メディアグランプリ

3回仕事が変わって気づいた「仕事のステージを上げていく人ほど、同じことを繰り返し学んでいる」理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:吉田ひとみ(ライティング・ゼミ特講)
 
「今回の報酬なんですけど、5万円下げておきましたので……」
 
株式会社の決算は第4期を迎えた。
そしてこの4期をもって、今の株式会社の名前での運用は終わりだ。今後は名称変更して、新たな事業の運営を始める。
 
私には2人の子どもがいる。1歳と5歳。5歳の息子は幼稚園に通っている。水曜日以外は弁当があり、帰りは2時半だ。おまけに夫は帰りが遅く、月の半分は出張で家にいない。1歳の娘はなかなかのおてんばで目が離せない。
 
細身で背が高く、いつお会いしても穏やかで、人当たりがいいその男性は、わたしの担当の税理士さんだ。おまけに恐ろしく頭の回転が早い。知人の紹介でご縁をいただいたこともあり、かなり良心的な価格で税務をしてくださっている。にも関わらず、今期はさらに下げてくれた。理由は、事務をしている母が手馴れてきて作業量が減ったからだという。継続してお願いできるのは、なんて素晴らしいことなのだと思う。
 
ところで、わたしは今までに3回、仕事を変えている。これは、医療系の国家資格を持つ人しかも女性には珍しい現象だと自分でも思う。作業療法士として病院に勤めたのち、結婚と同時に妊娠し、息子の出産後6ヶ月の時に自宅で整体とヨガ教室の仕事を始めた。これが1つ目の職替えである。
 
さらに、息子が1歳2ヶ月になった時、株式会社を設立した。2つ目である。そして今、3回目のステージアップをしようとしている。
 
ここで少し、病院で働いていた頃の話をしよう。わたしは作業療法士といって、病気や怪我で入院してくる患者さんのリハビリテーションをする人だ。
 
正直に言って、学校を卒業して試験に合格したからと言って。セラピストとしてまともに役に立つことはできない。なぜなら、現場には教科書で習ったような患者さんはほとんどいないからだ。
 
実際、わたしが初めて担当した方は病名こそクモ膜下出血であったが、すでに数年経過していた。問題は「膝が伸びない」。やる気もないし意識もボンヤリで何もできないと、理学療法士が匙を投げたための追加オーダーだった。
2人目は、身体はピンピンしているのに人に話が通じなくなってしまったおばあちゃん。専門用語ではジャーゴンと言って、訳のわからない言葉を延々と話し続ける症状だ。しかも、医師は「脳出血」と書くだけでその症状には名前をつけてくれない。自分であたりをつけていかなければならない。
3人目に至っては、なぜか脚がガクガクして歩けなくなったおじいちゃん。毎日湯豆腐と酒で過ごし、風呂に1年入っていなかった。小便は部屋に垂れ流しているところを近所の人が気づき、119番したのだ。病院に着いてまずしたことは、「風呂に3回入る」だった。
 
そんなこんなで、毎日バラエティ豊かな人たちが入院してくる。
わたしは、そんな人たちの問題解決を求めて、あちこちで開催されているセミナーに足しげく通った。職場でも積極的に伝達した。
 
しかし、2年ほどたったある時、はたと気づいたのだ。
「この生活は、いつまで続くのだろうか?」
そして、わたしには一体何が身についているのだろう、と。
 
自己研鑽に投資しても、病院の世界では給料に反映されない。病院で働くには、国家資格があればいいのだ。湯水のごとくなくなるお金に、増えない給料。
いつしかセミナーに行く回数が減っていった。
 
しかしある時、とある人に出会った。わたしと同じ作業療法士だが、自費で整体をしていたのだ。そしてその技術を伝えていた。その世界は目からウロコだった。おまけに、「病気」ではなく「人」をみるという視点から、万人に効果がある方法を伝えていたのだ。「症状1つ1つの治療法を追ってたら、キリないやん」と思っていた矢先の出会いだった。
 
わたしは勉強をその1本に絞った。その方から技術を全て学び、インストラクターになった。その頃、結婚が決まった。
 
わたしには、ずっと懸念していたことがあった。それが、結婚して子供が生まれた後の仕事のことだった。母が専業主婦だったこともあり、自分の子どもが小さい間は成長を見守れる場所にいたいと思っていた。しかしながら、「自分で収入を得る」こともしたかった。母とは違い、わたしは自分が好きなことや仕事ができないと、息がつまると思ったのだ。
 
その懸念は、結局あっさりと払拭された。インストラクターとして学んだ技術を継続して磨いていたので、自信もついていた。病院を辞め、自宅で整体を始めたのだ。
 
すると整体を始めた数ヶ月後には、その方から事業を関西で引き継いでみないかと声がかかり、引き受けた。息子をベビーカーに乗せて行政書士事務所に通い、法人を設立した。
 
セミナー巡りをしていた頃には、気づかなかった視点が1つある。それは、「継続するからこそ問題の本質が見えてくる」ということ。
 
1つ1つの問題に対し対処していると、目の前に次々に現れる課題に対処するのでいっぱいになる。そうなると、ステージを変えないのではなく、変えられないのだ。
 
わたしは、どんどんステージアップしていく人は、何かひとつのことを継続していると感じている。また、「この人」という人を決め、その人から継続して学んでいる。
 
今や「何を学ぶかより、誰から学ぶかが大事だよ」という言葉は浸透しつつあるのかもしれない。しかしそれが大事なのはなぜなのだろうか?
その答えは、あなたが「誰になるか」が決まるからである。
 
誰と出会い、誰から学び続けるかで、「あなたが誰になるか」が決まる。
だから、出会いが人生を変え、誰と過ごすかで自分が何者になるかが変わるのだ。
 
先ほど「何で同じ研修を何度も受けるの?宗教みたい」と同僚から言われたという話を聞いた。しかし、今一度考えてみてほしい。「なぜ同じ人から何度も学ばないのか?」
 
継続は力なり。
 
これを書くとふと脳裏に学生時代の卒業アルバムの表紙裏が浮かんだ。
「継続は力なり。それがすべてへ導いてくれる!!」
わたしが当時好きだった男の子が半ページ占領して書いてくれた言葉だ。
 
「継続は力で、継続は信頼やな」じんわり温かくなった胸の真ん中あたりに、わたしはそう話しかけた。
 
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2018-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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