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ペンを取れ!


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記事:ケンタリート (ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「健太郎が、健太郎が!」
 
私の母の母、房子おばあちゃんはそう叫びながら真っ青な顔をして家に飛び帰って来たそうだ。
 
僕の両親はその時3つ上の姉と、夏休みの間、実家のある群馬に帰省していた。
 
1歳6ヶ月の僕は、早朝におばあちゃんに連れられて散歩に出ていた時に事故は起こった。
 
散歩と言っても体の小さい僕は自転車の後ろの荷台にゴムで留められていたそうなのだが、田んぼのあぜ道を散歩している際に、トラックに背後から追突された。
 
豆腐屋の運転手の居眠り運転が原因とのことだった。
 
おばあちゃんは田んぼに自転車ごと投げ出され、小さな僕は自転車の前に吹っ飛んで、そのまま地面に落ちた。
 
本来であれば大泣きをするはずであるが、泣くこともなく、ぐったりしていたそうだ。
 
頭蓋骨と鎖骨が折れていたと聞いた。
 
その時のおばあちゃんの気持ちを考えると、とても気の毒な気持ちになる。孫を事故に遭わせてしまった責任を感じ、相当なショックを受けたに違いない。
 
その事故から生還し、生き残った僕は、今こうしてこの文章を書いている。
僕は38歳になったが、この世の中に房子おばあちゃんはもういない。
 
人生とは本当に何が起こるかわからない。その時に死んでいたら、どうなっていたのだろうかと時々思うことがある。
 
僕はいなくなるのだから、今僕の目の前にある世界はなく、僕がその時から今に至るまでに経験したこと全ても存在しないことになる。
 
残された家族は今と違った道、僕を事故で失った物語を歩んでいたことだろう。
 
もちろんその様な悲劇が起こることを望むものは誰もいない。でもこの様な出来事は常に世界中で今日も、今この瞬間も起こっている。
 
「なぜ僕は今こうしてここに生きているのか」
 
消えてもおかしくなかった命が、今こうして存在している。
 
「その人生の意味は?」
 
僕はこの問に答えることはできない。
 
唯一できることといえば、生き残った自分の人生を、を後悔なく生きることだけだ。
 
とは言え、これまでの人生で僕は多くの失敗をしてきた。諦めてしまった夢もある。
だから、後悔がないと言えば嘘になる。
 
だからこそ、僕はこの人生の旅を続け、この瞬間から前を向いて生きて行かなくてはならない。
 
「人は皆死ぬが、皆が本当に生きている訳ではない」
 
映画「ブレーブ・ハート」で主人公のメル・ギブソン演じる主人公が発したセリフだが、僕の心にずっと響いている。
 
はたして僕は「本当に生きている」のだろうか。いや、まだ十分ではない。
 
もっと自分の物語を生きなくてはならない。
 
僕が生き残った意味は分からない。でもその意味を自分で生み出すしかない。
 
人生は本を書くことに似ている。
 
途中で投げ出せば、物語はそこで途切れ、意味は未完成のままとなる。
 
だからこそ、自ら人生のペンを置くことはしたくない。
 
現時点では数多くの後悔をし、失敗を繰り返している。ここでペンをおけば、物語は途切れ、未完成の人生となる。
 
僕の人生は現時点で、不完全で、意味不明な状態だ。
 
だからこそ、ペンを持ち、書き続けたい。
 
そうすることで、もしかすると、この人生の意味を生み出すことが出来るかもしれない。
 
意味を生み出すために、書き続けたい。
 
僕は今この瞬間にしか存在していない。過去でも未来でもなく、僕はこの瞬間に生きると決めた。
 
 
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2018-07-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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