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毎日1時間の筋トレ+ランニングで一番落ちたものは


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記事:あんちゃん(ライティング・ゼミ平日コース)
 
私は元々、出不精だが、ここまで外出自粛生活を強いられると流石に運動不足になる。
 
私のスマホが日々の歩数を記録してくれているのだが、会社へ出勤をしていた時期は平均で5000歩は歩いていたようだ。
 
歩き回っている日で3万歩を超えている日もある。
 
それが、ステイホームを境に500歩?
いやいや、一歩も外に出ていない日なんて測定不能な日もある。
 
これでは体型も変わってくるはずだ。
 
見て見ぬふりをしてきたが、お気に入りの洋服がパンパンで入らなくなったその日から、大の苦手のランニングと筋トレを始めた。
 
出不精な私が、自粛生活でダイエットを始め、どこの肉が一番落ちたのか、私の経験談をお伝えしたい。
 
ダイエットメニューは、なるべく続けられるように、1時間くらいで終わるメニューを考え、体の様子を見ながら始めることにした。
 
このダイエットは誰かに強いられたものではないので、サボろうと思えば、いつでもサボれる。やった振りもできる。
しかし、それでは意味がないので、アプリやYouTubeを活用して、しっかりと筋肉に負荷をかけた。
 
1日目終了。
思ったより動けた自分の体に驚きながら、心地よい疲労感に浸った。
 
「このくらい軽い内容だったら続けられそうだな」
 
そう思った初日だったが、案の定翌日から全身筋肉痛に悩まされた。
足は勿論、腕も効いている。
 
痛みに耐えながらの2日目スタート。
体も重く、痛みもある中でやや苦痛の1時間を乗り越えた。
 
3日目か4日目くらいだろうか。
トレーニングをスタートする前に、言い訳が頭の中をいくつか過る。
 
今日は少し気温が低いから辞めておこうかな。
筋肉は3日くらいトレーニングしたら休ませた方がいいって聞いたな。
1日くらい休んでも明日から頑張れば変わらないよね。
 
3秒に1回くらいのペースで、ありとあらゆる理由を見つけては、休むことの正当化にできないか考えている。
 
この葛藤が毎日続くようになる。
 
この葛藤は何かに似ている。
例えば、学生時代のテスト前。
社会人になって、思い立ったように通い始めた料理教室が面倒くさくなった時。
部屋の掃除。
 
私は、これらの葛藤に一通り負けてきた。
「まぁ、いいか」
この一言で、すべてがゼロになるのである。
 
人生を考えた時、どちらが豊かなのか。
毎回の苦痛に耐えながら、ノルマを達成させるのと、
そのノルマから逃げて、自由な時間を謳歌するのと。
 
私は今まで、圧倒的に後者の考えであった。
諦めることに慣れていたのかもしれない。
 
更に、たちが悪いのが、理想を唱える願望欲だけは沢山ある。
 
綺麗で整理整頓された部屋に暮らしたい。
凝った料理をして、充実した自炊ライフを過ごしたい。
どんなファッションでも似合う、引き締まったスタイルになりたい。
 
この“願望”と“諦めた結果による現実”のギャップに毎回、自己嫌悪になるのであった。
 
そして、いつの間にか「どうせ自分なんて」という考えが前提になり
何かを始めることさえも億劫になっていた。
 
精神にたっぷりの贅肉を抱えたまま生きていた。
 
そんな自分と否が応でも向き合わなくてはいけなくなったのが、この自粛生活だった。
 
何一つお気に入りのない部屋に毎日24時間居続けなくてはいけない。
人と話すことが少なくなった分、自分と会話することが増えた。
 
生活にメリハリがない。
 
そんな時に、始めたダイエットだった。
 
私は、心の贅肉により、途中で諦めたくなる時が来ることを始めから分かっていたので、その対応策を考えていた。
私は“無”になることにした。
 
言い訳を並べ始めたら、一旦何も考えずトレーニングウェアに着替えて動き始める。
そうすると、徐々に気分が変わり始める。
トレーニングが終わる頃には「よし、今日も無事終えられた」と思うのである。
 
たまに、トレーニングをしない日もあるが、翌日には動きたくなってくる。
段々、スタンプラリーのように日々の積み重ねが楽しくなり、その積み重ねが「生きているな」という感覚にもつながる。
 
勿論、体の変化も出てくる。
少し引き締まった二の腕やふくらはぎはトレーニングの結果である。
 
しかし、それ以上に、あの怠惰な精神が少しだけ改善してきたのが一番の変化であった。
あぁ、面倒くさいなと思う前に行動をして、タスクを片付け、達成感を感じるという心のサイクルが出来上がったのである。
 
部屋はどんどん、綺麗になり、クローゼットにたまった洋服やガラクタを一気に処分した。
 
トレーニングを始めて一番、落ちたのは心の贅肉であった。
 
人生を考えた時、どちらが豊かなのか。
毎回の苦痛に耐えながら、ノルマを達成させるのと、
そのノルマから逃げて、自由な時間を謳歌するのと。
 
この問いには、人によって違うと思う。
私も、心の贅肉が落ちたからと言って、「人生が豊かになった」とまでは思わない。
 
しかし、少しだけ自分を褒められるようになった。
生きている実感を得るようになった。
 
自粛生活というのは、思いの外、人の心を貧しくしていくような気がする。
 
そんな時に、少しでも好きな自分になっているだけで、暗い気持ちや後ろ向きな気持ちを遠ざけることができる。
 
誰かから褒められなくても、自分が認めてあげられる自分。
これからの時代に必要なのは、そんなスタンスであると思う。
 
体の贅肉を落とす為に始めたダイエットから、そんなことを学んだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-03-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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