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経営コンサルタントはアドバイスをしてはいけない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:鈴木佳文(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「え? こんな小さなお店を診断するんですか?」
 
中小企業診断士の実務補習。
指導員を担当していた時、僕が提供した診断先に対して不満をいう実習生が結構いた。小規模な実習先を提供するという事で、指導員として侮った対応をしてくる人さえいたものだ。
 
甘い、甘すぎる。
 
「経営コンサルタントとして唯一の国家資格を取って、先生になるのですから予行演習として小規模企業を経験しておいて欲しいのです」
 
僕のセリフに首をかしげる人も多かったけれど、そういう人は終了間際には大抵が自分の力不足に落ち込むことになる。
大企業でそこそこの地位を持っていても、筆記試験で良い成績を取っていても、大抵の人は経営コンサルティングの現場で揉まれたことはないのだ。
僕のことを侮るのは一向に構わないけれど、小さいお店だからといって上から目線で店主に接するのは絶対に許されない。
 
僕は、小規模企業の支援のほうが、難易度が高いと思っている。何故なら、中堅以上の会社と違って使える資源が限られているからだ。人は採用できない、資金は不足している、設備は新しくできない、などなど、無いものが多い。しかも、どんなに理論的に正しくても店主がその気にならなければ改善策は絶対に実行されない。
 
だから、実務補習の指導員を担当するときには敢えて診断先に小規模企業を選ぶし、実習生を厳しい目で見てくれるように店主にお願いしている。
そんな僕も、資格を取ってしばらくは、役に立つアドバイスをしなければならないと考えていた。
「先生、そんなことはとっくの昔にやってみたんだよ」
「理屈だけじゃなくて、やってみせてよ」
「やった方がいいのは分かるけど、無理」
反論や否定をしてくれる店主はまだましで、分かったと言いながら全く動かない。そんなこともしばしばだった。実際に店頭に立ってお客の呼び込みをしたり、店舗の掃除をしてみせたり、商品の陳列を変えて売ってみせたり、成果を見せなければ信頼は得られなかった。
 
ある時から、よく話を聞いて一緒に選択肢を考えるスタイルに変えた。まだまだ、僕の中の教えたがりが顔を出すこともあるけれど、店主が動いて結果が出るのは、アドバイスをせずに店主が自分でやることを決めた時だ。
 
店主自身にも様々な背景がある。そんなことも理解せず、理論だけで分かったようなことを言ったって相手の心に響く筈がないのだ。
よくよく背景を聞いていれば、相手の方が自分よりも経験豊富なんてことは良くある話。
 
経営コンサルタントは常に実力を試されている。それを忘れてはいけない。
ある商店街の会長さんは、「僕もね、中小企業診断士の資格を持っているんだ」と、改善策の提案後にニヤリと笑った。
ある飲食店の店主は、「あの人たちは、現実とかけ離れた客単価を言うから信頼できなかったよ」と苦笑いしていた。
別の飲食店の店主は、「商業施設でテナントの経営指導をしていたんですよ」とこっそり教えてくれた。
 
そんな経験や知識が豊富な人たちでも、自分が困難な場面に立った時は冷静に判断が下せない時がある。視野が狭くなってしまうのだ。
僕たち経営コンサルタントがお役に立てるのはまさにそんな時。
視野を広げ、選択肢を増やし、経営者が前に進む勇気を引き出す、一緒に汗をかく伴走者が必要だ。
 
これから、経営コンサルタントを目指す人は、心に留めておいて欲しい。
経営コンサルタントは、アドバイスをしてはいけない。
信頼関係もできていないうちからアドバイスをしたところで経営者の心には届かないし、相手の方が知識豊富で恥をかくことだってある。
伴走者としての自分の立ち位置を忘れてはいけないと思う。
中小企業診断士の実務実習が終わった後、「○○さんは元気でやっているかなぁ……」と店主が折に触れて思い出しているのは、カッコいい提案をした人ではない。泥臭くてもお店のことを真剣に考えて店主の立場に立って懸命に取り組んだ人だ。
 
これから、経営コンサルタントを活用したい人は、ちょっと寛容になって欲しい。
その分野では経営コンサルタントより遥かに経験豊富かもしれない。
でも、第三者からの意見は、視野や選択肢を広げる役に立つことだってあるのだ。鼻で笑って静かに拒否するよりも、要望や不満をストレートに伝えて、うまく活用して欲しいと思う。
 
経営改善の現場なら、直ちに改善しなければならないことも多い。でも、問題を抱えているのは経営コンサルタントではなく、経営者であり、その会社の社員たちだ。だから、問題を解決していくのも当然ながら、経営者であり、その会社の社員たちであるはず。
 
その問題に関するカリスマみたいな人なら、アドバイスしたって現場は動くだろう。そうでなければ、アドバイスよりも視野を広げたり考えを整理したりするサポートをした方が、現場は受け入れやすい。
 
自分の力に確信を持って「〇○しなさい」と言える、「私がこの問題を解決します」と言えてしまう、カリスマコンサルタントの人達を凄いと思う。
経営コンサルタントになることを考えた時、そんな風になりたいと思ったこともあるけれど、いまは経営者を勇気づける伴走者でありたいと思っている。

 
 
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2018-07-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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