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僕を救ってくれた『3月のライオン』との出会い


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記事:前田悠太郎(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
僕にはバイブルと呼べるほど大切なマンガがある。それは羽海野チカの『3月のライオン』という作品である。
この作品のあらすじを簡単に紹介してみよう。主人公は史上5人目で中学生プロとなった17歳の将棋棋士、桐山零。彼は幼いころに家族を事故ですべて失い、孤独の中で日々を生きていた。そんな彼がある三姉妹と出会い交流していく中で、様々な変化をして成長していく。時にはコメディタッチに明るく、時には棋士同士の対局で熱く、また時には人間関係などでシリアスに物語は進んでいく。以上のような内容の作品である。
 
僕がこの作品をバイブルと呼べるほどに大切にしている理由は、その物語やキャラクターたちに魅力を感じた、というのもあるがそれ以上の理由がある。僕はこの『3月のライオン』に支えてもらった。もっと言えば昔感じていた不安や悩みから救ってもらったという経験があるからだ。
今回の記事ではそのときの経験とそこから学んだ「出会い」というものの大切さをテーマにしてみたい。
 
僕は20代前半の頃、自分自身の未熟さや弱さを思い知り気持ちがドン底まで落ち込んでしまった時期があった。自分はどうしようもない奴だ。もうこの先の人生を生きていける自信がない。という風に自分で自分のことを否定してしまい、超ネガティブで不安で心がいっぱいで落ち込み続けていた。
そんなマイナスの気持ちが渦巻いている時期に僕はこの『3月のライオン』に出会ったのである。その出会いは休みの日にふらっと立ち寄ったマンガ喫茶であった。映像化作品といった感じに宣伝が張られた棚にこの作品が並べられていて、何となく手に取り読み始めた。最初は将棋マンガなのだろうと思って読んでいったが読み進めていくうちに、それだけではないという事に気づいた。一見、主人公が将棋の世界でトップを目指して突き進んでいく物語かと思いきや、主人公とその周りの人たちとの心温まる出会いや交流などが多く描かれていた。その描かれた交流や暗かった主人公が少しずつ周りに心を開き明るくなっていき成長していく姿に、物語の中に出てくるたくさんの心に響くセリフに僕自身もとっても勇気づけられたのだ。
この作品で勇気づけられたことと当時の僕の周りの人々のおかげもあって、ドン底まで落ち込んでいた僕は徐々に良い方向へ向かうことができた。自己否定がマシになっていき、前向きに物事が考えられるようになり目の前の取り組むべきことに集中することができるようになった。そして今ではそのドン底まで落ち込んだ経験も自分にとって、大切な財産なのだと思えるようになった。
そんなわけで、この『3月のライオン』はただ面白くて好きというだけではない、自分を勇気づけて支えて救ってくれた恩人のような大切な作品なのだ。
 
ここで『3月のライオン』の中で特に僕の心に響き、印象に残っている作中のセリフを少し長くなるが紹介したい。
それはある学校の先生が自分の生徒に対して言うセリフである。
「お前が何にもがんばれないのは、自分の大きさを知ってガッカリするのが怖いからだ。だがガッカリしても大丈夫だ。『自分の大きさ』が解ったら、何をしたらいいかやっと解かる。自分のことが解かってくれば、『やりたいこと』もだんだん、ぼんやり見えてくる。それだけは俺が保証する」
このようなセリフであった。この場面を最初に読んだときに、まるで自分に対して言われているような感覚になった。その時の自分はまさにこの「がんばれない」状態だったからだ。自分の未熟さと弱さを知りそのときの「自分の大きさ」を思い知った。それにショックを受け自信を失い、自分のことを否定してしまっていたのだ。こんな状態の僕にこのセリフは深く心に刺さった。そして落ち込んでいた僕を勇気づけてくれた。「よし、やってみよう」という前向きな思いが僕の心に再び戻ってきたのだ。これが『3月のライオン』の中で特に心に残ったセリフである。
 
以上が『3月のライオン』をバイブルと呼ぶほどに大切にしている理由である。この経験から僕が学んだことがある。それは「出会い」の大切さと不思議さである。この『3月のライオン』との出会いは意図したものではなかった。たまたま入ったお店で何となく手に取ったものであり、全くの偶然であった。しかし、今振り返ってみると、不思議と当時の悩み不安を抱えていた自分がまるで導かれるようにこの作品と出会ったと感じるのだ。そのときの自分が立ち直るのに必要だったから、出会うべくして出会ったのだ。
人生の中にはそのような自分を救ってくれたり支えてくれたり、良い方向へ導いてくれる出会いがあるのである。それは僕のようにモノや作品であったり、もしくは人であったりするだろう。自分にはそんなつもりがなくても後になってみて、振り返ってみた時に気づくのである。
『3月のライオン』と出会い救われるという経験をした僕から言えることは、「出会い」というものはどこで待っているか分からない。だからこそ日々の生活のなかでの何気ない選択やそのときの自分の気持ち、チャンスを大切にして行動してみるといったことが重要なのだ。そんなに深く考えすぎることはない。とりあえずやってみよう、行ってみようという気持ちでいれば、人生がより良い方向へ向かっていく出会いが待っているかもしれない。それが今回の記事の中で僕が一番伝えたいことだ。
 
 
 
 
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2021-04-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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