メディアグランプリ

目覚まし時計


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記事:己波 智司(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
昔から僕は朝起きるのが苦手だ。
学生時代に目覚まし時計をセットしていても全然起きられなくて、何度学校に遅刻したことだろう……
 
そんな僕でも、社会人になったことで苦手だった朝を克服して起きられるようになった。いや、嘘だ。決して克服したわけではなく、なんとか目覚まし時計の音に反応できる技術をかろうじて身につけただけだ。
毎度のように眠い目をこすり、2度寝したいと思う気持ちと戦い、会社に隕石でも落ちて出勤しなくてもよくなったらいいのに、などといったアホなことを考えたりしながら、すっきりしないままの頭で会社に向う日々を何年も繰り返していた。
 
月日は流れ社会人になって約15年、ずっとこのままではいけないという気持ちで試行錯誤を繰り返し、今はやっと目覚ましなしでも朝に起きられるような生活のペースをつかめるようにはなってきた。
ただ、平穏な日々の中で意識の改革が起きたわけではなく、重要な打ち合わせの日に遅刻しそうになったり、休日の会社関連の旅行で寝過ごしたりと、数々の冷や汗をかいたり失敗したりを経てなんとかたどり着けたわけだが。
 
 
今日も朝は目覚まし時計の音が鳴ることなく起きた。2018年6月18日の朝だ。
ちょっと眠さは残るものの、朝の7時過ぎくらいから妻と2歳になる息子とテレビでニュースを見ながら朝ごはんを食べ、保育園の準備と自分たちの出勤の準備をしていた。
いつもこのような朝を過ごしているのだが、今朝は最後が違った。
 
いつもよりも準備に手間取り、8時前になんとか家を出発しようと息子に靴を履かせ終わったころだった。
時刻は7時58分。玄関が揺れた。
一瞬何事だと思ったが、揺れた直後にスマートフォンの災害アラームが鳴り響き、地震だとすぐに分かった。
 
大阪府北部を震源地とする地震。
大阪市北区、高槻市、枚方市、茨木市、箕面市で震度6弱の揺れを観測していた。
大阪での震度6弱は、観測史上最大の揺れだそうだ。
正直、関西での大きな地震は阪神大震災以降ほとんどなかったので、かなりびっくりした。
僕の住む地域は震度4だったが、息子と一緒に味わった感覚ということもあり、僕自身をハッとさせてくれるには十分な威力だったように思う。
 
 
ここ数年、日本列島では地震が多い。
東日本大震災や熊本地震など、甚大な被害をもたらした地震がしばしば発生している。
そしてこの先、首都直下型地震、東海地震、南海トラフ地震など、ものすごい規模の被害をもたらすといわれる地震が来る確率が高い。
 
危ない、危険だ、備えは万全に。頭ではこのことを分かっているつもりだった。
ただ、現実は違った。
 
朝の電車が止まっている現実を目の当たりにして、大震災が起きた時にどのような行動をとったらよいのか想像がつかなかった。
普段当たり前に使っているものが少し動かないだけで、目的地に着くことができない。
そのことに対しての対処法を全然思い描けていなかったのだ。
 
僕は災害に対しての対処の意識が甘かった。
これまでの震災でも、目覚まし時計は鳴っていた。でも僕はその時計に真剣に耳を傾けていたかったのだ思う。
学生の頃は別に問題が起きてもいいやと目覚ましを無視し、社会人になっても痛い目を見ないと目覚ましなしで朝起きられるようにはならなかった。
朝起きられないくらいであれば大きな問題ではないかもしれないが、大震災への危機意識をしっかり持っていないことは問題だ。
恥ずかしい話だが、今回耳元で危険な目覚ましがなったことで、改めてそのことに気づかされたように思う。
 
自分だけでなく、今では息子の命にもかかわってくる。
子を持つ親として、もっとやらなければいけないことはたくさんある。
 
早起きするのと同じように、今すぐに災害対策が万全になるようにするのは難しい。
でも、僕が目覚まし時計なしで起きられるようになった15年もかけていては、とてもじゃないけど遅すぎる。
 
ただ、目覚まし時計なしで起きられるようになるまでに失敗したことはいい教材になってくれると思う。
なかなか実行に移してこなかった過去を省みて、自分の災害対策を早急に構築していこう。
 
終わった後に目覚まし時計が鳴ってしまっては意味がないのだから。

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2018-06-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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