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カラスが起こした惨事反応


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:前田理香(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
バサバサバサッという羽音に気づいたと同時に、ガツンと何かが私を掴んだ。
思わず首をすくめた瞬間、遠ざかっていく「それ」を見た。
 
カラスだ!
 
少し離れた電線にとまったカラスが、私を睨んでいる。
全身にブワッと鳥肌が立った。
 
その場所は、斎場を取り囲む林の横。自宅から、通勤のため使っているバス停に向かう途中だ。朝6時という時間のため、周囲には誰もいない。
 
本当に、いつもと同じように“ただ通っただけ”だった。それなのに、突然カラスが私の頭をかすめ、頭を掴んだのだ。
 
「えっ? なんで? 何が起きたの?」
 
カラスは私の方を見ながら、時々大きく羽を広げる。その姿が、また飛びかかってくるように見え、私は混乱と恐怖で、カラスから目を離すことができなくなった。
 
鼓動はバクバクと大きくなり、手は緊張で冷たくなっていく。
一刻も早くここを離れたい。
カラスから目をそらさないようにしながら、バス停に向けて移動を開始した。
 
次の瞬間、カラスがまた、私めがけて飛んできた!!
思わず手に持っていた傘を振り回しながら、駆け出した。
 
林から離れると、カラスはいつの間にかいなくなっていた。
 
幸い怪我はしなかったが、「あれは何だったんだろう?」バスや電車の中で考えた。
「どうして?」「なんで襲われたの?」「服装が黒かったから?」「目が合ったから?」「何かカラスの癇に障ることをした?」
 
もし本気で頭を掴まれていたら、爪が頭に刺さっていたかもしれない。
そう考えると「イタズラだったのかな?」とも思えてきたが、結局一日中カラスのことを考えていた。
 
翌朝、昨日と同じ時間に家を出た。少し明るい色の服を着て、「もしも」のためにワンタッチで開く傘も用意した。
そしてカラスがいないことを祈りながら、林の横の道に差し掛かった。
 
いた!
電線の上にこっちを見つめるカラスがいた。
 
ブワッと鳥肌が立つ。刺激しないように、そ~っと通り抜けようとしたその時、バサバサッとカラスがこちらに飛んでくるのが見えた。
慌ててワンタッチ傘のボタンを押す。
バンと傘が開くと、カラスは驚いて飛び去って行った。
 
「なんで? なんで? なんで?」「明日も、明後日も、毎日カラスに襲われるの?」「あの道が通れないと、10分以上遠回りになるのに……」
いろんな考えがグルグル頭の中で回り続ける。
 
職場についても、「自分の何が悪かったのか?」を考え続け、仕事が手につかない。
暗い顔をしていたら、先輩が声をかけてきてくれた。
 
その先輩に、カラスの一件を話すと笑いながら教えてくれた。
・カラスは、6月ごろに子育てをする。(警戒心が強くなる)
・巣の近くに近づく人間を、敵とみなして襲ってくることがある。(近くに巣があった)
・子育てが終われば襲われない。(私のせいじゃない)
 
聞いて、ホッとした。
心の底からホッとした。
私のせいではなかったんだ!
 
実は、「ショックな出来事」を体験すると、どんな人でも心や体に変化が現れる。
 
例えば、
・その時の情景が何度も頭に浮かんだり、悪夢を見たりする
・神経が過敏になり、夜なかなか寝付けなかったり、少しの物音でびくっとしたり、イライラしたりする
・その出来事に関係する場所や物に近づけなくなる
などがある。
 
そして、その変化の中に、「自分が悪かったのでは?」と自分を責める気持ち強くなったり、「この苦しさがいつまで続くのだろう」と不安になったり、自信を失ってしまったりして、どんどん苦しくなってしまうことがある。
 
まさに、カラスに襲われたことで、私の中で心や体の変化(惨事反応)が出ていたのだった。
 
この惨事反応は、災害や事故、犯罪被害などの大きな出来事で、人間に現れることは良く知られている。
東日本大震災や、地下鉄サリン事件などでは、後遺症が残るほどの影響が出ているケースもある。
 
ところが、実は身近なショック。例えば、会社で上司に怒鳴られたり、失恋をしたり、試験に落ちたり、といったことでも惨事反応が現れるのだ。
 
このような心や体の変化が表れたときは、「睡眠」と「栄養」を意識して、疲れをため込まないことが有効なのだ。
 
先輩の話を聞き安心した私は、しっかり食事をし、その晩いつもより2時間ほど早く寝た。
 
 
 
 
***
 
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2021-03-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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