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メディアグランプリ

GIGAの時代によせて


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:関口 早穂(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「これは何に使う道具でしょう? 」
郷土資料室。
ほこりをかぶった大きな「かま」を目の前にして、子ども達がものめずらしそうにそれを見ている。
 
「これは今でいう炊飯器。ごはんを炊く道具」
 
「えーーでかくない? 」
「めちゃ重そう」
「どこで温めるの? 」
「これ、アンパンマンにいなかったっけ。かまめしマン」
 
いろんなつぶやきが瞬時に聞こえてくる。
 
「これはかまどにスポッと入れて、使うの。かまどの下では、薪で火をおこしているんだよ」
小学校3年生の社会科では、昔の道具に触れる単元がある。
今とあまりに違う形態の道具たち生活の様子に子ども達は興味深々だ。
 
「かまどのごはんおいしそうじゃない? 毎日キャンプじゃん」
「あの道具、トトロで魚焼いてたの見たことある」
「おもしろそう。こんな家で暮らしてみたい」
「火鉢でおもち焼きたい」
「この洗濯板で、お手伝いしてみたい」
 
興味が勝ってしまい、なかなか昔の人の苦労に気づくまでには教室の座学だけではなかなか難しい。だが子ども達が好き勝手なことを言う、素直な反応はいつ見ても楽しい。
 
そんな社会科の授業が終わりふと目を上げる。
設置されたてほやほやの、タブレット保管庫が教室に鎮座している。1教室に40台の端末が、春を待つ。
 
つい先日まで青い線が教室を走り、1教室にPC1台。それも時々調子の悪くなるインターネット環境だった教室に、あっという間に最新のWi-Fiも完備された。教員にも1人1台タブレット端末が配られた。
 
新型コロナウイルスの休校措置が大きかった。GIGAスクール構想がすさまじい速さで、すぐここまでやってきたのだ。
この話が文科省から発表されたばかりのころは、実際にタブレットを小学生が使いだすのはまだ数年先だろうと言われていた。だがこんなに早く整備されるとは。このウイルスも悪い所ばかりではない。
 
「オンライン授業はやらないんですか」
「この自治体は遅れていますよね」
 
いきなり始まった休校中にはそんな声も少なくはなかった。普段から仕事やプライベートで使い慣れている保護者からすれば、当たり前の意見だろう。個人的にはものすごく分かる。でも……うん。
 
さて、聞いたことあるような、ないような。GIGA。
読み飛ばしてもらって構わない。
――GIGAスクール構想とは、「児童生徒向けの1人1端末と、高速大容量のネットワークを一体的に整備し、多様な子ども達を誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された創造性をはぐくむ教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想」なのだという。
むむ……すごい1分が長い文だ。まぁ、つまりは誰一人として取り残してはいけないのだ。公教育においては特に、だ。
 
だから急にオンライン授業と言っても、端末やインターネット環境がない家庭もある。端末があったとしても大人が使っていたり、兄弟がいたりする場合には、その時間に使えないことも大いにある。
そのためにまだ一斉のオンライン授業はできないのです、と電話口では説明がなされた休校中。
 
世間が変わる速さがすさまじくて、そんなことすらも、もはや懐かしい。
もしも今後また休校ということになれば、この端末を1人1台持ち帰ってもらい、オンラインでやる選択肢も増えた。
 
さて、タブレット端末が配給されたからには、使い方や活用法をまずは教員側が学ばなければ、ということで最近は時間を見つけてはよく研修が行われている。
 
つい先日は、電子ホワイトボードのアプリをみんなで使ってみた。
「朝ごはん なに食べた? 」
そんな問いに、次々とタブレット画面上で付箋を貼っていく。
「メロンパン」「おにぎり」「みそしる」
実に速い。同時編集もできる。誰の意見なのかも一目瞭然だ。
 
これを使うと、机を4人か5人のグループの形にして、えんぴつで付箋に自分の考えを書いて、名前も書いて、それを出し合っていく……そんな今ある子ども達の姿も変わるのだろうなと思う。
 
他にも、明日の持ち物や時間割などを書く「連絡帳」
みなさんも小学校時代、覚えがないだろうか。毎日書いたあれである。
学年に応じて書く量や内容は違うが、「連絡帳を書く時間」を取って書くのが日課だ。だんだんと素早く当たり前に書けるようになっていく。
 
しかし、1人1端末の時代が来れば……
先生から連絡を一斉送信すれば、それでおしまい。
書き忘れることも、書き間違うこともないだろう。
 
今まで連絡帳が書けるように、練習してきたことは何だったのだろう……なんて笑えてくるぐらい、時代の波が押し寄せているのを感じる。常識と思っていることはどんどん変わっていく。その分、新しくできることも大幅に増えていくのだろう。聞けば最近は、タブレット端末収納ランドセルなんていうものも出てきているらしい。
 
今使っている道具は、あっという間に昔の道具になり得る。
なぜなら、我々は変化のスピードがとてつもなく加速している日々を生きているからである。
 
「これは何に使う道具でしょう? 」
色とりどりで、手のひらサイズ。裏面には貼ってはがせるのりがついている。
 
「これは昔の道具で、付箋というものです」
「えーー昔は紙だったの? 」
「なくしたりしないの? 」
 
「これは昔の道具で、連絡帳というものです」
「昔は自分で毎日、いちいち書いてたの? 」
「でもなんかえんぴつで書くの楽しそう」
 
未来のどこからか、いろんなつぶやきが瞬時に聞こえてくる……なんて。
今当たり前に使っているものを昔の道具として学んだり、面白く懐かしく思ったりする日はすぐ来るかもしれない。
 
 
 
 
***
 
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2021-03-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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