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キャッシュレスで物乞い


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:三浦康志(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「……」
7元の焼き小籠包を注文した私は、10元札を支払いました。するとその店のアルバイトらしき若い女性店員さんが固まってしまいました。
そうか、おつりの1元札が無いんだ、と思った私は1元札を二枚差し出しました。5元札でおつりを受け取ろうと思ったのです。
 
「……」
それでも彼女は固まったままでした。
新人さんのようでレジの操作が分からないようなのです。場所は中国上海郊外のショッピングセンター、時は2017年12月でした。
 
数十秒お見合いをした後に、ベテランの店員さんが応援に来て「こうするのよ!」と手際よく私の会計を済ませてくれました。
焼き小籠包を食べながら、なぜ彼女は10元札を収納して3元のおつりを客に手渡すということができなかったのか?考えましたが、わかりませんでした。これではレジ係失格です。でもその後も彼女はレジに立ち続けていました。
 
数日後、この話を現地の友人に話した際に、この奇妙な店員さんの行動を分析してくれました。
 
「初めて現金を使う客に遭遇してしまった」
 
のではないか、という驚くべき説を、彼は披露したのです。焼き小籠包屋の彼女は初めて現金を差し出されたため、操作方法が分からなかったのではないか、というのです。操作方法は習っていたのでしょうが、初めての現金客だったので思い出せなかったということのようです。
 
では、他の客は何で支払っていたのか?
 
それは「アリペイ」などのQRコード支払いだったのです。日本のペイペイなどと同じキャッシュレス支払いです。日本でも昨年、2020年頃からQRコード決済が増えてきましたが、まだまだ現金を使う人が多くいます。
 
その一方、2017年時点の上海では、上記のような事態が起こるほど、すでにQRコード決済が主流になっていたのです。タイムマシンに乗って未来に来ているような感覚でした。
 
「最近は財布を持ち歩かない人がいる」
 
と中国の友人が追い打ちをかけました。どの店でもアリペイなどのQRコードで支払いができるから現金もクレジットカードも必要ないというのです。アリペイはクレジットカード的後払い機能も備えているのです。
 
本当にどんな店でもアリペイで払えるのか、調査することにしました。一番キャッシュレスが普及しにくいと考えられるのは、個人商店の八百屋や肉屋です。これらの店が集積している生鮮食品市場を調査対象に選びました。
 
結果は100%でした。全ての店で、QRコード決済で買い物ができるのです。
 
驚きました。
 
市場に入店する数十店のどの店でもアリペイとウィーチャットペイのQRコードを壁面に掲示していました。中にはアリババが発行したQRコードシートではなく、それを無くしてしまったからか、コピーしたQRコードを掲げている八百屋もありました。
 
取引風景を観ると、現金を使っている人がまだいましたが、どの八百屋、肉屋、魚屋でもQRコード決済は使えるのです。それどころか、市場外の路上で野菜を並べる露天商のおばちゃんもQRコードを掲げていました。
 
なぜ市場のおばちゃんたちにまでQRコード決済が急速に広まったのか?費用が掛からないという理由とともに、偽札をつかまされない、ということも重要な観点ではないかと友人が教えてくれました。
 
これなら確かに財布を忘れても、スマホさえあれば、どこでも買い物ができます。財布を持ち歩かない人がいることが真実だと分かりました。
 
QRコード決済はノーベル賞級の発明だと思います。世界中をキャッシュレス社会に変容させられます。
今まで決済機械が店に設置されていないとキャッシュレス支払いができなかった状況を変えてしまいました。店に機械はいらないのでどんな零細事業者でも参加できます。QRコードさえあれば、支払い決済を受けることができるのです。決済機械は客が持っているスマホなのです。その意味では、スマホの発明がQRコード決済発明の母といえます。
 
生鮮食品市場の八百屋よりもビックリする事例があると、中国の友人が一枚の写真を観せてくれました。
 
「物乞いがQRコード決済で施しを受けている」
 
場面の写真です。今まで現金を入れてもらうように用意された空き缶に、QRコードが張られているのです。二つあって一方がアリペイ、他方がウィーチャットペイです。
 
中国人が財布を持たず、現金を持ち歩かなくなったら、物乞いは商売あがったりです。それを打開するために、物乞いもQRコード決済を採用したのです。硬貨しかもらいにくい現金よりもQRコード決済の方が儲かるかもしれない、と当時は思いました。
 
でも今は「物乞いのQRコード決済」は偽装だったかもしれない、思うようになりました。やらせだったのかもしれません。しかし、物乞いのQRコード決済画像は、QRコード決済を広める強力な推進役になったことは間違いありません。誰が仕掛けたのかはわかりませんが?
 
 
 
 
***
 
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2021-02-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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