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スキューバダイビングとは宇宙旅行


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記事:三好康博(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
私は焦っていた。
どこに行こうか? 何をしようか?
来週から、私は一週間の長い休暇に入ろうとしていたが、何をしようかと決まっていなかった。しかも、この長期休暇は少し曲者で、ゴールデンウィークでもなくお盆でもなく、普通の平日の一週間。どの友達との休みも合わないため、一人で休みを満喫しなければならない。どうしよう?
 
昼食を一緒に食べていた会社の後輩に聞いてみた。
「どこか一人で行って楽しい所ないかなぁ?」
条件反射のように早く返事がきた。
「小笠原諸島は良かったですよ! 大学の卒業旅行で行きましたが、海とか最高でした!」
選択肢のない僕は、「そこに行こう!」
と即決したのだが、後輩から、ある条件が提示された。
「小笠原諸島を満喫するなら、スキューバダイビングの免許を取って行って下さい」
というのである。
“満喫するなら”である。
ここで1つ問題が発生。
小笠原諸島に行って帰ってくるのに最低1週間は必要だということが判明。
小笠原諸島に行くには、フェリーしか手段がなく東京から片道24時間。フェリーは1台しかないので3日停泊しての繰り返しなのである。地方に住んでいる私にとって1週間必要なのである。スキューバダイビングの免許は2日あれば取れるのですが、つまり、今回の休みでスキューバダイビングの免許を取って小笠原諸島に行くことは不可能なのである。
私は非常に悩み、決断しました。
小笠原諸島に行くのは、いつくるか分からない次回の長期休暇に!
私は、今回の休みを利用して、スキューバダイビングの免許をとることにしたのです。
今回は、“小笠原諸島満喫ツアー”への助走として、スキューバダイビングの免許取得に休みを充てることにしたのです。
 
免許取得には、WEB上で行う筆記試験と2日間かけて行う実技が必要。
私の中に不安がいくつかよぎるのです。
それは、私は泳ぐのが得意ではないということ。どのぐらい得意でないかというと、クロールで息継ぎすることができないぐらいの能力。そして何より、水中で呼吸ってどうやっているのか分からないという無知からくる不安。
本当に2日間で免許が取れるのだろうか……。
 
実技では、機材の名称を覚えながら説明を受け、機材を身につけていく。
ウエットスーツで身を引き締められた状態。
加えて、重さ10kg以上の空気が入ったタンクを背負う。
これほど、体の自由を奪われた状態を経験するのは、間違いなく初めてである。
その機動力は、幼児がヨチヨチ歩きをしているようなものである。
そして、遂に海へ入水。
 
怖い。怖過ぎる。
私のスキューバダイバーとしての第一歩、いや第一入水の3秒後には地上へ逆戻り。
迫りくる波の圧力と、装備からくる体の不自由さ、そして未経験からくる恐怖感によって、パニック状態。
 
もう一度、心を整えて入水。
スキューバダイビングは、口呼吸のみをしないといけないのが1つの特徴。
産まれてから35年。自由自在に呼吸をしてきた私に取っては慣れないもので難しい。
とにかく、平常心。考えるのはそれだけ!
最初は、体に力が入って余裕が無かったのだが、慣れてくると簡単に思えてくる。
そして途中から気づいたことがある。
スキューバダイビングと泳げるかどうかは、全く関係ないということ。
なぜなら沈まなければならないのがスキューバダイビングだから。泳ぐ必要がない。
手元の機器の操作で浮くのも沈むのも容易。
 
さらに余裕が出て視界が広けると、今まで見えてなかった景色が……。
海面から海底まで続く、青のグラデーション。その空間を優雅に泳ぐ、青、赤、黄などのいろんな色の魚たち。その中で、無重力状態で漂う私。
この浮遊感。自分の周りの名前も知らない魚たちやサンゴの群生は、
普段、地上では味わうことができない感覚だ。
そう、そこは宇宙だった!
 
宇宙旅行が、間も無く開始されるというニュースを読んだことがある。そちらの方は、2時間で2000万円などといった費用がかかるらしい。
一方で、スキューバダイビングは1日4時間潜っても2万から3万ぐらいの費用で済む。
確かに、宇宙旅行は、宇宙空間から見える地球などといった神秘的な体験もできるだろう。しかし、スキューバダイビングでも、同じような浮遊感。さらには色彩豊かな生物と戯れることができる。自分にとっては、見たことない魚は未知の生物、エイリアンに違いない。
 
さらに、海の中には四季があるらしいのだ。
地上における森のように、夏は海底に海藻が生い茂り、冬はなくなる。
季節によってさまざまな顔を持つ海中。もちろん魚の種類も季節によって違うため、いつ潜っても楽しむことができる。
非日常を味わうにはお手頃過ぎると言っても良いスキューバダイビング。
私がまだ見ぬ宇宙。小笠原諸島の海に潜る日はいつ来るのだろう。
今からワクワクせずにはいられない。

 
 
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2018-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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