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サトリ、サトラレる時代に生きる僕らは


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:鹿熊健(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
15年ほど前に『サトラレ』という漫画・ドラマがあったことをふと思い出した。
SNS全盛のいま、私たちは現実に『サトラレ』に近い世界を生きているのかもしれない。
 
「サトラレ」とは、頭に浮かんだあらゆることが周囲に筒抜けになってしまう特質を持った人々のことで。正式名称は「先天性R型脳梁変成症」という。「サトラレ」はみなとびぬけた才能の持ち主であるが、本人がサトレラであることに気づいてしまうと精神が崩壊してしまう危険があることから、サトラレ対策委員会なる組織がかれらを保護している、というのが物語の大筋となっている。
 
『サトラレ』では本人の思考が本人の意思に関係なく、周囲に全て漏れてしまうということでSNSとは大きく異なるが、私たちはいまではTwitterやInstagram、Facebookをつかって自分が見たことや感じたことや、考えたことを瞬時に世界中に発信できる。言ってみれば、だれもが「サトラレ」になった世界を生きているのだ。
 
『サトラレ』においては、本人の思考が周囲に伝わるのは数十m~数㎞というという設定だったが、私たちの世界では4万km先まで瞬時に意思を伝えることが出来るので、ある意味で『サトラレ』の設定を超えている。
 
これまで長い間、自分の考えや意見を周囲に広く伝えることが出来る人というのは限られていた。それは政治家であり、新聞記者、大学教授、小説家、アナウンサー、経営者であった。考えを発信するというのは、そうした専門的なスキルや知識、権力を持った特別な人たちにだけに許された特権的な力だった。
 
それが今ではテクノロジーの力によってだれもが次の瞬間には何万、何百万の人への発信力を持つ「インフルエンサー」となる可能性が開かれているのだ。
 
「サトラレ」の中には心を病んでしまう人が現れる。彼らは自分が密かに持つ性癖や残虐性や悪意が周囲にすべて伝わってしまうという事実にたえきれなくなってしまうのだ。
 
私たちのだれもが人には言えない秘密の性癖や空想、妄想を1つや2つ持っているだろう。それらが全て周りの人に知られてしまっては恥ずかしくて耐え切れないだろう。
 
さいわいにも私たちは、そうした思考を自らの心のうちに留め実際に行動に移さない限りは問題にはならない。私たちはそんなはずかしいことはSNSに投稿しなければいいのだ。
 
しかし、この「SNSに投稿しない方が良い」という基準が実はとても難しい。
自分と自分の周りの人々の間では「普通」とか「当たり前」と思っていたことが、ある人にとっては不快に思ったり、気に食わなかったり、差別や中傷につながることがたくさんある。
 
これまでだったらお互いに出会うことのなかった人たちが、SNSという広場におどり出て、好き勝手に喋りはじめたから、いたるところでぶつかって摩擦が生じている。
 
そして、どこかで煙があがると、行き場を失ったたくさんの不満が野次馬のように即座に集まりその場が大炎上することになる。
 
意見の衝突はストレスであり、体力を消費し心をすり減らす。だから、人はなるべく衝突を避け、なるべく乗りの合う人たちが集まる。それが「ブロック」という行為であり、またネット上に生まれているたくさんのコミュニティなのだろう。これはとても自然な流れだと思う。
 
では、このさきSNSの世界では、それぞれのコミュニティがコミュニティの内側にどんどんとこもっていくことになるのだろうか。『サトラレ』では、「サトラレ」の思考を受信することが出来ない「サトラレズ」といった人間も登場するが、私たちも自分と意見の異なる個人や集団との交流をどんどんと遮断していくのだろうか。
 
あるいは衝突しながらも違いを認めつつ何らかのマナーやルールを形成しながら、意見の交流が続くのだろうか。
 
SNSのおかげで私たちは、これまでは「特別な」人たちに大きな声に埋もれてしまっていた「ふつう」のひとたちの声を聴くことが出来るようになった。
 
自分と同じ悩みや興味を持つ人がブログで語ることばは、ときにテレビの向こうの人が語ることばより何倍も説得力があり胸に刺さる。
 
また今では顔も見たこともない人たちとワールドカップの試合を見ながら、まるで同じ部屋にいるように一緒に盛り上がり、感想をつぶやきあうことが出来る。
 
その日たまたま見上げた空がきれいだったなら、その瞬間を世界のどこかの人と分かち合うことが出来る。
 
これは単純にすばらしいことだ。この楽しさを一度味わってしまえば、もうそうでなかった世界には戻れない。
 
だから、ときに誰かの声をサトリ、サトラレルことに疲れることがあっても。
たとえ意見の衝突や炎上することに傷つくことがあっても。
 
SNSというにぎやか広場がこのまま盛り上がっていくことを願っている。そして私もその片隅を盛り上げる一員でありたいと思っている。

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2018-07-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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