メディアグランプリ

ある男のいたずらから始まった壮大な物語


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記事:小島雄也(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「なぁ、何この難しそうな本は? 面白いの?」
 
「超お勧めだよ。読む?」
 
「いや、いいわ。俺には難しすぎる。やっぱお前って変わってるなぁ」
 
「フェルマーの最終定理」について初めて知ったのは友達の家だった。やけに難しい本が本棚にささっているので、何となく友達に聞いてみただけだった。正直なところ、初めてみたときは1mmも興味が湧かなかった。失礼だが嫌悪感すらあった。なぜなら、まずテーマがかたくて難しすぎる。そして、凄く分厚いのだ。確か400ページはあったと思う。
 
1番読みたくない理由は数学に良い思い出がないからだ。小学生のときにはすでに算数が大の苦手だった。中学生のときに両親はこれではダメだと思い、地元で凄く有名な厳しい塾に僕を入れた。先生がとにかく厳しく、いつも鬼のような形相で怒鳴り散らしていた。竹刀は持っていなかったが、持っているとイメージさせるぐらいの威圧感があった。そのせいで僕はずっと数学に苦手意識があったのだ。いや、恐怖心すらあった。結局成績は上がらず、数学に関わることはあまりなかった。
 
友達に断ってからはその本と全く縁がなかった。でも読書は大好きなので本は常に読んでいた。あるとき、BRUTUSという人気雑誌の読書特集があったのですぐに購入して読んだ。年末になると特集を組むので毎回買っていたのだ。すると、そこに載っていたのだ。あの「フェルマーの最終定理」が。内容は詳しく覚えていないが、大絶賛されていた。しかも読みやすい文体と書いてある。
本当か? と思いつつ、例の友人に聞いてみると確かにスラスラ読めると言っている。Amazonの書評で評判が良いので、騙されたと思って読んでみることにした。読むと決意したときはホラー映画をみるときの感じがあった。怖いものみたさだ。難しくて得体の知れない恐ろしさがあるのだが面白いという評判もある。複雑な気分だった。
図書館でレンタルして早速家で読んでみた。
 
「パラパラパラ……。お、面白い。しかも恐ろしく読みやすい」
なんと、序盤ですでに惹きつけられてしまった。独り言で言ってしまうほど面白いストーリーだった。数式もでてくるのだが、素人にもわかるように例え話を使って説明してくれている。ノンフィクションなのだがあまりに完成度の高いストーリーなので、フィクションものの壮大な映画でも見ている感じがした。
 
この物語の発端なのだが、フェルマーという1600年代のフランス人が超難問の数式を証明したことから始まる。この数式がフェルマーの定理と呼ばれるものだ。
 
フェルマーの定理には大きな大きな問題があった。実は問題の答えがどこにも記されていなかったのだ。本のメモ欄に書かれた僅かなヒントしかなかった。では本当は解けていないのでは? と思ったのだが数学者からすればメモの端々に書かれたものを見れば解いたことは分かったようだ。
 
「私は長年誰にも解けなかった難問を解いた。お前たち解けるものなら解いてみよ!」と言い放った。実際はこういう言い方でなく、僕のイメージだ。この感じはワンピースを彷彿とさせる。海賊王ゴールドロジャーがワンピースという大秘宝をある場所に隠した。後世の海賊達は必死にそれを探すのである。
 
このような難問を解ければ地位、名誉、莫大な報酬が手に入るはずだった。でも、フェルマーはそれをしなかった。なぜなら、彼はとんでもないいたずら好きだったのだ。自分だけが答えを知っていたかった。だから、メモに少しだけ匂わせることを書いただけで世の中に出さなかったのだ。そして、その難問を後世の数学者たちに投げかけたのだった。
 
フェルマーの死後、数々の天才数学者たちがこの問題に挑んだのだが、誰一人解くことが出来ずに散っていった。この問題を終わりにするために1人の男が挑んだ。その男こそ物語の主役となるアンドリュー・ワイルズという人物だ。このときすでにフェルマーの死から300年以上が経っていた。果たして300年以上も解けなかった問題を解くことができるのか?
ネタバレになるのでこれ以上は書くことができないが、是非読んでみてほしい。実はある日本人もこの物語に深く関係しているのだ。
 
僕は偏見により、今まで読まなかったことを後悔した。もっと早く読めばよかったと。数学というのは完全に答えのある学問だ。こんなスッキリする体験は久々だった。スマホ時代で日々情報が変化して掴みどころがない。うんざりしている人も多いのではないかと思う。そんなときこと数学はお勧めだ。
 
数学嫌いに、勿論のこと数学好きも「フェルマーの最終定理」を読んでみてはいかがだろうか?
 
 
 
 
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2021-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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