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メディアグランプリ

ぼくらが写真を撮る理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:千葉美紀(ライティング・ゼミ平日コース)

「とりたい、とりたい。かして、かして」
弾んだ声で、娘は私のスマホを奪っていく。先ほどから、繰り返されている光景だ。娘の撮影は、水族館に入る前から始まっていた。夕焼け空と水族館を撮り、大きなひとつの水槽の中で、たくさんの魚が自由に泳ぎ回っている様子を撮った。タツノオトシゴも写した。お気に入りの魚を見つけると、写真を撮りたがり、私のスマートフォンを持っていく。今は、色とりどりの熱帯魚を撮影している。

近くの水族館が夜9時まで営業を延長しているので、遊びに来た。一番の目的は、「ナイト・ドルフィン・パフォーマンス」だ。東北では、夜のイルカショーは珍しいことらしい。夜のアクアリウム探索。夜行性の大きなタコが、吸盤をこちら向けて張り付き、ゆっくりと動いている。

たくさんの人が、水槽の前で写真を撮っている。ほとんどの人が、スマホのカメラを使っている。水槽の中の写真を撮影するのは、なかなか難しい。撮っている方が水槽に映ってしまう。小さな水槽の前で、記念写真を撮っている人もいたけど、多分後から見ても、何の魚がいるか、わからないと思うな。みんな、何の目的で写真を撮っているんだろう。SNS? インスタグラムやフェイスブックに載せるのかな。撮影した写真にも、同じようにスマホを構えている人たちが写りこむ。

イルカのパフォーマンスは2回。見ようと思っていた1回目は15分前なのに、もう立ち見が出ていた。仕方なく、2回目を見ることにした。その間に、今度は動物系の生き物を見てまわる。ペンギン、アザラシ、ビーバー。ビーバーが必至で木をかじっている。

今度は息子がやってきて、ペンギンを撮りたいとスマホを持っていく。なぜかペンギンが大好きで、何枚も撮影して、自分のスマホへ送っている。
「自分ので撮りなよ!」
そう声をかけると、「アイフォンの方が綺麗に撮れるし」という。子供だちは、もちろんSNSをやっていないので、写真を撮る理由なんだろう? 思い出を残すため? 写真撮影が日常的になっているから、特別な理由はなくても、かわいい! おもしろい! と何かあれば写真を撮っている。最近の子供達は、写真を撮られるのも上手。小さい時から、携帯やスマホで、撮られ慣れている。わたしは、写真うつりが悪く、いつも変な表情で写ってしまうので、とてもうらやましいと思う。

1回目のイルカショーが終わってすぐに、次の回のために席を取った。イルカのプールから少し離れた位置だ。一眼レフや望遠カメラがあれば、良かったな。わたしもイルカの写真を撮りたいと思っていた。

始める前から準備運動なのか、イルカが悠々と泳いでいる。ボールをくわえたり、しっぽを水面に出し、逆立ちして遊んでいるようだ。時間が近くなると、水面からスモークが上がってきた。暗い夜空と白い煙、薄い紫のライトで、神秘的な雰囲気が作られる。内容は分からないけど、英語のアナウンスと大人っぽい音楽が流れ、パフォーマンスが始まった。2頭のイルカと2人のトレーナーさん。イルカはジャンプしたり、水面を歩くように跳ねてみたり、高く吊るされたボールにタッチしたり、綺麗な動きを見せてくれた。トレーナーさんは、ひとことも話さなかったが、イルカは「みぃみぃ」と鳴いて、可愛らしかった。

わたしは、イルカがジャンプする瞬間を狙って、スマホを構えていた。一瞬のことなので、上手く撮影するのは難しい。何回か撮ったけど、ちゃんと写っていたのは数枚だった。

そういえば、写真を撮るのに必死になって、画面ごしにだけ、パフォーマンスを見ていた。なんか、もったいない。せっかく、すぐ目の前でやっているのに、ずっとスマホから見るなんて。そう思って、わたしはスマホを閉じた。ナイト・ドルフィン・パフォーマンスを楽しもう。後から写真を見て、思い出すこともあるけれど、記憶に残るのは、自分で体験したことだ。ライトが色とりどりに切り替わって、幻想的な舞台で、並んでジャンプするイルカたちの綺麗な曲線を眺めていた。

写真を撮る理由はなんだろう。日常の記録のため、SNSのため? 帰宅してから、私は上手くとれたイルカの写真をフェイスブックに載せた。自分の体験を記録しておきたい、誰かに伝えたい。写真を撮るのが目的じゃない。撮らなきゃって、過熱しているスマホ写真をちょっと反省している。カメラ越しではなく、自分の直の感覚で感じることを、忘れずにいようと思う。

写真を撮るのに、理由は要らない。撮影欲ってそのうち、七つの大罪にプラスされて、八つになるんじゃないかな。撮りたりいと思う気持ちも、大事にしよう。綺麗な風景、美味しそうな食べ物、かわいいもの、変わったもの、面白いものを見つけたら、よく味わって、写真を撮ろう。もちろん、マナーも忘れずにね。
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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2018-08-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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