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同窓会は蜜の香りか悪夢の予感か?


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記事:あこ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
なんの前触れもなく来たのが、20年ぶりの同窓会のお知らせだった。
自分を差し置いて言うのもなんだが、かつてのクラスメートが、おじさんとおばさんになっている様を見たいと思った。行ってみようかな……
 
しかし、20年ぶりの同窓会とは、蜜の香りと悪夢の予感が入り混じる。当然、我が身を振り返りお腹の周りに付いた浮き輪が気になるのである。
 
20年前は、9号だった身体も今は13号へと変わっている。行きたいけどこの身体じゃいけない……気にしているのは自分だけ、と言うことは本人にはわからないものである。
あと、3か月で9号に戻れるか。
 
職場でのお昼休み、今年50歳になるというのに美しくエネルギッシュな上司とランチをしながらその美の秘訣を聞いてみた。
いわゆる美魔女の彼女はなんと、出勤前に朝活をしていた。暗闇の中で大音量の音楽と共に自転車をこぐ、というジムで一汗流してからくるというのだ。
 
朝5時半に起床し、7時から8時までエクササイズして9時から仕事。そんなことをしている人がいることに私は心底驚いた。
この美しさは努力の賜物だったんだ! 私は妙に納得した。
そして私は決心した! 私も早起きして出勤前に暗闇で自転車を漕ぎまくるぞ!
 
善は急げだ! 私は、さっそくジムを予約した。こんなに私を急がせる原動力は、言わずもがな蜜の香りの誘惑だろう。浮き輪よ、おまえとは、もうおさらばだ。
まだ始める前が、一番理想に近い気分なのかもしれない。
 
その夜、わたしは家族に宣言した。「お母さん、明日から朝活します! ジムに行って同窓会までに、9号着られるように痩せます!」一瞬、夫と子供の箸の動きが止まった。
 
「絶対に続かないな。今まで何度ダイエット宣言してきたんだよ」口火を切ったのは夫だった。
「今回は、同窓会という目標があるから絶対にくじけないよ」自信満々に答えた。
夫か馬鹿にしたような笑いと共に言い放った「同窓会までに9号になったら、シャネルのスーツ買ってやるよ」
「いやいや、そんな金、うちにはないだろ!」と突っ込みたい気持ちを飲み込んだ。
確かに今までの私は、楽な方楽な方へ流れる怠惰な生活だった。そう思われるのも無理もない。そこまで馬鹿にされて悔しいじゃないか。シャネルのスーツは無理だとしても新しいワンピースくらいは買わせてやろう! 夫よ、見てろよ!
 
翌日から、私の朝活ジム通いは始まった。
美魔女上司と共に汗を流す。なんて気持ちいいのだろう。私は子供を産んでから自分の為にいや、もっと言えば自分の外見の為にこんなに頑張ったことはなかった。自分磨きってこんなに楽しかったのだ。暗闇の中と大音量の音楽で、私は腹に付く浮き輪の事も忘れてもう気持ちは美魔女になっていた。
 
一週間で2キロも体重が減っていた。もう私には、何もかもがバラ色に見えた。ますます私のやる気に火が付き、気がつけば毎日通うようになっていた。美魔女上司がいない日にもひとりで通い、たわいもない事を話す顔見知りもできた。その後も体重は減り一ヶ月めには3キロ減った。すべてが順調だった。
 
2カ月たった頃、思いがけないスランプが私を襲った。4キロほど減った時点で、体重が全く減らなくなった。マイナス4キロから体重はうんともすんとも言わない。
こんなに頑張っているのにどうして……気持ちばかりが焦る。
食事も減らしてみたが全く変わらない。
 
頭の奥でかすかな声が、聞こえる。「もう、あきらめちゃえば」「痩せなくたって同窓会は楽しいんじゃない?」言い訳がどんどん膨らんで、もっともらしい言葉で私をそそのかす。
 
とうとう翌日の朝、5時半の目覚ましを止めたあとに眠気と戦うモチベーションがわいてこなかった。そのまま私は布団にもぐった。何も考えたくなかった。
 
「今日は暗闇自転車、行かないんだ」夫は馬鹿にしてジムの事をそう呼ぶ。
朝、いつもより遅くまで家にいる私を見て少し勝ち誇った顔に見えた。
それから一週間私はジムに行かなかった。頑張っても成果のでない事が辛かった。
 
昼休みに、美魔女上司が、なぜ来ジムになくったのか聞いてきた。
体重が減らなくて不毛な努力に思える事を正直に話してみた。
 
美魔女上司は、帰りにデパートへ私を連れていき「値段は気にせず着たい服を試着してごらん」と言った。
言われるがままに、わたしは少しボディラインのでる9号の青いワンピースを試着してみた。
驚いたことに、まだぴちぴち感はあるものの、鏡の中には確実に今までとは違う私がいた。後ろから私の肩に手をのせ美魔女上司がウインクした。
漫画の世界以外で、ウインクしてカッコいい人が、ほんまにいるんかい! となぜか大阪弁で突っ込みたくなった。
言うまでもなく、私の心に火がついた。焦りが消えると体重もするすると落ち始めた。
 
そして、同窓会前にギリギリセーフで9号を着られるまでになった私は、夫と約束通り買い物に行った。
さすがにシャネルのスーツは我が家には無理なので、あの青いワンピースを買いに行った。
鏡に映る私に夫もまんざらでもなさそうだった。
 
ついに同窓会の日がやってきた。
私は青いワンピースに身を包み、いつもよりヒールの高いパンプスをはいた。
充実感に充たされた私は、同窓会は蜜の香りか悪夢かなんて、どっちでもよくなっていた。
 
 
 
 
***

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2021-05-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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