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4つの「1」を叶えてくれるビジネスホテルは夢の国かもしれない


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記事:松浦純子(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
みなさんはビジネスホテルと聞いてどんなイメージを持つでしょうか?
 
イメージも何も出張や旅行で泊まるための場所でしょう、というのが大方の答えだと思う。
私にとってのビジネスホテルも、翌日に仕事もしくは観光に出かけていくため、お風呂と寝るだけの体を休める場所。それ以上でもそれ以下でもなかった。
 
ところが昨年、世の中の常識を根底から覆すような事態が発生した。
出張もなくなり、大好きだった海外旅行はもちろん、国内旅行にも行けなくなった。
 
1人で1日1万円程度、家から1時間以内でのんびりできるところに行きたい!
こんな私の4つの「1」を叶えてくれたのが、意外にもビジネスホテルだったのだ。
 
近場の温泉旅館をまず考えたが、利用できる時間が短いのがネックだった。
たいていの旅館は15時チェックインで、翌朝10時チェックアウトなので朝が慌ただしく、2泊しないとゆっくりした気になれないのだ。
優雅にシティホテルもいいかなと思ったが、1人で泊まるとコスパの面でいまいちだ。その点ビジネスホテルはターゲットの多くがシングルでコスパもよく、シティホテルに負けるとも劣らない設備やサービスがあることがわかった。
例えば、焼き立てのパンや、ご当地の一品の朝食が自慢のホテル。
様々な硬さや高さの枕を選べるホテル。大浴場や天然温泉があるホテルなどだ。
 
そして滞在プランがいろいろあるのもビジネスホテルの魅力の1つだ。
夜遅めのチェックインで早朝のチェックアウトで滞在時間が短い分、安く泊まれるというプランから、リモートワーク用のデイユースプラン、のんびりしたい人向けに13時チェックイン翌日13時チェックアウトのプラン、15時チェックイン翌日21時チェックアウトという、最長30時間滞在できるプランなどもある。
 
そんな私が選んだのは神奈川県川崎市にあるビジネスホテル。
大浴場があり、それが天然黒湯温泉ということ、13時チェックイン翌日13時チェックアウトという長さ、旅行予約サイトの口コミの高さで予約を入れた。
 
めいっぱい楽しむために、チェックイン時間と同時に入る。ホテルの1階にはコンビニがあるのを発見、ひとつ目の嬉しい誤算だった。
さっそく部屋着に着替え最上階にある大浴場へ。黒湯という名の通りお湯はコーヒーのように真っ黒だけど、ちゃんと温泉の匂いがする。観光の人もビジネスの人も早い時間にはいないので、お風呂もサウナも空いており、ちょっと得した気分になる。
 
ふたつ目の嬉しい誤算は、大浴場と同じ階にライブラリーコーナーがあり、4000冊以上の漫画の蔵書があったこと。部屋に持ち込みも可能だったので、決められた冊数だけをカゴに入れて部屋へ。
 
寝っ転がりながら漫画を読み、テレビを見たり、音楽を聴いたり、眠くなったらそのまま昼寝をして、思いつくままにのんびりしていると日は暮れており、お腹も空いてきた。
駅まで行けば飲食店もあるが、部屋着から洋服に着替えるのはハードルが高すぎる。とうの昔に化粧は落としてしまったし、髪もひっつめだ。
私はコンビニで好きなものを買ってきたが、宿泊客の中にウーバーイーツを頼んでいる人もいたので、それもまた楽しい過ごし方かもしれない。
 
お酒がまわって少し眠ってしまったようだ。さあてもう1回温泉、入りに行くとするか。
女性大浴場は暗証番号の入力が必要でセキュリティーも万全、夜中でも安心なのだ。夜中の温泉、人がいないのかと思いきや意外と混んでいる。
 
都会のど真ん中で、かすかに見える程度の星空を眺めながら入る露天風呂もいい。
独り用の壺風呂という、大浴場の中の小さなプライベート空間がある。裸の付き合いなのだから、プライベートもなにもないのだが、やはり独り占めしたいという人間の本能なのか、たいてい誰かが入っている。お湯の温度もいい感じにぬるいので、黒湯にずっと浸かっていられるのも良かった。
温泉は源泉かけ流しと決めている私だが、川崎でそれを求めるのは無理だし、それ以上にこの都会の温泉は私を楽しませてくれた。
 
お風呂に入って、漫画を読んで、だらだらして寝るだけなら自宅でもいいのでは? という意見もあると思う。もちろん家でものんびりは可能だし、家は家の良さがあるが、やはりここは敢えて私はホテルステイをお勧めしたい。
ホテルでのんびりすることの最大の意義は、時間が決められているということだ。
1泊2日という限られた時間だからこそ、チェックインからチェックアウトまで、フルに時間を使って全力でのんびり・だらだらを満喫する。
漫画コーナーがあるホテルはそう多くはないかもしれないが、読みたい本を数冊もって行くのもいいと思う。映画好きの人は、好きなだけ映画を観るのもいいだろう。
 
ちなみに滞在時間は、翌日遅くとも15時にはチェックアウトをお勧めする。実は、15時チェックイン翌日21時チェックアウトのプランでも泊まってみたのだが、あまりに居心地が良すぎて、そうこうしているうちに暗くなってしまい、帰るのが嫌になってしまい、あやうく「もう1泊できますか?」とフロントに尋ねるところだった。
もうちょっといたいのに、と後ろ髪を引っ張られるくらいがちょうどよく、駅前でコーヒーでも飲んで、明るい時間に帰宅するのがいいのだ。
 
翌日も朝起きてから再び温泉に入り、漫画の続きを読み、二度寝をして、これ以上ないほどホテルでの24時間を満喫してホテルを後にした。
そして駅に向かって歩きながら、振り返ってホテルの建物をまじまじと見た。
 
「温泉」「漫画」「ベッド」「コンビニ」
これ以上ないほどの幸せな組み合わせがここにあった。この建物を夢の国と呼ばずしてなんと呼ぼう。私にとっての夢の国は千葉県某所ではなく、こんな近くにあったのだ。
 
私の4つの「1」を叶えてくれるビジネスホテルという場所。
電車から見えるあそこも、もしかしたら「夢の国」かもしれないと思うとワクワクする。
 
みなさんもビジネスホテルで1日限定ののんびりステイをしてみませんか?
 
 
 
 
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2021-03-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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