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美容院と洋服選びが苦痛だったのは、自分が見えていなかったからだった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:宮﨑聡史(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
最近はだいたい月に一回のペースで理容室に行くことにしている。
6mmくらいの長さの坊主にしてしまったので、それ以上放っておくと格好悪くなってしまうからだ。
いつもの店にネットで予約を入れ、時間通りに行けば、馴染みの店員さんが案内してくれて、革張りの椅子に座って待っていると、担当の理容師さんがやってくる。
 
「今日も前と同じで短くしますか?」
「そうですね……、今日は横の方を前よりちょっと短めにしようかなと思うんですけど……」
「横を短めですね。了解しました。暑いですしね」
 
何ということもない、理容室での、普通の、ありふれたやりとり。
髪を切ってもらいながら、ふと自分もやっとこういうやりとりができるようになったんだなと思う。
ほとんどの人にとって、本当に何でもないであろうこのやりとりが、僕にとっては死ぬほど苦痛だったのだ。
 
聞いたことがないのでわからないのだけど、一般的に初めて美容院で髪を切ってもらうようになるのって、何歳くらいからなんだろうか?
休みの日に美容院で髪を切ってもらっていると、小学校の高学年くらいの子が来ているのを見かけるので、それくらいが普通なのかもしれない。
僕はというと、はっきりは覚えていないのだが、中学生くらいまで母親に家で切ってもらっていたと思う。
もちろん、母は美容師なんかではなく、何の技術もない、特別ファッションセンスがあるわけでもない、普通の主婦である。
僕自身もそれほどファッションにこだわりがなかったのもあって、反発することもなくされるがままになっていた。
 
それでもやっぱり、さすがに母親がいつまでも髪を切っているのはおかしいと思ったのか、高校生になった頃、髪は美容院で切ってもらって来なさいと言われたのである。
小学生の頃から親に連れて行ってもらって慣れているならともかく、いきなり一人で行かされるのはそれなりにキツいものがある。
仕方がないので、近所の美容院にありったけの勇気と数千円を握りしめて行ってみたのだったが、そこでひどい対応をされたのがトラウマになった。
 
「どんな髪型にしますか?」
「……えっと……、どんな? ……えっと、短く、したいんですけど」
「短くって、どれくらい?」
「……どれくらい? ……どれくらい……?」
「決めてないの? 髪型が決められないんじゃ切れないよ。ちゃんと決めてから来てよ。どうする? また今度にする?」
「……えっと、……はい」
 
もう、どうしていいかわからないまま、何もできずに泣きそうになりながら美容院から逃げ出した。
今だったら、似合う髪型を提案するのがプロだろう! と怒って店を出てやるのだが、当時はそんな余裕も勇気もなかった。
 
僕にはもう一つどうしようもなく苦手なものがあった。
それは洋服を買うこと。
最近になってようやく克服したのだけれど、洋服屋さんに行って、服を選んで、買うという行為もまた苦痛で仕方がなかったのだ。
服を買いたいと思って、お店には入るのだが、いったいどれを買えばいいのかがまったくわからない。
店員さんに声をかけられないか、ビクビクしながら、たくさんの種類の洋服の中で混乱しながらウロウロと歩き回り、結局、何も買えずに帰ってくるなんていうのがいつものことだった。
意を決して買ってみても、それがいいものなのか、似合っているのかもわからない。
 
20年近くも、そんなことで苦労して、アラフォーになってようやく、それらを克服して普通に髪を切ったり、洋服を買ったりできるようになった。
今になってわかったのは、今まで自分のことがよく見えていなかったのだなということ。
 
自分のことを可愛いと自覚している女性を見ているとよくわかる。
友達の中にもそういう子が何人かいるだろうし、モデルや女優さんなどでもいい。
彼女たちは自分が他人からどう見えているのか、どうやったら自分が可愛く見えるのかということを熟知している。
どんな髪型や服装が自分に似合うのか、自分をどう見せてくれるのかを研究しつくしている。
さらに言えば、自分を可愛く、魅力的に見せることによって、何を得たいのか、何が得られるのか。
そのことをもよく知っているように見える。
 
自分のことがよく見えていなかった、というのはそのことだ。
単純に自分の容姿のことだけではなく、性格や行動の部分も含めて、他人から自分がどう見られているのか。
それを把握したうえで、自分は他人からどう見られたいのか。
そして、そう見られることで、どういう自分の欲望を満たしたいのか。
その欲望を満たすためには、どういう自分にならなければならないのか。
 
それは、一言でいえば「スタイル」ということなのかもしれない。
自分自身の外面と内面を見つめなおし、自分の「スタイル」を構築すること。
それができれば、ファッションだけではない、仕事や対人関係など、あらゆる場面で生きやすくなる。
何かをするのが苦痛でたまらないと思ったら、自分をよく見なおして自分の「スタイル」を作れば、少しだけ楽になる。
それが、苦痛でたまらなかった美容院と洋服選びを克服してようやく得た、僕の知恵だ。

 
 
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2018-07-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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