メディアグランプリ

賞賛を受け入れ、成長し続けるには


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記事:村山千尋(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
私は褒められるのがすこぶる苦手だ。
 
普段から家族や友達には、褒められるというよりはバカにされることの方が多かった。
料理をしていると危なっかしいと言われ、道を歩くと迷い(あるときはトイレから出て帰るときに迷ったほどだ)、今では絶対に運転は任せたくないと言われ……。様々な部分で不器用なのかおっちょこちょいなのか分からないが、普段からバカにされることには慣れていた。
 
だが、学校での勉強だけはそこそこできた。クラスでの順位もよかったので、中学まではバカにされてきたが高校に進学したときからクラスメートに勉強について褒められるという経験を初めてした。
家族の中では勉強はできない方だったので、褒められることはあまりなかった。だから自分はバカなのだとずっと思っていた。自分が褒められることがどうしても理解できなかった。
 
最初のうちは褒められるのが嬉しかった。学年での順位が最初44位だったのが20位になって、5位以内に入るようになって。自分が周りのみんなよりも出来ると思うととても自信が湧いてきた。だけど褒められるのには相変わらず慣れなかった。自分が褒められるに値する人間ではないという意識が根底にあったのだろう。
 
でもある時から、褒められることが『慣れない』だけでなく『嫌悪』に感じるようになった。褒められるたびに日本人の謙虚と遠慮の精神を発揮すべく、褒められるたびに「いやいや全然そんなことないよ」と言うのに疲れただけなのか、と思ったがどうやらそうではない。生来自信がなかったので、謙遜することを面倒くさいとは思いつつも苦と思うほどではなかった。
 
そこで、褒められてその褒め言葉を真に受けてしまったらどのようなことが起きるのだろうか? と考えてみた。そうすると、自分のことをとても能力の高い人間だと思い込み、怠惰になって成長がとまる自分の姿が思い浮かんだ。
 
そうだ。こうなりたくなかったんだ。と気づいた。
 
成長を止めないために、私は賞賛を拒絶していた。と気づいた。そして自分の能力を実際以上に評価することをとても恐れていたと気づいた。努力をやめたくない、能力を実際よりも過剰に認識したくないという思いから来ていた思考回路ではあったが、あまり健全ではないと感じた。客観的に見た時に、褒められた時に過剰に否定する人よりも、「ありがとう」とお礼を言いつつも謙虚な人の方に自分はなりたいと思った。しかし、高校時代ではその問題に対する答えを見つけることは出来なかった。受験まで頑張り続けることはできたが、肝心なところで度胸が無くなってしまい、センター試験では今まで受けたどの模試よりも最悪の結果を出した。褒め言葉に対しての対応から垣間見れる、ひねくれた自己認知が起こした結果だと今は思っている。
 
4年の月日が流れ、現在やっとその問題に関する答えを見つけたような気がする。
そのきっかけとなったのは、ある尊敬する人からの『褒め言葉』だった。
私が内定先の会社でインターンをしていた時の事だった。面接のときなどにもお世話になった尊敬する役員の方が日報で私について書いて下さったのだ。「今の時点であれだけ出来るのはすごい。自発的に行動していて素晴らしい」私が実際にやっていたことは、職場の先輩と積極的に話にいったり、電話対応の練習をしたりしたことくらいだった。しかも、周りの人から随所随所でフィードバックをいただきながらの不完全な電話対応だった。
 
これが内定者じゃなくて三年目の社員だったら、絶対に褒められないだろう。
きっと彼女は私の電話対応能力やコミュニケーション能力について賞賛して下さったわけではなくて、他の内定者もいない中一人で地元から離れてインターンとして来て、知り合いのいない中、自分が今出来ることや、やるべきことを見つけて行っていたこと、行おうとしているその姿勢について賞賛してくれたのだろう。
 
そこで私は気づいたのだった。
努力をし続けなければ賞賛に値する結果など出せない。賞賛は静的な『能力』についてではなく、動的な『姿勢』に対して与えられるものだと。
そう考えると楽になった。
 
高校時代はいつも苦しかった。テストの結果や順位はよく褒められた。だけど自分が本当に目指していた大学に必要な点数には届いておらず、褒め言葉を自分の心の中で必死に打ち消した。自分なんかまだまだ全然だめだ、と心の中で自分を貶めることでやる気を奮い立たせようとしていた。そして自分を信じて頑張り続ける心も次第に失っていったのだった。
 
だけど、そうではない。
 
褒められたのは結果であっても、それを出すに至ったのは過程だ。だからその過程を自分で認めてこれからも続けていけばいいのだ。
今回の内定者インターンでの褒め言葉は、『姿勢』に対しての褒め言葉と捉え今後もその姿勢を続けていこうと思う。そうすればきっと入社3年目にも「褒められる」に値する結果を出すことが出来るだろう。

 
 
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2018-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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