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子供の時ぐらい全力で真剣に遊んでおけ


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記事:ネコテラス(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「子供は勉強なんてしなくていい。遊ばせておけば勝手に学ぶよ」亜美先生の口癖だ。亜美先生は、小学校高学年の時の担任の先生。言葉どうり、勉強より遊びが最優先。
亜美先生は大人の格好をしているが、誰よりも子供らしい。先生と一緒に遊んでいるときは、大きな目を輝かして、誰よりも楽しそうに遊んでいる。
 
亜美先生が担任になった最初の日、「じゃ、時間割はみんなで決めてもらおうかな」と驚くべき発言をした。後にも、先にも、そんなことを言った先生はいない。
授業は本当に、生徒の要望どうりになった。もちろん、亜美先生のアドバイスはあった。
決めた時間割の5時間目は必ず体育になるようになる。これは理由があり、効率よく遊ぶための工夫のためだ。
体育の時間になったら、まず帰り支度をしてランドセルを持って、グランドや体育間に集まる。
例えば、体育の時間にサッカーをしたら、授業時間が終わってもサッカーは終わらない。そのまま、放課後の時間もサッカーが続くのだ。だいたい、日がくれるぐらいまでサッカーをやって、やっと帰らせてくれる。ランドセルを持って行ったのは、そのまますぐに帰れるようにするための工夫。
 
「先生、塾があるので帰らせてください」と、言おうものなら、「塾なんて行かなくていい。しっかり遊んでいけ」と、亜美先生は激怒する。
サービス残業に不満をもつ会社員と同じように、早く家に帰りたがる人も数人はいたが、
基本みんな遊ぶことを楽しんでいた。
 
効率よく遊ぶための工夫はまだまだある。亜美先生は突然授業内容を変更しだす。例えば、算数の授業が突然、ベーゴマの授業にかわり、ベーゴマの巻き方、歴史、対戦の仕方の授業が始まったり、みんなでベーゴマ大会がはじまる。
 
他にも、外部講師を雇ったと言い始め、近所のお年寄り大人数を集めて、一緒にゲートボール大会が始まったこともあった。
 
突然授業内容が変更されるために、本来やらなければいけない授業がどんどん遅れてしまう。そんなとき、亜美先生は、授業時間を減らすようなことはしない。しっかりと先生としてやるべき授業はやる。1時間目から、4時間目まで、休憩時間なしで授業を進めるのだ。さすがに、集中力がキレてくると、氷砂糖をみんなに配りだすという荒技で生徒を喜ばせる。
 
亜美先生の授業に、親からの不満はすごくクレームも多かったが、遊ぶことが大好きな僕らにとっては最高の先生。他のクラスからの嫉妬の目がすごかった。
 
亜美先生は「大人になったら遊ぶことはできなくなる。遊べるうちに限界まで遊んでおけ」と、よく言っていた。
 
今実際に大人になってみて、亜美先生の言葉を思い出す。
僕らは大人になって、遊ぶことはできなくなったのか。
 
大人になってからの遊びって、純粋な遊びというより、遊びという言葉の裏に、なんでも利害や欲が見え隠れしている気がする。
 
遊びに行って、恋人を作りたい。
遊びに行って、人脈を作りたい。
遊びに行って、ストレス発散したい。
遊びに行って、お金を作りたい。
その他…
 
利害や欲がなければ、遊ぶことができないのが大人なのかもしれない。
 
「大人になったら遊ぶことができなくなる」という亜美先生の言葉には、大人になったら、仕事や、生活、その他もろもろあり、時間がなくなることによって、遊ぶことができなくなる。そういった理由で言ったと思っていた。
 
でも、考えてみたら、そうではない。
子供の時の遊びって、座禅みたいなもので、何にもかんがえることもなく、何にも利益を求めることもなく、ただ、ひたすら遊んでいたような気がする。我を忘れたかのように。
 
純粋に遊ぶという楽しさ、ただ、それだけのために遊んでいた。大人になってからの遊びのような、利害や欲はこれっぽっちもない。

亜美先生は、純粋な遊びができるうちに、限界まで遊ばせてくれたのではないのか。もちろん、今でも子供のような心で遊ぶことができる人もいるかもしれない。
子供のような心で、大人になっても遊べる人は、きっと子供の頃に限界まで遊んだ人なのかもしれない。
亜美先生は、確実に限界まで遊びきった人だ。あんな純粋な子供のような大人はいない。
 
勉強をすることも大事だが、子供の時から、大人の真似事のように利害関係を重視して、勉強すれば良い大学にいけて、良い会社に入れて、良い結婚できてと、そんなことばかり教えていないで、利害関係のない純粋な遊びをたくさん教えてあげる方が大事な気がする。
 
小さい頃から大人の真似事はやめて、子供の頃ぐらい真剣に遊んでおくべきだ。

 
 
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2018-07-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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