迷えるリーダーよ、ビジネスパーソンよ。ドラッガーを読むように元アイドル本を読め
*この記事は、「リーディング・ライティング講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:やすだともこ(リーディング・ライティング講座)
初めて“元アイドル”の本を買った。
ひょんなことから仕事でご一緒した彼女が本を書いたと知ったのは、彼女のTwitterでだった。せっかくだから読んでみようかな、と軽い気持ちで発売日当日に書店の平積みから1冊手にとった。
元アイドリング!!! 遠藤舞さんの処女作『若いカワイイからの卒業』(リットーミュージック)である。
アイドリング!!! は、2006年より活動を始めた女性アイドルグループだ。遠藤さん曰く「フジテレビお抱えアイドル」。バラエティで活躍するアイドルの先駆けという存在だったという。
彼女は創設メンバー9名のひとりで、2009年から2014年の卒業まではリーダーをつとめた。ウィキペディアを見るに、10人以上のメンバーを最年長として率いていた期間が長いらしい。
元アイドルの本ってどんなのだろう? 彼女はどんな文章を書くのかしら? 整形したって本当!? と好奇心からページをめくりはじめたが、これがもうテンポよく面白い。
たまたま今、私自身がリーダーって何? チームビルディングって? 今後のキャリアってどう広げようか、と悩んでいる。その悩みの隙間に染み込んでくるようなエピソードと彼女の経験から生まれた力強い言葉にあっという間に虜になった。
まずはリーダー論。
彼女はリーダーになってやったのは、
1 頑張らなくてもできること
2 頑張らなくちゃできないこと
3 頑張ってもできないこと
を明確にすること。
しかもいちばん大切なのが、「頑張ってもできないこと」だという。
全てを自分でやるなら組織などいらない。その自分が苦手なことが、得意なメンバーを知っていることが大切なのだ。できないことを認めてチームでカバーしあいながらいちばんよいショーを作り上げる。得意不得意がはっきりしていたのがアイドリング!!! のよいところだったと彼女は断言している。そして、苦手なら年齢関係なく教えを請い、尊敬する。
全能なリーダーなどいない。全能な人間がいないように。
リーダーだとか、CEOだとか、社長だとか、部長だとかという肩書にひっぱられて、できないことを認めない、できない人間を評価しない、ということで権威を示そうとする“リーダー”が世の中にははびこっている。そういうリーダーが人を不幸にしていくのを、私はこれまでに何人も見てきた。
と、ここでふと思った。なんだろうこの既視感は。
P.F.ドラッカーの『プロフェッショナルの条件』(ダイヤモンド社)だ。
“リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。もちろん、妥協することもある。”
“真のリーダーは、人間のエネルギーとビジョンを創造することこそが、自らの役割であることを知っている。”
“成果をあげるためには、人の強みを生かさなければならない。”
なんか似ている。いや、そのとおりのことを実践していたと、遠藤さんの本に書いてあった。しかも、とても明るい若々しい言葉でとてもわかりやすく。
『若いカワイイからの卒業』を読んでからドラッカーをめくると、なるほどこういうことだったのかと、いろいろ腑に落ちることがあった。
面白い。彼女はまだ30代始まったばかりの年齢。当時は20代そこそこなのだ。
次に、キャリア論。
アイドルは“賞味期限”が短い職種だ。彼女曰く、一生懸命打ち込んできた子ほど潰しが効かないという。
彼女もアイドリング!!! を卒業し、シンガーとして独立したのちに、一般の人、として生きていくうえで、会社員となってみたりアルバイトをしたりと、いろんなことをやってきた。
会社員生活では、自分のできないことばかりが目について、自己嫌悪ばかりだったそうだ。潰しの効かないことをやってきてしまったことで生まれた自己嫌悪。
でも会社員生活で学んだことは、「地道に積み重ねてきたことを、今度は綿棒で薄く伸ばすようにして面積を広げていく」というやり方が自分にはあっているらしいということ。
その結果、彼女は自分のアイドルだった経験も活かしながら、今はボイストレーナーを主な生業としながら、若きアイドル候補生を導く存在になっている。自分の経験や美容についてのことをnoteに書き綴るなかで、本の出版にまでこぎつけた。
私自身は、アイドルでもなんでもない。ただの会社員生活を何社かでやってきた。その時々で、寝る間を惜しんで打ち込んできた。システム導入で目の回るほど忙しかったこともあるし、編集者として徹夜も厭わず本を作り続けたこともあった。しかし、転職しようとするときは、あれもできないこれもできないと自己嫌悪に陥る。ほかでやっていけるんだろうか。あれもできない、これもできない……。
綿棒で自分の経験を伸ばしていく、という表現はものすごくしっくり来た。確かにダイナミックな肩書きではなくても、点と点がつながって線になって仕事を続けている。本を作っていた私が、今は、仕事で動画を作ったりしている。
彼女の言葉で、自分のキャリアを言語化してもらったような気がして、とても嬉しくなった。
ただのアイドル本と侮るなかれ。迷えるビジネスパーソンに読んでほしい。
メイクに迷う人にも嬉しい章もあるし、なかなかお得な1冊ですよ。
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