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ハラハラドキドキ!ギネス世界記録への挑戦


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記事:亀村佳都 (ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「僕らのまちを世界一に!」
 
2016年1月、京都市南部にある深草商店街の人たちが言った。
ギネス世界記録に挑戦しよう、と言うのだ。
 
ギネス世界記録とは、イギリスに本部がある「ギネスワールドレコーズ」という名の組織が、一定の条件で認める「世界一」の記録だ。
「世界最高齢として日本人女性がギネス世界記録に認定されました」「世界一たくさんのおにぎりを握りました」など、ギネス世界記録に関するニュースを見聞きしたことがある人もいるだろう。
 
深草地域は、春になると筍がよく取れる。そのため、地域の特色である竹を活かして「竹とんぼを同時に飛ばした最多人数」という記録に挑むことにした。目指すは、熊本県で打ち立てられた312人を超える記録を生むことだ。
 
私は、知り合いの商店街の人たちに「ギネスワールドレコーズから送られた、英語資料を訳して欲しい」と頼まれたことがきっかけで、実行委員会に加わった。
 
「世界一」への道のりは、決して簡単ではなかった。
 
400名規模のイベントを準備する途中で、富山県で410名の新記録が出た。必然的に目標を500人に変えなければならず、当日使用する竹とんぼの数や運営ボランティアの数、会場レイアウトなど全て見直すことになった。
 
また、ギネス世界記録として認められるには、挑戦する記録ごとにルールが厳密に定められていた。
 
例えば、竹とんぼを同時に飛ばした数で挑戦する場合、参加者10人につき1人、「監視員」と呼ばれる人を配置する必要があった。監視員は、参加者が竹とんぼを飛ばした後、成功者を数える役を担う。「証人」と呼ばれる、会場入口で入場者数を数える人も3名必要だった。
 
参加の呼びかけは「実施日の3ヶ月前から」と決まっていた。
参加者集めは苦戦した。解禁日からチラシやSNSで呼びかけたものの、本番1ヶ月前に申込があったのはたった50名。これでは、挑戦さえできない。
危機を察して、商店街の店主たちは、地域の自治会、保育園、小学校、中学校、高校を訪ね、協力を呼びかけた。それ以降、毎日数十名単位での申込みがあった。そのおかげで、本番前、ラスト2週間で640名の申し込みがあった。
 
そうして迎えた挑戦日。11月の空は青く澄み渡っていた。
会場となる小学校の校庭では、特設の入退場口を作った。参加人数を正確に把握するため、入退場口は一つに絞らなければならない。これも、ルールとして定められたことだった。途中でトイレに行く場合も、「証人」に申告してからでないと失格になってしまうので、参加者は、気軽に会場を離れられなかった。
 
参加者は、ゼッケンを受け取り、入口を通り、所定の位置についた。1時間かけて参加者全員の入場が確認されると、ギネスワールドレコーズジャパンから派遣された「公式認定員」が、日頃は校長先生が話をする壇上に上がり、挑戦におけるルールを説明した。
 
合図から15秒以内に竹とんぼを飛ばすこと。
羽が回転して下、横、上に進むこと。
参加者のうち1割が失敗したら失格となること。
 
誰一人しゃべらず、会場は緊張した雰囲気に包まれていた。
説明後、公式認定員は一呼吸して、合図した。
 
「スリー、トゥー、ワン、GO!」
竹とんぼが一斉に空に舞い上がった。
わぁー、という歓声があちこちで聞こえた。
 
監視員は、参加者と話してはいけないというルールに従い、黙々と記録して会場を離れ、公式認定員とともに審査に入った。
私たち実行委員と参加者は待つこと約30分。
公式認定員が会場に戻り、壇上に上がった。
再び緊張が走った。
さて、結果は……。
 
「640名中、631名が飛ばして、見事ギネス世界記録達成です!」
 
会場から大歓声と拍手が沸き起こった。
深草が世界一になった。
保育園児からシニアまで、参加者の心が一つになった瞬間だった。
 
記録に挑戦し始めた頃は、竹とんぼを飛ばすのは一瞬でできるので簡単に思えた。だが、挑戦するために、竹とんぼを1,000個作り、会場を探してレイアウトを決め、参加者や運営ボランティアを募り、640人分のゼッケンや水を手配するなどの過程を振り返ると、全く楽ではなかった。
ギネス世界記録は、「世界一になる」という目標を掲げ、成功に向けて突き進む場であると同時に、数え切れないほどの人たちの協力なしには成り立たないものだった。それだけに、一人ひとりの参加が成否のカギを握るので、みんなで挑戦することへの緊張感や達成感は半端なかった。
 
もし、あなたのまちで「ギネス世界記録」に挑戦する機会があったら、ぜひ参加してみてほしい。「世界一長い流しそうめんの記録」や「1分間手首と手首をつないだ数世界一」「折り紙で犬を最も多く折った数」など、子どもも大人も挑戦できる記録がたくさんある。
きっと、世界記録に挑戦することの楽しさを味わい、「自分もやればできる」という自信も得られるはずだ。
 
 
 
 
***

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2021-02-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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