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メディアグランプリ

あの日のトラウマ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:八島 保(ライティング・ゼミ平日コース)

「キャアア!!」
私の前を歩いていた女の人が私を見るなり悲鳴を上げて走り去っていく。
私は目が合っただけだ。何もしていない。
しかし私は、なぜ女の人が逃げていったのか、理解できた。
だから、私はその人を追いかけた。
なぜ、私は女の人が逃げていった理由をすぐに理解できたのか。
その経緯をこれから説明したい。

話は改札を出るところまでさかのぼる。
私は帰宅途中で、地下鉄の改札を抜けてそのままいつも通っている出口へと歩いていた。
いつも通り何も考えずに歩いている。エスカレーターに乗った際に、ふと前を見ると5mくらい先に女の人がいた。
自分と女の人との間に人は誰もいない。
さらに言うと自分とその女の人以外、そのエスカレーターには乗っていないのだ。
その出口を使っている人は少なく、さらに時刻は夜22時を回っていたので、エスカレーターに人が乗っていなくても何も不思議ではない状況ではあった。
なんとなく、気まずい気持ちになった。
自分は何もしていない。エスカレーターに乗っているだけである。
しかし、こう誰もいないと少し緊張してしまう。
世間では痴漢やストーカーなどの性的事件のニュースが後を絶たない。特に痴漢については冤罪になることもしばしばだ。
とても気にしすぎであることは十分にわかっている。ただ、そのような事件が後を絶たないとなると、女性の後ろに男の自分がいる、しかも同じ導線上にいるというのはなんとなくバツが悪い気がしてしまうのだ。
「出口を出たら別の方向に歩いて行ってくれないかな……」
私は心の中でひそかにそう思った。
しかし、その思いはむなしく、エスカレーターを降りて出口に出ると、女の人はそのまま私が歩こうと思っていた道を歩いていってしまった。
「うわ、マジか……」
私は心の中でため息をついた。帰る道を変えようか……。一旦立ち止まってしばらく悩んだ。私の自宅のマンションは、地下鉄から徒歩3分くらいの距離だったので、そのくらいの短い距離なら、相手が気にされるまでもなく家にたどり着くことができるだろうと考え、そのままいつもの帰り道、つまり女の人と同じ道を選んだ。
女の人は洋服の青山のある路地に左折し、私も路地へ左折した。お互いの距離はおよそ10m。路地は街灯が煌々と光っていたので、背格好が視認できるほど明るかった。
「多分、女子大生くらいの方なのかな……」
『気にする』と『気になる』というのはたぶん似ていて、ストーカーを気にする割には女の人の後ろ姿を眺めてしまっていた。
ふいに、女の人がこちらを見る。
自分はしまったと思い、視線を外す。
大丈夫かな……、と恐る恐るもう一度女の人の方を見ると、こちらをチラチラと見ているのがわかった。
恐れていた事態になってしまった……。
私がストーカーじゃないかと、疑われている……!
「うわ、どうしよう……」
その場で頭を抱えてしまいたくなった。
このような状況の時、全国の男子諸君が考える打開策が二つある。
距離をさらに取るか、追い抜かすか。
距離をさらに取ることで、最後までストーカーかもしれないと疑われつつも被害を最小限に抑えるか、追い抜かすことで最初怖がられはするけども、抜かしてしまえばどちらも安心できる方を取るか……。
二つに一つ。
私はその時、追い抜かす方を選んでしまった。
気持ち少し早足になる。すると前を歩いていた女の人はそれに気づいたようで、
「キャアア!!」
と悲鳴を上げて走っていってしまった。
これは間違いなく、ストーカーだと間違えられた。
私はそう確信し、女の人を追いかけて
「違います! 違います!」と叫んだ。
女の人が走っていった先は自分のマンションの方で、どうやら同じマンションに住んでいる方のようだった。
相手は自分の声に気づいたようで走るのをやめた。
私が彼女に追いつくなり、彼女は
「違うんですか??」
と言ってきた。
何が違うのかの説明も無いのに会話が通じているのが不思議だったが、こちらも必死だったので、
「違います。自分はストーカーじゃないです」
とはっきり言った。女の人はとりあえず理解を示してくれて、そのまま二人とも無事に家へと帰れた……。

この事件でいまだに私が疑問なのは、なぜ女子大生と思われる女の人は、当時中学生だった私をストーカーに間違えたのかということだ。『年齢的に自分は大丈夫』と高を括っていたが、関係なかったようだ。
それ以来、私は人の後ろを歩くことにとても抵抗を持つようになってしまい、特に女の人の後ろを歩くときは距離をなるべく開けるように心がけている。おかげさまで、あの日から10年が経過したが、一度もストーカーに間違われたことはない。

***

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2018-07-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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