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怪我に感謝


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:丸山 泰宏(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「ズーン」
私の身体に衝撃が走った。
高校3年生の春に、サッカーの試合に参加していた時のことである。
高校3年生の春といえば、部活動をやっていた人ならばわかると思うが、高校3年間において非常に大切な時期である。
上級生がいなくなり、自分達の世代が主力となり、高校生活最後の大会に向けて全力で部活動に打ち込む時期である。
 
私は、サッカー部のキャプテンとして活動しており、サッカーがなければ学校に行く意味がないと思うくらい、サッカー漬けの毎日を送っていた。
そのような大事な時期に大怪我をしてしまったのである。
チームに対してすごく申し訳なく感じたし、何より自分自身にすごくがっかりした。
 
最初は、楽観的に考えていた。
「2週間もすれば良くなり、またすぐに皆と一緒にサッカーができるだろう」と考えていた。
 
しかし、痛みは一向にひくことなく、むしろ日が経つにつれて痛みは増していった。
さらに、少し右脚がしびれているような感じもした。
そこで、私は整形外科へ行くことに決めた。
病院に到着し、診察をうけると医者はMRIをとるように、私に勧めた。
MRIを撮るのは初めてだったので、あの独特な狭さと音が私を更に不安にさせた。
「あまり大きな怪我じゃありませんように」と心の中で祈った。
 
MRIでの撮影を終了し、診断結果を聞くために、再び医者の元へ戻った。
医者は私が「椎間板ヘルニア」であることを告げた。
 
椎間板ヘルニアがどんな症状なのか知らなかった私は「椎間板ヘルニアとはどんな病気で、どれくらいで治るのか」と医者に尋ねた。
 
 
 
「簡単に言うと、椎間板の中にゲルのようなクッション材が入っていて、そのゲルが椎間板からはみ出してしまい神経を圧迫してしまう怪我のことだよ」
と医者は、MRIで撮影した写真を見せながら私に説明をした。
 
さらに医者は説明を続けて「どれくらいで治るかについては、まだわからないけど、リハビリをしながら経過を見ることにしよう」と言った。
 
その日から、私のリハビリ生活は始まった。
リハビリを開始した当初は、身体の痛みよりも部活の皆に対する申し訳なさと、リハビリに行く際に送り迎えをしてくれる母親に対して申し訳なく感じた。
 
「こんな大事な時期に怪我をするなんてキャプテンとして失格だな」と思った。
 
1ヶ月、2ヶ月と身体が自由に動かせない日々が続くと、だんだんストレスが溜まってきた。
次第に「どうして自分がこんな思いをしなければいけないのだろう」と思うようにまでなっていった。
 
私の心は少しずつ荒んでいった。
そして、すこしずつ母親との関係も周囲の友人との関係も悪化していった。
私は、「この苦しさは誰にもわからない」と完全にふさぎ込んでしまっていたのだ。
 
私は、「サッカーなんてもう辞めてしまおうかな」と思った。
 
そのような気持ちで、数週間過ごしたにも関わらず友人や母親はいつも私とコミュニケーションを取ろうとしてくれた。
 
当時、私はその優しさに対して全く反応することができなかった。
その時のことを考えると、自分自身の愚かさに恥ずかしくなる。
 
私が、その有難さに気がついたのは、それからしばらくたってからのことだった。
ある時、「できることなら、本当に変わりになってあげたいくらいだけど、そうはいかないからね」と母親が残念そうに私に言った時のことだった。
 
その時、私は「みんなはきっと私の苦しさを完全に理解することはできないのだけれど、理解しようとしてくれているんだな」と感じた。
 
それから私は、今自分が置かれている状況でできることを考えることにした。
なるべく部活に顔を出すようにしたり、少なくとも私とコミュニケーションをとろうとしてくれる人に対して嫌な思いをさせないようにといった些細なことであるが、出来る限りそうすることに決めた。
 
他人に嫌な思いをさせないためにどうすればいいかということや、心を強く保つためにはどうすればいいかを学ぶために私は、たくさんの本を読んだ。
今まで学校の教科書や参考書以外の本をほとんど読んだことがなかったが、本を読むことで学べることは、すごく多いということに気づくことができた。
 
心がけを変えたことと、たくさんの読書のおかげで、自分の精神も安定させることができるようになり、一度悪化しかけていた人間関係は次第に良くなっていった。
 
そして最終的には、椎間板ヘルニアについても良くなり、高校生活最後の大会に間に合わせることができた。
大会の結果はあまり良いものではなかったが、チームメイトから今まで「色々あったけど、キャプテンとして頑張ってくれてありがとう」といわれた時は本当に辞めなくて良かったと思った。
 
怪我をしたことは不幸だったけれども、今も読書の習慣があることや、母親や友人に対して人一倍感謝の気持ちを持つことができているのは、この怪我のおかげであり、今では怪我をして良かったとさえ思っている。

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2018-07-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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