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子供に勉強、してほしいなら


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:川崎亮(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「あーあ、若い頃にちゃんと勉強しておけばなぁ」
 
大人になってから学ぶ楽しさを知った人が、常套句のように言う言葉だ。
学生時代の頭が柔らかいうちに勉強しておけば、今よりもっと吸収率もよかったのに。
若い時から勉強を継続して頑張っていれば、今よりはるかに知識も蓄えられて仕事にもいかせたはずなのに。
 
そんな風に、理想の自分と現実の自分との差を、「若い頃真面目に勉強しなかった自分」のせいにする。
そんな大人が次に何を言い出すかといえば、大体決まっている。
そう、「若いうちに真面目に勉強しておけよ」
これだ。
 
そういう人たちを見るたびに、僕はとても腹が立ってしまう。
あなたが若い頃勉強に励まなかったのは、頑張りが足りなかったからではなくて勉強することの楽しさをしらなかったからじゃないんですか?
ほかにもっと楽しいことがあってそれを優先したからじゃないんですか?
 
そんな中途半端な後悔とも反省ともつかないような言葉を並べても、響くわけがない。
本当に若者に勉強してほしいんだったら、もう少し頭使えよ、と思ってしまう。
 
僕自身が学ぶ楽しさに気づいたのは、割と最近のことだ。
ある小説の主人公が、とても教養の深い人物で、いろんな知識をベースに物事をさまざまな観点から考察していく。
そうした教養が、主人公と世界との接点になっていて、それがきっかけでいろんな出会いが生まれて小説が展開していく。
 
この本を読んだとき、教養があるかないか、それが人生の豊かさを大きく左右するんじゃないか、と思ってそれ以来暇さえあれば歴史の本を読むようになった。
学生時代から歴史が好きでたくさん本を読んできた人にはもちろん敵わないけれど、自分の興味の範囲について知識が深められればそれで十分だと思っている。
僕が惹かれたのは、魅力的な主人公に対してであって、決して作者の「若いうちに勉強しておけよ」なんていう説教ではない。
そしてここに、若い人を勉強に掻き立てるヒントがあるんじゃないかと思っている。
 
僕の母は、小学校のボランティアで「読み聞かせ」をやっていた。
グリム童話とか、アンデルセンの昔話とか、そういうやつだ。
小学校で子供たちに聞かせる前に、家でよく僕や弟を相手に練習をしていた。
母の話すお話は時代を超えて愛されてきたお話だから、面白く、時には同じ話を何度も聞かせてとせがむほど、僕も弟ものめり込んで聞いていた。
 
そんな母に育てられたから、小さい頃から小説を読むのが好きだった。
ほとんど勉強はしなかったけど国語の成績はよかったし、それは大学入試まで続いた。
思い返してみると、英語も数学も、物理化学も、学問として楽しんでいる先生との出会いがあった。
楽しそうに話す先生の授業は面白く、少しも
だから勉強しよう、などと思うまでもなく興味をもったし、知らないことをそのままにしておくのが居心地悪く、結果的に自分で参考書を買って自主学習もしていた。
 
当時は受験勉強をしなきゃ、という意識があったから当たり前のことだと思っていたけど、勉強が苦じゃなかったというのは結構羨ましがられるようだ。
 
社会の仕組みで強制的に勉強させられていた日々を終えて、いま改めて勉強することが楽しくなっている。
僕にとって「歴史」だけが、当時まったく勉強に身の入らない科目だった。
大人になって歴史の面白さに気づいてから、ようやくその理由がわかった。
これまでたくさんの先生に授業を教わってきたが、歴史の先生だけひとりも思い出せないのだ。
授業の内容も、年号や事件の名称をひたすら記憶させる詰め込み型の授業だった。
 
最近になって歴史がとても面白くなってから、僕も「若い頃にちゃんと勉強しておけばなぁ」と思うようになった。
けれどその矛先はちゃんと勉強しなかった若い頃の自分には向かわない。
歴史を学ぶことの面白さを、教えてくれなかった先生に対して、憤りに近い感情を抱いている。
周りから羨ましがられるほど、自主的に勉強に励んでいた僕ですら、避けていた科目だ。
もともと勉強が好きでない子たちからすると、地獄の時間だったに違いない。
 
僕には子供もいないし、日常的に接する子もいない。
けれどもしいつか、「この子にはちゃんと勉強してほしい」という子ができたとき、決して「若いうちにちゃんと勉強しておけよ」とは言わないだろう。
勉強することを楽しんでもらえるよう、いろんな知識を身につけて人生を楽しむ姿を見せてあげられること、それが一番その子に響くんじゃないかな、と思っている。

 
 
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2018-07-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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