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ルーティーンの先にあるもの


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:北川 亮太(ライティング・ゼミ日曜日コース)
 
 
「またか……」
そんな思いで画面を見つめる。
いつものあれが、またやってきた。
何かを始めてから2、3ヶ月ほどするとやってくる、いつもの兆候。
一年前の今頃、そんな思いに打ちひしがれていた。
 
私は興味を持った物事については、試してみたいと思う方で色々と手を出してみるのだが、なかなか続かない。
その反面、興味を持ったらすぐ行動できる瞬発力は自分の長所と捉えていたのだが、続かないことが多いとやっぱり気持ちとしてはあまりいいものではない。
 
しかし、ここ一年続けることができているものがある。
それは、オンライン英会話だ。
オンライン○○とはどういうものか自分の目で確かめて見たかったことと、英語でしか表現されない情報にアクセスできるようになりたいという想いで始めたが、やはり数ヶ月後、案の定そのサイトを開けることすらしなくなっていた。
 
オンライン英会話の内容は自宅にいながらマンツーマンでネイティブの先生のレッスンを受けることができる。週に2回、25分のレッスンで、しかもローコストであった。
参加する為のハードルは低いように見えたが、時間が経つうちにやはり、離れていった。
そのレッスンの仕組みは「自由」という言葉に象徴され、予約のタイミング、受講の時間帯、講師の選択権は全てこちら側にあり、レッスン内容もテキストこそたくさん用意されているものの、「自由」に選ぶことができる内容であった。
 
そして私はその「自由」に翻弄されていた。
 
自由というのは、一見、とても好ましいように見える。しかし自由だからこそ、精神的な強さが求められ、セルフマネジメントが上手くできているかを試される。それが十分でないと、結局、身動きが取れなくなってしまう。私はまさにそんな状態であった。
 
そんなある時、以前どこかで「制約は発明の母」という言葉を聞いたのを思い出した。
発明のような大そうなことでないにせよ、その状態を抜け出すには、自由の中に制約を設けて自分なりの制約を形にしていく必要があると思った。
大きく分けると2つのポイントがあり、そこを形にしていった。
 
一つ目はレッスンに辿り着くまでの段階。入り口である予約を完了するまでの過程についてだ。
当たり前のことであるが、予約をしなければ、レッスンは始まらない。逆を言えば予約さえしてしまえば、目的の半分は達成されたようなものだ。あとはその流れに乗り自ずと体がついてくる。
 
以前は、空き時間を探し、レッスンをそこに当てはいくというスタンスであったが、時間を探すことにエネルギーを浪費していた。また他のことを優先させ最終的には「サボる」に着地し、精神的にも罪悪感を生んでいた。それが繰り返されると自ずとそこから逃げるようになった。
では逃げられないようにするにはどうするか。そこで、時間に制約を持たせること、忙しいと言い訳ができない朝にしか予約しないと言うルールを自分に課した。
 
時間を一旦設定してしまえば、時間探しに労力をかける必要はなくなった。レッスンに合わせて決まった時間に起床し、決まった時間に朝ごはんを食べ、授業が始まる前までに予習を終えるというデットラインを設けた。そうすると英語のレッスンが核となり、朝の生活のリズムが整っていった。
 
次は英会話の中身についてだ。
レッスンの度に毎回必ずつまずく箇所があることに気がついた。
避けては通れない毎回必ず聞かれる事項。それは自己紹介だ。
 
初めての先生とレッスンを行う際は必ず聞かれるのであるが、即興で毎回違うことを言おうとして、必ず言葉に詰まっていた。大げさに言ってしまえば、自己紹介でレッスンの良し悪しが決まると言っても過言ではない。
自己紹介では「正しい文章を止まることなく話す」ということが求められる。
集中すべきはただ一つ。暗記すること。一度正しい文章を作ったら、ひたすら同じ文章を繰り返して話す。そこにその時の気分で自由に考えるという作業はいらない。
最初は面白みに欠けると思ったが、この作業は私の心にゆとりを持たせ、レッスンの質を高めていった。
 
テニスプレイヤーがサーブの前にボールを2,3回地面につくように。イチローがバッターボックスに入った時、毎回同じフォームでモーションを行うように。ふたつのルーティーンを無意識にできるまで繰り返し、自分の型にしていった。
 
そんな制約の中で愚直に壁打ちを繰り返していたが、肝心の英語の成長や伸びはほとんど実感することは無かった。しかし、ある時、普通にいつものルーティーンを行っている中で、何とも言えない心地よい感覚を味わった。
 
まるでサーフィンで、初めて波を掴んだ瞬間、それまでの世界が一瞬にして変わるように。スキーで立つことすらままならなかったのに、何かを会得し、突然滑れるようになるように。
いつもと同じことをしているのだが、ある時、突然何かが変化する。そんな感覚であった。
 
その感覚は滅多に感じることはできない。相当な時間を要するし、それが現れるタイミングもわからない。それでも続けていくことが大切なのだろう。
 
この感覚はルーティーンが自分の一部となった時にしか味わえない、ご褒美のような気がした。
その一瞬を味わうために、今日もまたルーティーンを繰り返す。
 
 
 
 
***
 
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2021-02-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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