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私の行動指針は腰抜け体験から


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:北村涼子(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
今から約20年前、腰が抜けるという体験を始めてした。
大学4年生の夏。 夏休みもあとわずかで終了、という時期。
突然大学の学生部から連絡があり、今すぐ来るように、と指示された。
なんだろなー、と気楽な気持ちで出向いた私はそこで、まんまと腰を抜かしてしまうハメになる。
 
当時の私は、就職も決まり前期には教育実習も履修し、あとはもう卒論のみ、という状態であった。 教育実習でだいぶと疲労した私は長期休みになればお世話になっている野沢温泉村の民宿でアルバイトに勤しみながらさんざん遊び、解放感いっぱいで楽しんでいた。
「残り少ない学生生活を謳歌するぞー!!」と言わんばかりの弾け具合だった。
 
そんな浮かれた足取りで大学の学生部の窓口をノックした。学生部の課長といつもの見慣れた事務員さんが「伝えなあかんことがあるんや!」とふたりで血相を変えて私に向かってきた。
「なにごと?!」とびっくりしながら構える。
 
「あんた、必修単位、足りてへんよ!」 と。
 
「?!」 なんと私は2年生の時に取るべき必修科目を見落としていた。
 
「このままやったら卒業できひんよ!」 と。
 
「えーーー!!」
走馬灯のように様々な恐ろしい情景が頭を巡る。
就職決まってるんですけど?!
大学4年生をもう一度?!
奨学金もらいながらギリギリで親に学費払ってもらってるんですけど?!
たった1科目の2単位のために学費もう一回?!
親になんて言えばいいの?!
 
うっわ、これが腰抜ける、てやつかー。
カウンターにしがみつかないと腰から落ちていく感覚。
 
「え? え? 私どうすればいいですかね?!」 もう思考回路もなにも機能しない。
パニックとパニックが一緒にやってきて超パニック。
とにかくその日は頭の中真っ白な状態で帰宅した。
いや、まだ何が起こったのかそこまで把握していなかったと思う。 自宅で母に伝えた瞬間に事のでかさをしっかり感じた。
 
大学入試もほとんどの大学を落ちて、このままでは浪人か!? というところで辛うじて引っかかった大学。 浪人している余裕は家にはないし、とにかく現役で大学に入りたかった。そこで取得したかった教職課程も何度か挫折しそうになりながらもしがみついてきた。 教職課程によって他の学生より増えた必修科目にもしっかり取り組み、単位取得に必死になってきた。
なのに、何これ。
 
私は自分のアホさ加減に開いた口がふさがらなかった。それを聞いた母も一瞬自分の娘が何を言っているのか理解できなかった様子。
いや、わかっている。母が何を言いたいか、ものすごくわかっている。
全部、私から生じた問題、私さえしっかりしていたら起こらなかった問題。
「留年or退学」という言葉の重さに苦しみながら、部屋にこもって泣き続ける私に母は
「時間とお金がかかってもいいから卒業しよう」
と話してくれた。
そうは言っても家の経済的なことを考えると留年する1年間の負担が心に重くのしかかる。
それと一応軌道に乗り、就職も決まり、あとは時間が流れるのを待つだけ、という調子に乗ってきた事柄がすべて撤回される。
経済的な心配と、ここにきてまで気にする体裁。
二十歳そこらの私はもう泣くしかなかった。
 
しかし母の「卒業しよう」の一言で心が起き上がった。
泣いていても何も進まない。
「相談してくるわ」と入学からずっと教職課程やゼミでお世話になっている教授に会いにいった。
ことの全てを話す。
教授は「学部長に話してみる」と。
どんな展開になるか全くわからないまましばらく教授からの連絡を待つことになった。
 
結論
「夏休み明けから2年生と一緒にその落としていた課程を履修すること。ただし、通年の受講が必要なところを半期の参加で単位を与えるわけであるから毎授業のレポート提出、テストの点数等、誰よりも厳しく判定する」
ということ。
 
泣いて喜んだ。
 
うちの大学は当時は学部が3つだけで1学年千人ほどの小さな女子大であった。
そんな大学の規模も手伝ってか私の今回の特別な処遇が決まった。
今、勝手に「時効」と判断してこのように公に書いているが「今回のことは絶対に外部にもらすなよ!」と大学から厳しく釘をさされていた。
 
そうと決まれば、気楽に過ごしている友人たちを横目に図書館に入りびたり、分厚い本とにらめっこをする毎日。
「どうしたん? めっちゃ勉強してんなぁ」とよく言われたけれど「えへへ」なんてよくわからない返事しか出来なかった。親友にさえ自分のこの失態と大学の柔軟な対応を明らかにすることはできなかった。
その後、めでたく「優」という成績をとって無事に卒業が決まり、大学のこの対応に足を向けて寝られへんわ! という感謝しきれない気持ちで卒業した。
 
当時のことは、卒業して約20年経つ今でも、なかなかの頻度で夢に出てくる。
「やばい! 卒業できひん!」とうなされる。
22歳でこのような経験をした私はそれからの人生、順調に事が運んでいる時には必ず周囲を見回す癖がついた。
「こんなにうまく行くってことはどこかに見落としがあるのではないか!?」と反射的に思う。
浮足だった瞬間には「待て待て、私。調子に乗るなよ」と足元をしっかり確認する。
おかげ様で今のところあの腰抜けは二度目を経験することなく過ごすことができている。

 
 
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2018-07-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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