メディアグランプリ

愛情たっぷりのトマトたち


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記事:西野順子(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
「うわー、甘い。このトマトすごく美味しいね」
「ホント美味しい。甘いだけじゃなくて、ちゃんと酸っぱみもあるし、なんかトマトらしいトマトって味がするよね」
 
友人の茜さんが送ってくれた真っ赤なトマト。
そのトマトを一口頬張ったときに思わず出た母と私の会話だ。
 
茜さんは旦那さんと一緒に高知県でトマトを作っている。そのトマトが食べてみたくて注文した。ドキドキしながら箱を開けたら真っ赤な粒ぞろいのピカピカしたトマトがぎゅうっと詰まって並んでいる。赤い宝石みたいだ。美しいだけでなく、本当に味が濃い。スーパーで買う水っぽいトマトとは全く違う。これだけ美味しいトマトを食べたのはいつ以来だろう。
 
箱の中には『トマトの楽しみ方』というメッセージも入っていた。
到着後すぐに食べたらみずみずしいし、甘く柔らかい食感が好みの場合は、数日おいて食べるといいこと、冷蔵庫で冷やしすぎると本来の甘みが感じられなくなることなど、聞いてみないとわからないことばかりで、なんとも親切だ。
 
トマトが動かないようにと入っている緩衝材には地元の「もくめん」を使ったと書いてある。間伐材を職人さんが熟練の技で削りだし、ほどよく乾燥させて作ったものだという。美しく温かみにあふれた「もくめん」にも茜さん夫妻の地元への愛情が感じられる。
 
今回は我が家だけでなく、日頃お世話になっている方々にも送ったが、 どの家からも「美味しかった」「本当のトマトの味がした」「ありがとう」といった感想をいただいて、とっても嬉しかった。茜さんありがとう。
 
茜さんとは3年前にあるセミナーで知り合った。茜さんは色白で切れ長の目が涼しげな美人さん。肩の下ぐらいまであるストレートの髪の毛がさらさらしていて、笑うと周りがパッと華やかになる、元気で笑顔の素敵な女性だ。てっきりOLさんだと思ったから、トマト農家をやっていると聞いて驚いた。
 
それ以上に驚いたのは、農家になったきっかけだった。茜さんはもともと化粧品会社のOLとして表参道で働いていたとという。旦那さんは東京で会社員をしながらドラムを叩いていた。二人は知り合い結婚した。
 
旦那さんの実家は農家をしていて、旦那さんもいずれは故郷へ帰って農業をしたいと考えていた。茜さんと結婚した旦那さんは二人で故郷へ帰り、何を作ろうかと考えた。
 
旦那さんはいろんな種類の野菜の畑に行って寝転んでみた。野菜と会話していたのかもしれない。ある日トマト畑に寝転んだ時に、何かがピピッときて、これだ! と思ってトマトに決めた。茜さんはトマトと聞かされて驚いた。実はトマトが苦手で、今でも生のトマトは食べられないのだ。
 
でも茜さんは、表参道のOLから、一人も知り合いがいない高知県で旦那さんとトマト農家になる道を選んだ。そこから茜さんの新しい人生が始まった。
 
農業が全く初めての2人は、いろんな人にお世話になりながら一から農業を覚え、ハウスを建て、機械を買い、苗を植え、水をやり、トマトを育てた。このころの話はあまり詳しくは聞いたことがないが、はじめてのことばかりで大変だっただろう。
 
私と会ったころの茜さんはとても行動的で、「私はトマトの広告塔になる」と言って、日本全国いろんな所に行っては、農業関係者やレストラン、その他いろいろな知り合いを増やしたり、知識を仕入れたりしながら、トマトの可能性を探っていた。
 
ブログやフェイスブックでも積極的に発信していた。トマトのことはもちろんだが、人の応援をたくさんしていた。美味しいお店に行ったらその店を、美味しいものを食べたらそのものを、何かを学んだら講師と学んだ内容を紹介する。クラウドファンディングをやっている友達がいたら、よかったら応援してあげてと紹介する。いろんな人を応援するから、茜さんと旦那さんも人から応援され、トマトのファンも増えていった。
 
傍から見ていたら順風満帆で忙しいながらも充実した毎日を送っているように見えた。でも、そうではなく、茜さんは一時期、自分のやっていることはこれでいいのか?本当にこれがやりたかったことなのか?などと考えてかなり長い間落ち込んでいたという。その話を聞いて驚いた。確かに、その頃の茜さんのSNSは更新されていなかったが、あの明るい元気な茜さんがそんなに落ち込んでいたとは思ってもみなかったのだ。
 
そうやって悶々と自問自答を続けた後、ようやく自分らしい生き方が見えてきたという。
そして、自分がトマトを通してお客さまになにをお届けできるのかということ、を考えてそれに基づいて行動していった結果、やっと「自分はこれでいいんだ!!」と自信と確信を持てるようになったそうだ。
 
茜さんと旦那さんは、毎日いろんな話をする。何ごとも二人で徹底的に話し合って決めていて、二人三脚で一歩一歩前に向かって進んでいる。
 
茜さんはトマトのことを私たちの子供と呼ぶ。両親の愛情たっぷりに育てられた茜さんのトマトたちは、愛情だけでなく味もぎゅっとつまってうまみもたっぷり。それを食べる私たち私たちの顔も思わずほころぶ。
 
今年もそろそろトマトの収穫の時期が始まる。また茜さんたちの愛情たっぷりのみずみずしいトマトが届くのが楽しみだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-01-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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