メディアグランプリ

すてきなサードプレイス


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:田中真美子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「じゃあ、明日までに家族とよく相談して返事してね」
 
今から6年前の2015年、勤めていた会社から女性向けのビジネススクール受講の推薦を受けた。
 
ちょうど当時は「2020年までに指導的地位の女性比率を30%に」と政府が掲げた「2030」まであと5年、私の勤める会社も女性活用に力を入れて取り組んでいた時代だ。
 
(結局、日本全体で「2030」は達成できず、昨年7月に「2030年に男女比同水準を目標とする」と先送りされてしまうのだが。あ〜あ)
 
社内の女性社員の中でも数人しか推薦されないからこれは大きなチャンスだ、でも半年間、働きながら週末に授業を受けるため学校に通わなければならない。
 
家庭のこともあるだろうから、家族とよく話し合って参加するかどうか決めてくれ。
 
と、行かせたいんだか行かせたくないんだか分からない説明をした上司は、回答期限は明日だからね、と最後に付け加えて去っていった。
 
明日回答しろって、そんな無茶な。
 
仕方なく家に帰ってから夫にかくかくしかじかで、と相談したら「家事は自分ができるから、せっかくだし受けて見たら」と優しいお言葉。
 
夫の申し出をありがたく受け取り、次の日会社で上司に「ぜひ行かせてください」と返事をしたのだった。
 
しかし、「ぜひ行かせてください」とは言ったものの、大学を卒業してから十数年、日々の業務をこなすことに精一杯でろくに勉強をしてこなかった私は大いに不安だった。
 
授業についていけるのか、自分だけ落ちこぼれてしまわないか。
 
受講開始前のオリエンテーションへ行くと、大手企業に勤める人たちや起業している人など、いかにも仕事のできそうな優秀な女性がいっぱい集まっていて、私の不安はさらに高まった。
 
さらにコミュニケーションツールとしてfacebookを使います、と言われ、 SNSは使わないと心に誓っていた私は最初から大きなハードルを乗り越えねばならなかった。
 
使いたくありません、と主張して反抗するほどの理由でもなかったので、あっさり誓いを破ることになる。
 
そんな感じで最初は不安と緊張でいっぱいだったが、何回か授業に通ううちに慣れてだんだん楽しくなってきた。
 
丸一日授業を受けるのはしんどかったけど、お昼休みや休憩時間におしゃべりしたり、授業で習ったことのおさらいをしたり、放課後に飲みに行ったりできるのが楽しかった。
 
普段男性だらけの職場で働いているので、私にとっては女性だらけのコミュニティというのがとても新鮮だった。
 
会社では同僚にはどうしてもライバル心を持ってしまいがちだったが、ここでは一緒に学ぶ仲間というふうに、競争心を持たずにいられた。
 
ちょうどこの頃、仕事に行き詰まりを感じていた私はビジネススクールに通い、同じ授業を受ける、仕事も志もバラバラな女性たちに会うことで救われていたのだと思う。
 
今振り返ると、会社ではそろそろ昇進のプレッシャーがかかり、本当に自分なんかにできるのか、失敗したらどうしよう、と無意識に思い悩んでいた時期だった。
 
そんな中で、色んな立場で頑張る女性たちに出会えたことで刺激を受けることができた。
 
また働き方や仕事に対する考え方は様々で、答えは一つではないのだなと感じることができた。
 
きっと、ビジネススクールへの参加を断り、ただひたすらに会社で仕事をしていただけではこんなふうに思えるようになっていなかったんじゃないか。
 
その後、半年間の授業を終えて卒論を提出し、私は無事卒業することができた。
 
この年は祖母の死や会社の昇進試験への挑戦と失敗、参加していたプロジェクトで大トラブルが起きる、など波乱万丈の一年だった。
 
それでも何とかメンタルを保ち乗り越えられたのは、半年間一緒に勉学に励んだ仲間も頑張っているんだ、と思えたからじゃないかと思う。
 
サードプレイス、という言葉がある。
 
Wikipediaによると「コミュニティにおいて、自宅や職場とは隔離された、心地のよい第3の居場所を指す」のだそうだ。
 
確かにあの時、ビジネススクールが、そこで出会った女性たちが私にとってのサードプレイスだったんだろう。
 
会社で仕事に行き詰まり、認められるにはどうしたらいいんだ、と悩んでいた時に、いつも無条件に自分を受け入れてくれる家族とは別に、ゆるく切磋琢磨できる存在のいたことがなんと心強かったことか。
 
自分のサードプレイスを持つことで、自宅と職場以外の、素の自分を出せる居場所を作ることができる。
 
それは、ビジネススクールのように授業料を払って通うような場所で無くても、例えば公園や海、行きつけの飲み屋でもいい。
 
このご時世、サードプレイスはオンラインだって構わない。
 
あんなにSNSを嫌っていた私だが、facebookに登録したことで小中学校の同級生とも再びつながることができ、今ではSNSやってて良かったなぁと思えるようになった。
 
コロナで地元に帰りづらくなってしまったので、オンライン上で交流できる場があるということで本当に助かっている。
 
2020年、世界が一変して、先行きが不透明で不安になることが多くなった。
 
テレワークが進み、自宅と職場というファーストプレイスとセカンドプレイスの境界線も曖昧になってしまい、みんな知らず知らずストレスを溜め込みやすい状態になっているんじゃないだろうか。
 
こういう時こそ、自分なりのサードプレイスを持つことをおすすめする。
 
サードプレイスに救われた私が言うんだから、きっと、間違いないと思う。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2021-02-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事