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メディアグランプリ

英語も方言も分かるようになる真のリスニング力


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:祝迫智子(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
昨年秋、私は半年ぶりに爺ちゃんに会った。
爺「元気しちょったか? (元気にしてたか?)」
私「元気してたよ〜。爺ちゃんは大丈夫だったー?」
爺「んなー。わーはびんたがやっせんくなったがよー(いやー。わしは頭が駄目になったよー)」
私「頭が?! 何があったの?」
爺「ないもなかとよ、歳よ歳! ハッハッハ(何もないよ、歳だよ歳!)」
 
話をしていて私はとても驚いた。爺ちゃんがボケが進んだと言ったことにではない。私はそれまで地元の方言に全く触れない生活を送っていたのに、爺ちゃんの言っていることが7割くらい分かるようになっていたのだ。爺ちゃんは、かなり訛りの強いしゃべり方をする人だ。しかも歯がないからモゴモゴ話す。だから、毎回3割くらいしか話の内容が分からず、どうリアクションをとるか毎回悩んでいたのだ。それがこの半年でほぼ会話できる状態になった。
 
半年間で何か特別なことをしただろうか……思い当たるのは1つしかなかった。留学だ。
私は昨年春から半年間、英語を話せるようになるため語学留学をした。場所は、南太平洋の島国フィジーである。フィジーにはフィジー語があるが、他民族も住んでいることから、学校やテレビなどは英語が使われている。その為、フィジーの人々は大抵フィジー語などの母語と英語のバイリンガルである。
 
私がフィジーを選んだのは、その国民性ゆえである。フィジーの人々はとてもフレンドリーで優しいと聞いていた為、必然的に生の英語に触れる機会が多くなると考えたのだ。私のこの読みは的中した。というより、読み以上だった。街に出れば日本人ということで話しかけられ、その度に夕食を食べに来てねと連絡先を渡される。生の英語を聞き放題だった。
 
そんな状態にも関わらず、最初の1ヶ月ははっきり言って会話にならなかった。フィジーの人々が何を言っているのか全く分からないのだ。英語を話しているのに。ここで一応言っておきたいのが、私は日本だと英語ができる方に分類される。リスニングのテストがあれば八割は合っているし、単語も大学入試レベルはクリアしている。問題はそこではないのだ。私を苦しめていたのは、現地の人々の「くせの強い発音」だった。
 
さっきも言った通り、フィジーの人々は母語と英語のバイリンガルだ。しかし、彼らは日本人と同じ英語学習者でもある。生まれてから学校に行きだすまでは完全に母語のみで生活し、学校が始まると教科として英語を勉強する。だから、日本人よりははるかに流暢な英語を話すが、発音は母語の名残を色濃く残しているのだ。このくせの強い感じを言葉で表現するのは難しいが、イメージとしては、ラフな発音をするとよく言われているオーストラリア人の英語を3倍ラフにした感じである。つまり、あまり抑揚がなく、単語単語が繋がっているように聞こえるのだ。
 
この「フィジー英語」を攻略する為に、私は以下の2点を心がけるようにした。1つ目は、一言一句把握するのは諦めて聞き取れた単語から内容を推測すること。全て分かろうとすると、最初に聞き逃しただけで諦めて残り全てを聞かなくなってしまう。それは分かる可能性を捨てることだ。
 
2つ目は、相手の話す言葉の一音一音に耳を澄ますこと。言葉といっても、話す人それぞれがくせを持っているので聞こえ方は十人十色である。一人ひとりの特徴をなるべく早く掴むことがスムーズな会話に繋がる。要は、相手の発する言葉により集中するようにしたのだ。すると、だんだんと意思疎通ができるようになり、3ヶ月経つ頃には現地の人のくせも少しつかめるようになった。そこからはもう普通の会話を楽しむことができた。
 
こうして英語耳を鍛えた半年間は無事終わり、一旦地元に帰ることにした。そして、冒頭のように爺ちゃんと会話が出来ていることに驚くこととなる。そう、私は半年間で英語を聞き取る力を身につけただけでなく、方言までも聞き取れるようになったのだ。思ってもみない成長だった。しかし、不思議と「それもそうか」と納得できた。英語も方言も単語が異なるだけで、言葉という同じ物であることに気づいたからだ。
 
言葉が分からない時、単語の知識の問題でないならば、あとは聞く姿勢の問題であるのだ。英語も方言も、聞き取れるようになるには一音一音を逃さぬよう聞き、聞き取れた単語から話を推測する力が大切だと私は学んだ。

 
 
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2018-07-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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