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うつ病になってから変わった世界


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:矢野 すみれ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
※実体験です。
わたしの身に起こったパターンであり、他の方では異なる場合が多いと思われます。
センシティブな内容になりますので、苦手な方はお気を付けください。
 
昨年5月。
ゴールデンウィーク前、不眠に襲われた。
せめて睡眠薬を、と思い、精神科へ向かった。
 
「うつ病、ですね。なるべく早く、お仕事をお休みすることを勧めます」
 
いくつか質問されたあと、そう告げられた。
 
うつ病。
呆気にとられた。
 
正直、自分がそんなに弱いとは思っていなかった。
今までも大変なことはいくつもあったけど、それでも乗り越えてきた。
そのくらいの自負はあったのだ。
 
しかしながら、言われてみれば、予兆のようなものはいくつもあった。
 
コロナ禍での自粛。
旅行好きなわたしにとって、家にいることを余儀なくされたのは、確かにストレスだった。
 
仕事での異動。
以前の部署に戻るという辞令が出て、目まぐるしい仕事量に追い付けなかったこと。
慣れないテレワークも要因のひとつだったと思う。
 
参加しているボランティアの会議が、うまく進まなかったこと。
 
そして、当時付き合っていた彼氏とコロナ禍を機に喧嘩が続く状態だったこと。
 
それらすべてが、ゴールデンウィーク前に重なった。
 
仕事やボランティアを始めとする、やらなければいけないことが目の前に積み上がっている。
それなのに、うまく処理しきれないのが苦しかった。
 
しかも、やらなければいけないことの大半は、自分でやると決めたもの。
自発的に始めたことをこんなところで投げ出せない、という責任感もあった。
 
そうやって何とか頑張って積み上げてきたものが、目の前であふれて転げ落ちた音がした。
 
結果的に、6月から4ヶ月間休職させてもらった。
 
1日中、何もせずに、毎日が過ぎていく焦り。
誰とも話さずに、YouTubeを見るだけの日々。
 
決まって連絡をとる人も少ない。
そして、朝起きるたびに感じる絶望。
 
あぁ、いまわたしが孤独死したら誰が気づいてくれるのだろう。
そんなことまで考えていた。
 
そのくらい、死というものがすぐそばまで近づいているのを感じていた。
 
それでもどうにかしないと、もっと落ちていく一方。
まずは家から出て、散歩することから始めた。
 
その次に、毎日に生産性がないことに気づいた。
その日を生きた証として、何か、ものを作りたくなった。
当時、近所のイオン内の書店で展開されていた、3Dパズルを手に取り、無心で作り始めた。
そのあとは刺繍にハマり、手を動かすことが楽しくなった。
 
うつ病というのは、思考がぐるぐる回り、止まらなくなることが多い。
だからこそ、手元を動かし、目の前のことに集中する時間というのは、うつ病にはとても良いらしい。
2週間に1回の通院で、「今週は刺繍をしていました」などと主治医に報告すると、「それは良いことですねえ」と褒めてくれるのも、なんだか嬉しくなった。
 
他にも、うつ病になったわたしを救ってくれたのは、小学生のときからの付き合いである本と、大学時代からの親友たちだった。
 
今まで、自分の交友関係など大したことがないと思っていたけれど、ピンチのときに話を聞いてくれて、助けてくれる親友がいるだけで、わたしの人生は悪くない気がした。
 
逆に周りの人がピンチになったら、きっと手を差し伸べられるだろう。
 
世間一般でも言われているように、やはり時間が解決するということはあるようで、休職と服薬で以前よりも良くなった。
 
随分 人間らしく生きられるようになり、少しずつ段階を踏んで復職にも成功した。
もう復職して半年だ。
 
それでも、ある日突然 不安は襲ってくる。
今でもたまに、発作かアレルギーのように、不安が一気に押し寄せてくる。
 
いつかは収まることを知っているから、親友たちに何とか支えてもらっている。
本当にありがたい。
 
少し前に調子が良くなって減薬した。
そこから2ヶ月。今も気分はまだまだ落ちこみやすい。
低気圧など、外的要因も含まれると、より悪化する。
 
1度良くなってまた落ち込むというのは、歯がゆいし、悔しい。
そんなときに親友に「ずっとベストプレイが続くわけないじゃん」と言われ、ハッとした。
 
うつ病の再発率は、50%以上とも聞く。
やはり焦らず、ゆっくりじっくり治すしかないのだろう。
 
うつ病を患って、世界は変わった。
人間はたぶん、自分たちが想像しているよりも何倍も脆いのだ。
 
体は資本であり、健康は第一。
健康でなければ何もできない。
そんな当たり前のことを思い知った1年間であった。
 
世間では未だに、うつ病はメンタルが弱い人という位置付けが強いはず。
精神論で論破しようという人もいるだろう。
 
しかし残念ながら、うつ病の症状を自分ではコントロールできない。
渦中では、自分が自分ではないように思えるのだ。
例えばうつ病を患った方が周りにいる場合、そのことを少しだけ頭の片隅に置いていただけると嬉しい。
 
今も1ヶ月に1度、通院している。
いつかまた元気に生きていけますように。
そう願い、今日も1日1日噛みしめながら生きる日々である。
 
 
 
 
***
 
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2021-04-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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