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メディアグランプリ

ヒモを極めた黒猫、斎藤さん


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:祝迫智子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
私の大学には、世のヒモ男も見習うべき究極のヒモ猫がいる。見た目はただの黒猫で、その名は斎藤さん。猫はそもそも人間のヒモのようなものじゃないかと思う方もいるかと思うが、はっきり言おう。もしあなたがそう考えるなら、あなたのいうそのヒモは、もはや何でもない。パートナーに愛想を尽かされぬようほどよく気を遣うただのニートである。それに比べ今日紹介する斎藤さんは、相手のことなど全く気遣わずとも何不自由ない生活を送っている究極のヒモ猫なのである。
 
では、どれほどのヒモなのか具体的にお教えするために、斎藤さんの典型的な1日を以下に記す。
 
朝8時半。1限の授業で学生が集まり始めるころ、どこからともなく悠々とキャンパスに入ってくる。そして、定位置である大講義室前の階段に横たわり、幅広く陣取る。教室へと急ぐ生徒達はもちろん行く手を阻まれる。多くが邪魔そうに通り過ぎる中、10人に1人、2人は何故かその姿に目を奪われ足を止めてしまう。それが彼らの運の尽き。「ニャー」と一声出せば今日の朝飯はこいつらのだと斎藤さんは確信したからだ。一応、+αで足へのすり寄りもしておいて、難なく腹を満たすことに成功する。陣取ってからここまででかかった時間はわずか10分。
 
そしてそのまま朝寝して時間は昼12時。学生数に全く見合っていない学食の席からあぶれた学生をターゲットに巡回し始める。朝同様手当たり次第食べる邪魔をする。そして、可哀想な野良猫と勘違いした心優しき学生からおこぼれを難なくせしめる。斎藤さんは、あえて特定の人間に絞らない。もしそうすればご飯がだんだん手抜きになるということを彼は経験上知っている

そして時間は夕方5時。徐々に学生が帰宅し始める為、ここが夕飯にありつく為のラストチャンスである。この時間帯は、学生の行動もバラバラで、一番パターンがつかみにくい。こういう時に重宝するのが、固定のパートナーである。この時間に「かわいい~!」と有難い勘違いで近寄ってくる一定数の学生がいる。この学生達を夕飯を持ってくるキープとし、そのうちの一人二人が必ず毎日あの階段に猫缶を持ってくるようにしている。この日も斎藤さんはヨーロッパからの留学生が担当のはずだと大講義室前で待機し、ほぼ階段前から動かず1日3食ありつくことに成功した。
 
彼はまさにプロのヒモ男だ。その他力本願な生き方は、長年のサバイバルの成果か、一定数に支持され、求められている。専ら彼を求める者の多くは、必要とされることでしか自尊心を保つことができない心清き女性達である。
 
奇しくも私の大学はそういう女性が多い。なぜなら、この大学は日本で有数のSランク大学。これまで受験という戦しか経験していない女子学生の多くは、男と同等の戦闘レベルを親から求められ、その期待に応えることで自己の存在意義を実感してきた。しかし、死ぬ思いで入った大学ではいきなりリア充の波が目の前に現れ、これまでの経験では全く太刀打ちできず多くの女子生徒がそのチャンスを逃す。そして、いつまでも満たされぬ承認欲求を抱え過ごすこととなる。
 
ヒモ猫こと斎藤さんは、彼女たちのこの満たされない「必要とされたい欲」を見出し、利用することで、自らの生活を潤しつつ感謝されるという常人では容易に成せぬ神業を日々成し遂げているのだ。
 
今日も斎藤さんはあの階段で待ち続ける。自分を養いたいと自ら申し出てくる最高のパートナーを。そして私も例に漏れず、いそいそと朝の猫缶を買いに家を出る。
 
 
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2018-06-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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