メディアグランプリ

夏の思い出が教えてくれた


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記事:戸崎いずみ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「先生、戸崎さんが溺れています!」
とクラスメイトから声をあげられた。
それは小学校の頃の水泳の時間だった。泳ぎが苦手だった私はそれでも一生懸命泳いでいるつもりだった。一生懸命もがいてもがいて何とか手と足を動かしてやっと進んだと思っていたときだった。
自分では立派に泳いでいると思っていたが先生に止められて、5 m ぐらいで終わってしまった。
 
そんな経験もあって、夏休み私は友達とプールに遊びに行くのがあまり好きではなかった。自分が一生懸命やっていることを人から笑われるというのは子ども心つらかった。
 
唯一好きだったのはプールに広げられたゴルフボールを拾う競技。あれは一斉にみんな潜るから、息継ぎというものが発生しない。泳ぐというよりは瞬発力でボールをいかに掴み取るかという競技だからだ。
その競技が私のプールの思い出を、少し楽しいものに塗り替えてくれたかもしれない。
 
でも、ある時を境に私は泳ぎが好きになった。
 
実家には車がなく家族は誰も運転をしないので、家族で海に行くという経験は、私はあまりない。でも一度だけ、父の幼馴染の家族が東京から里帰りをするというので、二家族で車をチャーターして福間の海に出かけた。
父が、泳ぎが苦手な私のために、事前にトイザラスで私にシュノーケリングセットを買ってくれた。生まれて初めてつけるシュノーケリングのヘッドと足ヘラに私は心が踊った。
私の父は小さい頃海の前に住んでいて、海は最大の遊び場だった。なので、泳ぎがすごく得意で海の世界の素晴らしさを知っていた。そんな父は、口には出さないが私にも同じ経験をしてもらいたかったのかもしれない。
 
福間の海は、福岡市の中心部から1時間くらいの距離にあるにも関わらず、大変素晴らしい海だった。当時身長が140㎝ぐらいだった私が、胸まで浸かる水深で、小さい魚たちがたくさん泳いでいるのが見えた。
 
砂浜にはたくさんのヤドカリがいた。地元の人以外はあまり利用しないようで、人も少なく、父の友達の家族と思いっきりはしゃいで走り回ることができた。
そしていよいよ、シュノーケリングセットを身につけて海に入った。父と父の友人のおじさんから
「よかね!?  シュノーケリングのチューブに水が入ったら、思いっきり吹いて出すとよ! そのまま水飲んでしまったら溺れて死んでしまうけんね!!」
と注意されていたので、子供ながらに覚悟を決めて海の中に入った。
 
そして今まで経験したことがない最高の経験をした。
息継ぎをしなくても全くきつくない、足はバタバタと必死で動かさなくてもどんどん前に進むことができた。
目の前に泳ぐ魚たちとすれ違うことができた。私は泳ぐという喜びを生まれて初めて味わった。
 
もう20年以上前の話になるが、私はその光景を鮮明に覚えている。
 
道具というのは素晴らしい物だ。それが無いと経験できない体験と感動を私に与えてくれる。
 
そして、大人になった私は、道具の素晴らしさは、物に限らないということを知った。
それは、人との出会いであり、本であり、知識の共有だ。
知識の共有によって、あの時に広がった美しい海中のように、見えてくる世界は全然違うものになってくる。
 
私は3年前に大きな病気をして、今は何とか治ってきているものの、まだフルタイムでの就労が難しい。こんな状態なので、正社員になって仕事をすることはまだできない。
 
そこが足かせになって、挑戦することを一時期諦めていた。無難なパートタイムや、仲介会社に登録して大手企業の単発の仕事をして時間を費やしていた。
 
でも、出会いが私に一歩踏み出す勇気をくれた。
 
福岡市が開催した勉強会で、国内のあるクラウドファンディングサイトの代表者の方にお話を伺うことができたのだ。参加した後、個別にお話をすることができた。
その方から、私は目の覚めるようなアドバイスをいただいた。
「いくら大手の仕事をしていても、それが下請けの、さらに下請けの仕事であるのならば、それを続けて一生楽になることはない。偶然の成功と偶然の失敗を見逃すな。実は自分が情熱を燃やせる物で、人が石ころだと思った物を拾うと、宝石になることがある。私なんて……という気持ちを持っているのなら今すぐ捨てて、やるんだったら中途半端にやるんじゃなくて、本気でやった方が良い」とアドバイスを受けた。
 
この言葉から、私は自分で行動し、自分の情熱を燃やせる仕事を作ること、仕事を作る力を身につけ挑戦することへの勇気をもらった。
その時から、私は奮い立って勉強を始めた。天狼院の講座を申し込んだのも、その言葉に勇気をもらったからだ。
 
そして、知識を共有していただき、基礎を身につけることができた。まだつたないが、自分の執筆した文章を最後まで読んでもらうことや、英語でプレゼンテーションをすることもできるようになった。
 
私は今新しいことへの挑戦を決めた。
今年の11月にアメリカのシリコンバレーで行われる、アジアンナイトへのチャレンジ権を目指し挑戦をすることだ。アジアンナイトとは、世界中の投資家やベンチャーキャピタル(投資をする組織)が集まる場で、そこで自身の考えたビジネスプランのプレゼンを英語で行う。まずは、日本国内でこのプレゼンへのチャレンジ権をかけて、200名超のメンバーとの研修を行っている。
 
夏の思い出が教えてくれたあの素晴らしい景色のように、この挑戦が私の人生に素晴らしい景色を見せてくれると信じて走り抜きたい。

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2018-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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