語れない失敗だ。
 
それは、「焼酎を炭酸水で割ってしまったこと」だ。
え? と思われた方のために、もう一度言う。
アラフォーおじさん最大の失敗、それは、「焼酎を炭酸水で割ってしまったこと」だ!
 
どういうこと? 意味が分からん!
多方面から疑問の声、お怒りの声、ため息、その他諸々聞こえてきそうだが、少しお待ちいただきたい。
この奇跡の飲み物との出会いから、何が最大の失敗なのか。語る時間を与えていただきたい。
 
あれは38歳6ヶ月の夏の夜のこと。
会社の同期と仕事帰りに居酒屋へ行った時のことだ。
我々は自他ともに認める酒飲み、いわゆる「のんべえ」だ。酒量もおそらくだけど同年代の人よりも多めなのではないかと勝手に自負している。
ちまちまとグラスで注文するよりもボトルで! という妙な男気も出してしまう。
その日もさっそくボトルを探す我ら。
国民的ヒットウイスキーである「角」をボトルで注文したところ品切れ。
すかさず他の銘柄のウイスキーに手を出そうとするがあいにくそちらも品切れ。
何があるのか店員さんに尋ねると「いいちこならありますよ」という。
これまで焼酎といえば芋派の二人。
「芋って置いてないの?」と聞くと「ありません」とそっけない。
これはもう「いいちこ」にしろってことだよねと妙に納得し、人生初の焼酎を炭酸水で割るという挑戦を決意。しかもボトルを注文するという荒業。よくわからないが腹が座ったというか、「俺たちならやれる!」みたいな変なシンクロがおき、目の前には麦焼酎の老舗ブランド「いいちこ」、炭酸水と氷セットが置かれた。
「とくとくとくとくぅ~」
氷のぎっしり詰まったグラスへ焼酎を流し込む。
グラスの6割くらいが焼酎、そして、残りが炭酸水。なみなみ入った!
「ごくぅっ」
「う、旨いっ! え? この飲みやすさといい、後味の良さといい、なにこれ! すごい!」
アラフォーおじさんたち、感動感激の瞬間だった。
 
それからというもの、通称「いいちこソーダ」、別名「クリアビール(麦の炭酸酒=ビールという発想から透明なビールということでクリアビール)」は私にとって酒席での定番品となり、周りの人にも共感され、一気に職場でも広まり大ヒット。
しかもこの飲み方、次の日に残らない。
 
あれから3年。
いつしか「いいちこソーダ」を呑む為に飲み会を開くという仲間まででき、「いいちこソーダ」への一途で熱烈な愛は深まるばかり! すっかり生活の一部となった。
どこに行っても、どこで呑んでも、乾杯から「いいちこソーダ」(別名「クリアビール」)が定着。そして呑む時間と呑む量が増えていくのに比例して、楽しい思い出も積み重なった。
ちなみに、ここだけの話だが、実は芋焼酎と炭酸水も悪くない。芋の甘さと鼻に抜けるほのかな匂いが癖になる。
「焼酎ソーダ割り最高説確定!」
と、舞い上がっていたある日のこと。
非情にもその時は訪れた。
 
「遺伝性高血圧症通告! 一年間の飲酒禁止令発令!」
 
私の身体にフィットする降圧剤を決めるため、一年間をかけて薬の種類や量を試していくらしい。その間、急激な血圧降下が立ち眩みやめまいを引き起こす可能性があり、お酒はドクターストップ。二日酔いの症状にその立ち眩みやめまいが似ており、酒が原因なのか降圧剤が原因なのかわからないため禁酒だとのこと。
酒の世界からの戦力外通告。まさにその時。
 
これから一年、人生を共にすると心に決めた「焼酎ソーダ割り」と別れなければならない。
こんなに切なく悲しいことが他にあるだろうか。
 
あぁ……、あの時、出会わなければよかったのに……。
 
 
 
 
***

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2021-01-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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