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マナーとは自己演出の最強ツールなのかもしれない


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記事:晏藤滉子 (ライティング・ゼミ 超通信コース)
 
 
なんて素敵な女性なんだろう……。
 
画面の向こうにいる、その女性はとても魅力的だった。
エレガントで落ち着きがありながら、温かみのある柔らかい雰囲気に包まれている。心惹かれる存在感を放つ人っているものだ……同性ながら憧れてしまう。
 
私がその女性を見かけたのは動画サイトの対談番組だった。
共通のテーマを持つ人同士、食事を楽しみながら対談するという流れ。
そこでは、40代とおぼしき落ち着いた雰囲気の女性(以降Aさん)と、20代のキラキラした雰囲気の女性の対談で番組は進行されていた。私はAさんに好印象を感じていたが、オープニングの場面では若い女性のフレッシュさが際立っていた。
 
「若いっていいな……」そう思いつつ、その番組を眺めていた。
会食シーンに切り替わり、対談は和やかに進んでいった。その対談風景を何気に見ていた時……あることに気づいた。
それは対談が始まった途端、Aさんがとても魅力的に輝き始めたのだ。
最初の控えめで落ち着いた第一印象から、とてもエレガントで素敵な女性に化けてしまった。「化けた」と表現したが、彼女自身の特別な言動によるものではなく、あくまでも自然体。確かなのは、彼女が放つ雰囲気が大きく変わったのだ。
 
一体何が変わったのだろうか……。
暫くAさんの様子を観ている内に、私自身が「Aさんの何か」に目が釘付けになっていることに気づいた。どうもそれが、Aさんの印象をガラッと変えた一因だったようだ。
 
その「何か」とは……食事の所作だったのだ。Aさんは食事のマナー、特にお箸の所作がとても自然でスマートだったのだ。
 
Aさんの場合、教科書通りのマナーを完璧に実践してはいなかったと思う。
無意識なのかどうかは不明だけれど、自らを美しく魅せるポイントを絞り、所作に落としこんでいるようだった。だから抜け感があり、ワザとらしさが全く感じられないのだ。お箸の持ち方は勿論のこと、上げ下げの無駄のない動きや緩急。それがとても彼女の雰囲気に馴染んでいて、エレガントな印象を与えている。対談の様子は和やかでまるで女子会のよう。お喋りに夢中になりながらも、その所作は自然で迷いがない。だから観ていて安定感があるのだ
 
Aさん流の「食事の所作」に思わず……「かっこいい!」と呟いた。
 
一方若い女性は決してマナーに反している訳ではない。でも経験値もあるのだろう、緊張からくるぎこちなさは歪めないもの。それが画像を通して対比し、「かっこよさ」は余計際立ってしまうのだ。
 
正直、食事風景を見て「カッコイイ!」と感じた事は初めてだった。
 
「食事のマナー」というと、それを完璧にこなす事は、堅苦しくて敷居が高いイメージだ。現代ではテーブルマナーも大人の嗜みのひとつだが、普段の生活に馴染んでいるものではない。身近なものでは、家庭内の躾として「お箸の持ち方」くらいなのかもしれない。
 
一般的にマナーとは、その場を円滑にする為に必要な事、相手への思いやりと云われている。様式の決まり事としてのマナーは、その場に安定感や安心感をもたらすのであろう。無駄のない流れる様な所作は、様式美であり文化でもある。ただ、Aさん流の食事の所作を見入ってからは……マナーとは「自分を素敵に演出するツール」なのかもしれないと気づいたのだ。
 
共有する場の為、相手への思いやりの為だけではなく「自己演出の為」なのだ。
 
 
素敵な女性から見出した、マナーという自己演出のツール。
果たして私自身はそれを使いこなしているのだろうか……正直自信がない。
無難にこなせても、知識として理解していても、日常生活に落とし込んでいるのは別物だと思うからだ。
 
Aさんの自然でスマートな所作は付け焼刃ではあり得ない。もしも私が、そのレベルまで達した時どんな変化があるのだろう……私の好奇心がムクムク頭をもたげてきた。多分私の好奇心は貪欲なのだろう。
 
動画サイトでお手本を確認し、三度の食事の中で実践していく毎日。
好奇心から始まったことながら……無性に面白い。半月ほど経てば、多少のぎこちなさも次第に自然な所作に近くなっている。所作も滑らかに連動してきたようだ。
 
実践の中で気づいたことは、食事の所作を意識すると確実に背筋がシャンとするということ。普段通りの食事でも何だか特別感がある。ジャンクフードでさえも意識が変われば姿勢も変わるのだ。
 
そして「ながら食べ」をしなくなるということ。
食事に集中したいということもあるけれど、人との対話なら問題はない。
ただテレビのように、情報が一方通行で受け身状態では気を取られ、一気にぎこちない所作になってしまうのだ。
 
そしてもう一つ、想定外の嬉しいオマケもあった。
それはダイエットに繋がったのだ。多分一口ごとに箸を置き、ゆっくり食事をしたことからだろう。微動だにしなかった体重が着実に減ってきたのだ。
 
 
マナーは毎日続けることで身体に落としこむことが出来る。
 
 
 
「カッコイイ!」から始まった、食事の所作という自己演出計画。そのメリットは想像以上に大きいものかもしれない。年齢や性別に関わらず、食事時の印象は重要なものだ。「この人ダメ!」と感じるシーンは圧倒的に「食事時」が多いと聞いた事がある。大勢の中の会食であっても、所作は「その人となり」を感じさせるものだし、実際見られているものだ。そういう意味でも、マナーとは、さりげない自己演出の一環と言えるのかもしれない。
 
 
マナーは、古くから引き継がれる生活の知恵であり様式美にも通じる。
それは時代の流れに沿って、変わりゆくものだろう。
でも「その人を美しく魅せる」というマナーの意図は、古今東西変わらぬものだ。それを「自己演出」にどう活かしていくのか……。
 
「古くて新しいマナーの世界」、試してみる価値はあると確信している。
 
 
 
 
***
 
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2021-04-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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